「花炭」を作ろう!作り方や
飾り付けのアイデアをご紹介

更新日:2022.03.23

こいしゆうか
炭のプロに聞いた、
花炭の作り方をご紹介します!

こんにちは!こいしゆうかです。

みなさん、「花炭」ってご存知ですか?
花炭は、松ぼっくりや葉っぱなどを炭化させたもので、かつて茶道などで観賞用として用いられていたそうです。別名「飾り炭」とも言われ、最近では活きた花などと組み合わせて、インテリアとしてお部屋に飾る人もいるんですって。炭は脱臭や調湿効果もあるし、それでいて見た目にも美しいなんて一石二鳥!

しかもキャンプ場で拾える素材でも作れるから、キャンプの遊びにもピッタリなんです!

そこで今回は、炭作りに詳しい先生に教えてもらいながら、キャンプで花炭を作ってみたいと思います。加えて、できあがった花炭とドライフラワーなどを組み合わせてオリジナルの飾り炭も作っちゃいます。

なお、花炭の作り方は私たちがキャンプやBBQで使う炭や、ブッシュクラフト好きなキャンパーが作る火口用の布「チャークロス」と、基本的には一緒なんだそうですよ。

今回教えてくれたのは

一般社団法人 岩手県木炭協会
阿部 哲さん

岩手木炭のブランド管理をする岩手県木炭協会の職員。岩手県独自の炭窯「岩手窯」の工法を熟知し、炭の生産者と二人三脚で岩手木炭の生産を行う炭のプロ。

花炭作りに必要な道具

普段キャンプで使っているグローブと焚き火台を使えば、新しく揃える道具は缶とキリだけでOK。とっても手軽に楽しめます。

必要な道具

・ブリキの缶(長方形のもの、丸形のもの)
・キリ(缶の蓋に穴をあける用)
・グローブ
・焚き火台(缶の大きさによってはバーナーでも可)

缶は直接火にかけるため、熱に強いブリキかスチール製のものにしましょう。
ブリキやスチール製の缶はインターネットやホームセンターなどで購入することもできます。

缶は火にかけるとすすけて汚れてしまうので、他の用途で使い終わったものを使うのがおすすめです。蓋がない場合は、アルミホイルを何枚か重ねて蓋代わりにすることもできますよ。
また、キリがない場合は、先端が細いペグで穴をあけることもできます。

花炭の素材は乾燥した「植物性のもの」がおすすめ!

花炭作りにおすすめの素材は、葉っぱや枝などの「植物性のもの」。乾燥したものほど水分や不純物を熱で飛ばしやすく、きれいに炭化できます。

キャンプ場内に落ちているものの中にもたくさんあるので探してみましょう。杉の枯れ葉や松ぼっくりなどは、キャンプ場でも見つけやすい植物性のものの代表例です。

花炭は観賞用なので、炭化させる前の状態で見た目が美しいものを選ぶのもポイントです。

クリスマスリースなどの飾り付けで使われることの多い、「シダーローズ」という松ぼっくりはおすすめですよ。その名の通り、バラの花のような形をしていて炭化した後も美しい。キャンプ場で見かけることは多くないのですが、インターネットなどで購入できます。

先生に教えてもらったことを思い出しながら、キャンプ場で素材収集。今回は杉の枯れ葉、松ぼっくり、どんぐりに加えて、「見た目枠」としてちょっと水分は多そうですが、枯れはじめて地面に落ちていた椿の花も拾ってみました。

今回キャンプ場で拾った素材

・杉の枯れ葉
・松ぼっくり
・どんぐり
・椿の花

葉っぱや木の実のほか、割り箸や乾燥している竹など、植物性のものなら何でもOK。いろいろな素材で試してみましょう。

今回は他にも、先生おすすめのシダーローズ(写真下)を事前に購入しておき、キャンプ場に持ってきました。見た目にこだわりたい方は、好きな素材を事前に準備しておきましょう。

実はシダーローズと一緒に「大王松」という種類の松ぼっくり(写真上)も購入していたのですが、大きすぎて準備した缶に入りませんでした…(涙)。
素材を事前に準備する場合は、見た目だけでなく、大きさも必ずチェックしましょう!

缶の準備と素材を入れる際のポイント

素材が揃ったところで、準備に取りかかります。まずは用意した缶の蓋にキリで穴をあけます。この穴から、素材を炭化させるときに発生するガスが缶の外へと放出されます。穴をあけておかないとガスを放出することができず、蓋が勢いよく飛んでしまうので、必ず穴をあけるようにしましょう。

穴は真ん中ら辺に1ヶ所あいていればOK。穴の大きさは缶の大きさによって少し調整が必要ですが、大雑把で問題ありません。
手のひらサイズの缶ならキリの太さ、それより大きい缶ならペグくらいの太さを目安にすればOKです。

ちなみに今回使った缶のサイズは、長方形のものが縦16cm×横24cm×高さ5cmほど。キリであけた穴にペグを差し込んで、ハンマーを使って穴を大きくしました。
丸い缶(直径7cm)の方は、キリであけた穴のままです。

缶の蓋に穴をあけたら、続いて中に素材を入れます。

缶に素材を入れるときのポイントは、なるべく体積が似たもの同士をひとつの缶にまとめること。いろんな種類のものをひとまとめにしたいところですが、焼きムラができたり、灰になってしまう可能性があります。

また、素材同士がぶつかって壊れてしまわないように、ほどよい間隔で素材を缶の中に並べます。底面の8〜9割程度が埋まるくらいがベストです。

今回は3つの缶を用意し、左の丸い缶にはどんぐりなどの木の実を中心に、中央の缶には松ぼっくり、右の缶には杉の葉や木の枝、椿の花といった細めのものや花びらなど薄いものを入れました。

炭化作業のポイント

焚き火を準備したら、いよいよ炭化の作業。まずは松ぼっくりを入れた長方形の缶から火にかけます。

火力の目安は缶の底面全体に火があたる程度、中火くらいです。火が強すぎると缶の中まで火が入ってしまい、中の素材が燃えてしまうので気をつけましょう。

早速、煙が勢いよく出てきた!

白い煙が出ているのは、素材の水分や不純物が抜けている証拠です。

炭は原材料を直接燃やして作るのではなく、酸素を遮断して熱を加え、蒸し焼きのようにすることで炭化させていくんです。
実はキャンパーさんが普段BBQなどで使う炭を生産するときも原理は一緒なんですよ。

へー。
てっきり原材料を直接燃やしているのかと思っていました。

そういう方法で生産する炭もありますが、今回の方法のように、じっくりと時間をかけて炭化させるほうが不純物の少ないきれいな炭になるんです。

蓋に小さな穴をあけたのは、酸素の供給を制限しながらも、中で発生した水分や不純物などを排出するためなんです。こうして不純物を抜いていくことで、最後に炭素が残る。つまり炭ができあがるというわけです。
徐々に煙の量が減って、色も薄くなってきますよ。

20分後…

本当だ!
煙の色が薄くなってきて、ほとんど出なくなってきた。

こうなったら炭化が終了した合図。火から離して冷ましましょう。

よく乾燥した松ぼっくりが素材だったので火にかける時間が20分くらいでしたが、水分の多い素材ではもうちょっと時間がかかることもあります。

煙がほとんど出なくなったら缶を焚き火から離し、冷ましたら完成です。
缶が冷めた頃合いを見計らって蓋をあけてみると、

ご覧のとおり、いい感じに松ぼっくりが炭化しています!
端っこにあったものだけ炭化が少し甘いものの、なかなかの出来。

ちなみに、こちらが先生おすすめのシダーローズ。バラの花みたいできれい!

なお、完成した炭は壊れやすいのでていねいに扱いましょう。

バーナーで炭化する際のポイント

小さめの缶ならバーナーで炭化することもできます。その場合は、必ず五徳の大きさに合った缶を使うようにしましょう。五徳にのせたときに不安定だと、缶が落ちて怪我や事故に繋がりかねないので注意。

やり方は焚き火のときと同じです。バーナーの五徳に缶をのせて点火。火力は中弱火程度にしました。

最初は白い煙。

煙の色が薄くなって、量も少なくなったら火から外し、冷ませば完成です。
なお、缶をあけてみて炭化が甘いようだったら、再度蓋をして追加で火にかけてもOKです。

どんぐりなどの木の実をきれいに炭化することができました。
出来栄えは焚き火と変わりませんので、やりやすい方で作業しましょう。

バーナーでやるのもお手軽でいいかも!

最後に、残りの缶も同じように焚き火にかけて(約15分)、炭化の作業は完了です。

杉の葉の形がそのままなのに感動!
「見た目枠」として期待していた椿は、やっぱり水分が多かったのか、ちょっと不格好になっちゃっいました…。きれいに作るには乾燥も重要ですね。

オリジナルの飾り炭を作ろう!

できあがった花炭を使って、お家でインテリアとして飾りたくなるような飾り炭を作ってみましょう。どんな風に作るかは自分次第。キャンプ場で拾える素材だけを使って作るのもいいですし、ドライフラワーなどを購入して彩りを添えるのもおすすめです。

飾り炭作りに使った道具は、充電式のグルーガン(接着剤などでも可)、ハサミ、ピンセット。ドライフラワーや木の実、土台の木などは、事前にインターネットで購入して準備しました。

作り方はとっても簡単。グルーガンを使って土台に花炭をくっつけたら、その周りに飾りの素材をくっつけていくだけ。

細かい作業はピンセットを使った方がやりやすいので、こだわりたい方はぜひご準備を。

ドライフラワーなどで彩りを添えると炭とのコントラストが美しく、一気に華やかになりました!

完成した飾り炭がこちらの2つ。作品のテーマは、春の森(左)と野鳥の森(右)です。

春の森は、炭化した松ぼっくりを中央に配置しながら周囲にカラフルなドライフラワーなどを配置して、春を演出。
野鳥の森は、松ぼっくりと枝を木に見立てて、色のついた木の実を野鳥が食べにくる木をイメージしました。

作っているうちにどんどんイメージが膨らんで、夢中で何個も作ってしまいそうでした。

今回は飾り付けの作業もキャンプ場でそのままやりましたが、花炭を持ち帰って家でゆっくりと作業するのもいいですね。植物だけでなく、人工物と組み合わせるのも面白そう!

炭作りの原理も知れたし、
オリジナル飾り炭ができて大満足!

花炭作りを通して、自分たちが普段使う炭がどうやってできているのかも知れたし、お気に入りの飾り炭もできて大満足。

飾り炭作りは子どもの自由研究にいいかも?なんて思っていましたが、大人がやっても楽しくてびっくり!親子で一緒にキャンプで作れるのでとてもおすすめです。
ぜひ、みなさんも花炭作りに挑戦してみてください!

今回の遊び場

有野実苑オートキャンプ場
〒289-1222 千葉県山武市板中新田224-2
https://arinomi.co.jp/

今回登場したクルマ:フィット

※このコンテンツは、2022年3月の情報をもとに作成しております。