MONTHLY THE SAFETY JAPAN●2002年11月号

特集

 プレドライバー教育として、授業の中に「交通安全」を取り入れている高校が少しずつ現れています。どのような教育が行なわれているのか、SJ11月号では4校(山梨県立山梨園芸高校茨城県立江戸崎西高校、東京都立福生高校、神奈川県立神田高校)の事例を紹介します。

山梨県立山梨園芸高校
体育の授業で原付講習に取り組む

 山梨県立山梨園芸高校では、免許取得前の1年生を対象に、体育の授業の一環として原付講習を行なっています。
 カリキュラムの作成を担当した前田雄二教諭は「最初から生徒たちにどんどん乗らせて学んでもらおうという話もありましたが、やはり基本が肝心です。安全マインド、相手のことを思いやる心が育ってほしいと思います」といいます。
 生徒指導係交通指導担当の熊谷栄二教諭は、「教師や家庭、地域が一体となって、子どもたちのために何をしたらいいのかを考え、交通安全教育に関心を持つようになれば、もっと多くのことにチャレンジできるし、さらに交通安全教育の中身が進化するのでは」と話します。

最終目標は混合交通の体験

 山梨園芸高校では、原付講習の他にも、親子ふれあい交通指導教室(山梨中央自動車教習所の協力により、生徒が運転、その助手席に自動車教習所の指導員、後部座席に父親が座って安全アドバイスを行なうもの)やバイク通学を許可した生徒へのバイク通学事前指導などさまざまな活動を行なっています。
 生徒指導係の荒井良平教諭によると「二輪、四輪、人が存在する混合交通を生徒に体験させることのできる環境を整える」ことが最終目標だといいます。

茨城県立江戸崎西高校
全職員が取り組む体制づくり

 2000年度のバイク通学の条件緩和を契機に、茨城県立江戸崎西高校では、交通安全教育の充実に努めてきました。
 清水校長は、「交通安全教育を学校全体として取り組む体制を整える」ことに力を入れているといいます。全職員による登下校指導、校外巡回指導の他、PTAも加わる登校指導などをほぼ毎月実施。清水校長は、「生命の尊重という観点から、最も身近で危険性の高い交通事故に対する交通安全教育を考えています。生命の尊重はまさに教育の基本です。これを生徒指導の先生だけが担うのではなく、学校全体で取り組むことが大事だと考えます」と話します。
 今年度からホームルームでの交通安全指導も始まりました。江戸崎西高校では、このホームルーム授業を核に、実技講習などを組み合わせた交通安全教育が行なわれています。今年6月には、茨城県ひたちなか市の安全運転中央研修所で実技講習を開催、30名が参加しました。
 清水校長は「クルマ社会の中で、子どもたちに対し、必要な時期に必要な教育をすることが大事なのではないでしょうか」と話します。

 東京都立福生高校、神奈川県立神田高校の交通安全教育の試みについては、本紙をご覧ください。

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