パワープロダクツ Inside Stories

Hondaパワープロダクツ関連の取り組みを追うストーリー

- 第4話 -
農業もレストランも
ものづくりにストーリーを

ホンダ太陽が新しい事業として検討をはじめた農業。
その強力な援軍としてあらわれたのは
ホンダ太陽と同じ大分県で「食で人生を豊かにしたい」と
湯布院でオーベルジュを創業した平川さんでした。
廣瀬俊朗さん(左)と平川順基さん(右)。二人の縁が、ホンダ太陽の新たな挑戦へとつながっていきます。

廣瀬俊朗さんとホンダ太陽の前社長、鎌田が出会ったことはホンダ太陽が農業へ参入する第一歩となります。

廣瀬さんはホンダ太陽の農業への挑戦を聞いたときから一人の知人が頭に浮かびました。その知人とは障がいを持つ人の雇用や社会貢献について同じ思いを持った人物でした。

廣瀬さんは、早々に知人に連絡、ホンダ太陽の見学を提案します。この知人こそ大分県湯布院にある「ENOWA YUFUIN」ファウンダーの平川順基さんでした。廣瀬さんの誘いを受けて、平川さんは2024年に廣瀬さんとともに、ホンダ太陽を訪問。そこで平川さんは、障がいの有無にかかわらず一人ひとりが働く姿だけでなく、障がいのある人たちの社会的自立を目指すホンダ太陽の環境整備や雇用への取り組みを知ることになります。廣瀬さんと同じように平川さんの心に刻まれたホンダ太陽の姿勢が、「ENOWA YUFUIN」で平川さんが目指すブランディングのひとつの柱につながっていきます。

ホンダ太陽を訪問した際の平川さん(写真右から3番目)(写真提供:ENOWA YUFUIN)

「最初にホンダ太陽を見させていただき、素晴らしい取り組みを進めているというのが率直な感想でした。障がい者の就業支援や労働環境の整備は、行政が担うことと考える人が多いと思いますが、担当者や組織変更の頻繁な行政より、民間でこそ継続的にやるべきことと私自身は以前より考えていました。それをホンダ太陽さんは一歩先で進めていた。私の中では勝手に次々とアイデアが思い描けて、廣瀬さんと同じように、ホンダ太陽をみんなに見て欲しいと思い、知人を次々に連れて見学させてもらいました」(平川さん)

平川さんは、ホンダ太陽の取り組みに触れ「多くのアイデアが浮かんだ」と振り返ります。

平川さんはスペイン・バスク地方のホテルなど、海外で体験してきたボタニカル・リトリート(土に親しみ心身を休めること)に感銘を受け、宿泊ができるレストランというオーベルジュが地方再生に効果的と考え「ENOWA YUFUIN」を開業させたそうです。

その「ENOWA YUFUIN」のブランディングを進めている時、廣瀬さんに紹介されたのがホンダ太陽でした。平川さんが大分の地を選んだ理由は、大分県が多様性に対する考え方が進んだ土地柄という点に魅力を感じたからだそうです。
その大分県は、障がいのある人たちが地域で暮らしやすいよう、さまざまな施策を進めており、以前に障がい者雇用を推進した経験のある平川さんには印象的だったといいます。また、環境や敷地の広さ、インバウンドの受け入れ体制を整えていこうとしている点もあり、大分に開業を決めたそうです。

平川さんが創業した「ENOWA YUFUIN」では、「FARM TO TABLE」という考え方をさらに進化させ、ファームで採れる食材を起点にその日の料理を組み立てる「FARM-DRIVEN」を掲げています。そこで平川さんは、障がい者雇用のノウハウをホンダ太陽から学び、ホンダ太陽の鎌田は、農業のノウハウを「ENOWA YUFUIN」から学ぶという点で両者の思いは一致します。そして、鎌田から平川さんに協力を要請したのだといいます。これが、鎌田が平川さんとの出会いを「運命」という理由でもあるのです。

ENOWA YUFUINでは自社農園で育てた食材を提供する「FARM-DRIVEN」を実践しています。

こうして「障がいを持つ人が担う農業」と、出来上がった作物を「ENOWA YUFUIN」で提供するというスタイルが、平川さんが唱える“ストーリーに価値を持たせる”というコンセプトとして見えてきました。
レストランや宿泊施設に自社の田畑で収穫したものを提供するだけではなく、その過程も見せる「FARM-DRIVEN」の考え方に加え、その農作物の生産に障がいを持つ人が関わるというストーリー。それを「ENOWA YUFUIN」だけでなく、湯布院から、大分から、九州から世界に発信したい--それが平川さんと鎌田が考えるストーリーの骨子となったのです。

ENOWA YUFUINでは食材が育つ背景まで含めた食体験を提供しています。

「みんなでやる『共創』という考え方をホンダ太陽さんから教えてもらいました。農業のノウハウも、一緒にやるという考え方です。それを子どもたちにも教えて広めたい。世の中には障がいを持つ人がいる、でもそれは特別なことではないということをホンダ太陽さんに教えてもらったので、僕もそれを子どもたち世代から一緒に広めていきたい」(平川さん)

今後はホンダ太陽が担った障がいを持つ人の社会的自立を「ENOWA YUFUIN」でも実施し、「ENOWA YUFUIN」が実践しているストーリーの発信をホンダ太陽からも発信し、周りをどんどん巻き込んでいきたいと平川さんは考えています。

そして2026年5月には「ENOWA YUFUIN」とホンダ太陽の協業による障がいの有無にかかわらず、多様な人材が関わることが可能な農業実証施設「Honda Sun × ENOWA FARM LAB」が開設され、いよいよホンダ太陽の農業への挑戦がスタートしました。

太陽の家からはじまった障がいを持つ人の社会的自立という考え方がホンダ太陽へ、そして農業を介して「ENOWA YUFUIN」へ。点で始まった活動が線に、そして面になって進んでいこうとしています。