新たな事業として農業に挑戦するホンダ太陽(株)
新たな事業の開発を模索していました。
そこで出した答えが、農業への挑戦でした。
障害を持つ人との親和性もあり、休耕地が多いという大分の立地条件。ホンダ太陽の農業への挑戦は必然のように思えました。
しかし、その挑戦を躊躇させる大きな課題は収益性でした。農作物を生産しても、販売先や安定的な収入を確保することは、事業化を実現する際の最も重要な要素です。ホンダ太陽が農業への挑戦を模索しながらも、一歩を踏み出せない理由が、この収益性でした。しかし、そんなホンダ太陽に、新たな展開が待っていました。
ホンダ太陽と同じように、太陽の家に共感して設立された企業として『オムロン太陽(株)』『ソニー・太陽(株)』『三菱商事太陽(株)』『デンソー太陽(株)』『オムロン京都太陽(株)』『エフサステクノロジーズ太陽(株)』があります。これらの企業は、障害を持つ方々の雇用などについて年に数回、会合や意見交換会を実施しています。
そんな2021年の会合の席で当時のホンダ太陽社長の鎌田は、オムロン太陽の立石社長から、ラグビー元日本代表で主将を務めていた廣瀬俊朗氏を紹介されます。廣瀬俊朗氏は株式会社HiRAKUの代表として、さまざまな社会貢献活動を実施していました。その活動は、ラグビーをはじめとしたスポーツや、食に対する活動、講演やワークショップの開催など幅広く、車いすや視覚障がい、聴覚障がいの方たちと接する機会も多々あるとのことでした。また、一般社団法人 日本車いすラグビー連盟の副理事長を務めるなど、障がい者の雇用や共生社会の実現にも尽力されています。
廣瀬氏と会談した鎌田は、早々に廣瀬氏をホンダ太陽に招待しました。そして、2022年11月にホンダ太陽を見学にきた廣瀬氏は、2024年1月に再び、知人であるホンダ太陽と同じ大分は由布市・湯布院を活動拠点とするENOWA YUFUIN代表の平川順基氏とともにホンダ太陽を訪問。この訪問が鎌田にとって「運命」と感じた平川氏との出会いでした。
ENOWA YUFUINは、日本を代表するオーベルジュ。オーベルジュとは、宿泊施設を備えたレストランのことで、ENOWA YUFUINは「ボタニカルリトリート」(植物や自然に囲まれた、心身をリフレッシュする時間や場所のこと)をコンセプトとして、FARM to TABLEの考えを推し進め、自社で育て、その日に収穫した食材を提供する-というキーワードのもとに運営しています。
ホンダ太陽を訪問した廣瀬氏と平川氏に、鎌田は事業内容や施設内の説明を行ない、ホンダ太陽の実態と、そこで働く人々の現状を理解してもらうことから始めました。その際の廣瀬氏と平川氏の反応に、大いなる可能性を感じたのでした。
廣瀬氏、平川氏との出会いが「運命的だった」と語る鎌田氏
「ホンダ太陽で何か農業とかかわれないか--と検討を開始して5年。工場の作業環境でもいろいろ壁に当たりますが、出来ない理由を考えるより、出来る方法を探す方が楽しい。私は本田宗一郎さんの『やってみもせんで』という言葉が大好きです。やってもみないであれこれ考えるより、本田さんのふるさとの遠州言葉である『やらまいか』の精神で農業に挑戦しようと検討していました。そんな時に廣瀬さんと平川さんに来社いただいて、おふたりの反応に大いに感じ入るものがありました」
廣瀬氏は、どうして平川氏をホンダ太陽に紹介したのか、そして、平川氏は、ホンダ太陽の農業への挑戦に対して、どのような姿勢で協力を申し出たのか。様々な人々の協力を得て、ホンダ太陽は農業分野へ、新たな一歩を踏み出すことになります。
※続く
