キャベツ収穫体験スタート
見渡す限りをキャベツが埋め尽くすのが、この季節の嬬恋の景色。それらのすべてを農家の方々が大切に育ててくれたことに思いを馳せながら、丁寧に収穫します。
収穫のイロハも教わって準備は万端。キャベツをどんどん獲っていきたいと思います! 教わったとおり、キャベツの外葉を剥いてキャベツの根元が見えるようにしたら……。
根元に包丁の刃を添えて押し込みます。ザクッからのサクッという感じで、スッと切れました!
思ったよりも簡単かも! 松本さん、どうでしょうか?
100点満点! ……と言いたいけど、キャベツを裏返してみてください。
これだと無駄な部分があって箱に収まらないし、見た目的にも出荷できないかな。サッときれいにしちゃいますね。
そう言うや否や、包丁をキャベツにあてがう松本さん。
あっという間にお店にならんでいるきれいなキャベツになりました。
関根さんならすぐにできるようになりますよ! 今日は特別に多めに収穫してもらうので、どんどんやってみましょう!
普段から包丁を扱っている身としては負けてられません。先生の教えを復唱しながら、キャベツの収穫にチャレンジ!
葉っぱと根元の間に包丁の刃がしっかり入っていることを確認して、慎重に……。
そうして5〜6玉を収穫していると、段々ときれいに切れるようになってきました!
ようやくコツをつかんできたけど、これは大変なお仕事ですね! 農家の方々は1日でどれくらい収穫されるんですか?
繁忙期の8月〜9月だと、だいたい1人で1,500〜2,000玉くらいかな? 朝3時くらいからスタートして、忙しいときはお昼すぎまで作業をすることもありますね。
に、2,000玉!!! それでも獲り尽くせないくらい、次々にキャベツが育ってくるんですね。
タイミングをずらしながら苗を植えているので順繰りに収穫できるんですよ。
なるほど。キャベツがここまで丸々と育つにはどれくらいかかるんですか?
3月くらいから嬬恋から少し離れた比較的暖かな土地で苗を育て始めて、4月くらいに嬬恋の寒さが和らいできたら、育った苗から畑に植えていきます。標高によって気温差があるので、収穫のタイミングを計算しながら植える畑をずらしていって、6月くらいに最初の収穫を迎えるスケジュールです。
6月から8月ごろまでは収穫と並行して秋に収穫するキャベツの苗も植えるので大忙しです! そして8月から9月にかけてが収穫の最盛期で、10月いっぱいくらいまで収穫が続きます。
一緒に作業しながら、松本さんにキャベツのあれこれを伺います。
嬬恋のキャベツは夏秋キャベツと言われるけど、本当に夏と秋のあいだずっと収穫しているんですね。なぜ嬬恋ではこんなにもキャベツが名産になったんでしょう?
キャベツは高温と干ばつに弱い野菜なので、夏でも涼しくて雨が良く降る嬬恋はうってつけの環境なんです。しかも嬬恋は浅間山などの火山に囲まれていて、火山灰を含んだ排水性の良い栄養豊富な土壌が広がっています。さらには昼夜の大きな温度差によって葉に糖度が蓄積されるので、嬬恋のキャベツは甘くてみずみずしくなるんです!
勉強になります! おいしさの秘密を伺っていたらキャベツを食べたくなってきちゃいますね……。
そうですよね(笑)。もう少し収穫したら箱詰めをして、キャベツの試食に移りましょうか!
ということで30分ほどかけて全部で25玉のキャベツを収穫しました! ちなみに頭に被っているのはキャベツの外葉です。冷却効果があって日除けになると松本さんが教えてくれましたが、農家の方々が実際に被っているのかについては答えを濁されました……。
「まずは自由にやってみて!」という松本さんの言葉に促されて、キャベツの箱詰めにチャレンジ! 「8玉で1箱」という情報だけを頼りに、最適と思われる収め方を考えます。
一般的に球体を充填する場合、互い違いに重ねるのが最も効率が良いはず……。 松本さん、この詰め方でどうでしょう?
これは……これまで収穫体験に来た大勢の人にチャレンジしてもらったけど、初めて見ました……。
正解は、キャベツを立てて並べる左の詰め方でした。考えてみれば、右の詰め方だと下のキャベツが上のキャベツの重さで傷んじゃいそうですよね。
改めて正しい詰め方にチャレンジ。なるほど、たしかに詰めやすいし、箱の中でもキャベツが安定しそう。
収穫したキャベツを詰め終えました! 1玉が約1kgだから1箱で8kgはある計算です。
キャベツを詰め終えたら、お待ちかねの試食タイム! 松本さんがその場でキャベツを割って、食べさせてくれます。それにしても、この断面のみずみずしさたるや!
芯の部分は特に甘みが強いらしく、確かに香りも濃厚なような……。それでは、いただきます!
「思ったとおり、おいし〜〜い!!!」
「でしょ〜!!!!」
甘みが立ってシャキシャキで、苦みも少なくてすごく美味しいです! 獲れたての新鮮な野菜をいただくのって、本当に贅沢だな〜って思います。
今日収穫したのは清交27号という品種なので、特に甘みが際立っているはずです。
普段はキャベツの品種を意識することがないので、味に違いがあることに驚きます。
あまりみなさんご存じないのですが、市場に出回っているキャベツは100種類以上もあって、嬬恋村だけでも35種類ほどのキャベツをつくっています。それぞれ特徴があって、TCA-490という品種はなぜか熊が嫌がって食べなかったりするんですよ(笑)。
いつも食べていて感じた味の違いは、品種の差だったのかも!
嬬恋キャベツは夏秋キャベツと言われますが、品種的には生食向きの春キャベツと、ぎっしりとした葉の重なり方をする煮込み向きの冬キャベツの両方があります。生でも煮ても焼いても美味しい万能選手なんです。ということで、お土産用のキャベツは3つの品種を用意させてもらいました。特徴を活かした調理するとより美味しさを引き出せるはずなので、ぜひチャレンジしてみてください!
お土産に「清交27号」「TCA-490」「419(ヨンイチキュー、別名:麗峰)」の3玉をいただいて収穫体験は終了。とっても楽しかったし、なにより勉強になりました!
ちなみに「419」は知る人ぞ知る特別な品種なのですが……詳細は後ほど!