焚き火の上手な終わらせ方を検証！
薪の追加をヤメる時間の目安は？

これから焚き火の上手な終わらせ方を検証していくわけですが、どんな状態で終えるのがベストだと思いますか？

そうですよね。可能であれば、これ以上燃えることがない状態である「灰」にするのが、一番安全ですよね。
それに、燃やしきって灰にすることは、安全面だけではなく、自然に還元できるという側面もあるんですよ。

わかりやすく説明するために、薪が灰になる仕組みから紹介しますね。
まず、薪が熱せられると水分が蒸発して、中から可燃性のガスが出てきます。このガスが酸素と結びつくことで初めて、薪は燃えるんです。

そして、燃焼してガスを出し切った薪は炭になります。炭になると空気に触れる面の炭素が酸素と結びついて、表面だけが静かに燃えるようになります。

その熾火が続いて炭素も燃やし尽くすと、最後に薪の不燃成分＝灰だけが残るんです。炭は分解されずに自然界に残り続けるのに対して、灰は土の養分になるんですよ。

よし！じゃあ今日はせっかくだから、完全に燃やし尽くすことをゴールに検証していきましょう。

薪の組み方も統一して着火剤も使っているので、火付きの差は感じないですね。

これは木が自然発火する温度帯です。着火剤の火によって薪がしっかり熱せられて、火がつく状態になっていることがわかります。

ここまでは薪をいじる頻度をほぼ同じにしたので、広葉樹との差が出ましたね。

針葉樹はよく燃えすぎるが故に、火が周囲に移る前に燃え尽きてしまったんです。対して広葉樹は燃えるのが遅いから、放っておいても火がじわじわと周囲に移っていく。針葉樹の薪を燃やし続けるには、頻繁に手を加える必要があるということです。

とはいえ、燃えてくれないと検証にならないので、ここからは針葉樹だけ火が消えないように薪の位置をズラしたりして、手を加える回数を増やしてみましょうか。

薪から出てきた可燃ガスが燃えている温度帯ですね。薪が着々と炭に変化していっていることがわかります。

広葉樹とミックスは最初にくべた薪はほぼ熾火になっていて、後から足した薪だけが炎を上げています。針葉樹も手を加える回数を増やしたことで、炭化が進んでいますね。

まだ薪から可燃ガスが出ていると思われます。広葉樹とミックスは熾火になって温度が下がりました。

わかります（笑）。では最後の薪も投入してラストスパートに入りましょう。

燃えるスピードの早い針葉樹の方が、より全体が黒く変化していますね。ただしもっと手を加えないと、この大きさの薪を燃やしきるのは難しいかもしれません。逆に広葉樹とミックスは、ここから放っておいても炭と灰になるはずですよ。

はい、やってみましょう。

広葉樹とミックスは、最後にくべた薪もほぼ炭と灰になりましたね。

薪が含む水分の量や風の強さ、手を加える頻度、焚き火台の構造、気候といった条件にもよりますが、ひとつの目安にはなると思います。針葉樹の薪も、燃えやすいように薪の置き方を変えるなどすれば同じくらいの時間で燃やしきれるはずです。
針葉樹の薪を燃やしきるコツは、検証が終わったあとに解説しますね。

はい。小さな炭でも500〜600℃もあるので、ぱっと見で燃えていないように見えても、まだ片づけをはじめるのは危険です。今回は、ここからさらに広葉樹とミックスを最後まで燃やしきっていきましょう。

針葉樹を燃やしきるにはとにかく手を加えるのが大事ですね。焚き火台につきっきりであれば結果は変わったと思います。

ミックスであれば、燃え残りやすい針葉樹も火持ちのよい広葉樹が隅々まで燃やしてくれます。針葉樹のウィークポイントを補ってくれたので、広葉樹だけの場合とあまり差が出なかったのでしょう。

この結果を踏まえて、就寝や撤収の最低でも2時間、できれば3時間前には薪の投入を終えるようにしたいですね。そうすれば、きれいに燃やしきった状態で焚き火の後片付けができるはずです！

薪を燃やしきるという点に絞って、すごく簡略化した理論を紹介します。
焚き火の公式は以下のように考えてください。

薪と薪が交差する箇所のことです。クロスポイントを増やすことで薪から発生する熱やガスを与え合うようになり、効率のよい燃焼が可能になります。

そして燃焼には必ず空気が必要です。薪が空気に触れる面積を増やしたり、空気を強制的に送り込んだりすれば火力は上がります。ただし、薪をくっつけて並べるのは公式にあてはまらないので注意。クロスになりませんし、空気と触れる面積も減って逆効果です。