地産地消キャンプ飯旅「神奈川編」地引網体験×ハナダイの炊き込みご飯

地産地消キャンプ飯旅〜ご当地食材と食育体験をめぐる旅〜

地産地消キャンプ飯旅「神奈川編」地引網体験×ハナダイの炊き込みご飯

体験レポート
地産地消キャンプ飯旅〜ご当地食材と食育体験をめぐる旅〜

こんにちは、アウトドアコーディネーターの小雀陣二です。Hondaキャンプでは「はじめまして」になりますが、普段はキャンプ料理のレシピ本を出していたり、神奈川県の三浦半島でカフェを営んでいたりします。

今回は大好評だった地産地消キャンプ飯旅の第2弾。風森さんが広島で体験した「かきの水揚げ」に続いて、今回は神奈川県の袖ヶ浦海岸で「地引網漁」に挑戦しつつ、地域の食材で“地産地消キャンプご飯”を作ります。

関東地方で地引網漁と言えば九十九里が有名ですが、袖ヶ浦海岸がある相模湾の地引網漁も盛んで、その歴史は鎌倉時代まで遡るとか。今回の舞台となった袖ヶ浦海岸以外でも、相模湾の各地では今でも地引網漁が行われているそうです。

地引網漁と言えば、実際に網を引き上げてみないと何が獲れるかわからないワクワク感も醍醐味の1つ。獲れた魚を使った即興メニューで絶品“キャンプご飯”を作っていくので、みなさんもぜひ真似してみてください。

小雀 陣二

小雀 陣二 こすずめ じゅんじ

雑誌やイベント、メディアで活躍中のアウトドアコーディネーター。特に料理を得意にしていて、ダッチオーブン料理や焚き火料理を中心に、アウトドア料理のレシピ本も多数執筆。

今回の旅マップ

今回の旅マップ

地引網を体験できる「湘南地引網・市五郎丸」からスタートして、「わくわく広場 二宮店」で地域の食材を買い求めたら、ゴールの「ビオトピアオートキャンプ場」を目指します。

日の出直後の袖ヶ浦海岸に到着!地引網体験へ

袖ヶ浦海岸

今回挑戦するのは「湘南地引網・市五郎丸」が行っている、本格的な体験コース。漁師さんの日々の営みである地引網漁に、お手伝いという形で参加させてもらいます。

ルートマップ

湘南地引網・市五郎丸で地引網を体験して、魚をおすそ分けしてもらいます。

ドライブの様子

南側に太平洋を望み、東西約40kmにわたって緩やかな弧を描く相模湾。徐々に白んでいく空に包まれながらZR-Vで海岸線を進み、袖ヶ浦海岸を目指しました。

海岸

今回の地引網体験の舞台となる海岸に到着! 漁師さんたちはすでに準備にとりかかっています。

湘南地引網・市五郎丸「地引網体験」

湘南地引網・市五郎丸「地引網体験」

湘南地引網・市五郎丸の地引網体験には、大人数のグループで楽しむBBQ付きの「貸切観光地引網」と、1人でも参加できる「1名様からの地引網体験」の2つがあります。詳細は湘南地引網・市五郎丸のホームページで確認してください。

湘南地引網・市五郎丸「地引網体験」

地引網体験で海に入ることはないので、普段着&手ぶらで参加できます。濡れてもよい格好が良いと判断して、今回はレインシェル+長靴を着用して挑みました。

ここで、地引網体験をガイドしてくれる湘南地引網・市五郎丸の大谷周さんに登場いただきましょう!

小雀陣二

大谷さん、本日はよろしくお願いします。地引網漁は初めてなので、とても楽しみにしてきました!

大谷周

袖ヶ浦海岸にようこそ! 今日は我々が毎朝行っている地引網漁を最初から最後までお手伝いいただきます。船を出す作業から網を揚げるところまで網の仕掛け以外はすべて体験いただけるので、地引網漁のすべてがわかってもらえるはずです。

小雀陣二

船を出す作業から! それはハードそうですね……。

大谷周

なーに、大丈夫ですよ。何事もチャレンジですから!

小雀陣二

ちなみに引っ張る網はどれくらいの大きさなんでしょうか?

大谷周

ロープが片側だけで約200m、ロープの先には魚を捕獲する袋状の網が付いていて、この大きさは約200mになります。全長で約600mにもなるので、すべて引っ張りきるのはけっこう大変ですよ〜。

小雀陣二

そんな大きな網が魚でいっぱいになったら、とんでもない量になりますね。

大谷周

もちろん自然相手なので結果は日によってバラバラです。よく獲れる日は何回も船を出しますし、いまいちな日は1回の漁で終えることも……。

小雀陣二

具体的に、どういう条件だとよく獲れるんですか?

大谷周

大事なのは、魚が集まるポイントに網を仕掛けられるかどうかですね。その日の潮の流れによって変化するので、状況をしっかり見極められるかが漁師の腕の見せ所です。

小雀陣二

なるほどです。今日も大漁だといいですね!

大谷周

台風が近づいて波も高いので難しいかもしれませんが……頑張ります!

地引網漁の紹介

地引網漁の工程(市五郎丸の場合)

地引網漁の工程(市五郎丸の場合)

① 網の準備
網の両端にロープを付けて、片方のロープを海岸に固定。船を海に出します。

② 網の仕掛け
沖合まで進んだあと、海岸と平行になるよう網を張ります。

③ 網の引き揚げ
戻ってきた船が積んでいるロープと海岸で固定したロープの両方を引っ張ります。

④ 漁獲
ロープが付いた網が海岸に引き上げられて、魚が捕獲されます。

漁師さんに混ざって地引網漁スタート!

地引網漁の様子

いよいよ地引網漁のスタートです! 網を積んだ船を海まで運ぶべく、船底を傷から守る「平棒」と呼ばれる木の枠を浜に並べて、その上に船を滑らせていきます。

地引網漁の様子

人の力だけで重たい船を運ぶのはかなりの力仕事。漁師さんの足を引っ張らないよう、歯を食いしばって全力で押していきます。

地引網漁の様子

大人7~8人で力を合わせ、無事に船が着水! 大谷さんの言うとおり、台風の接近によって海は荒れ気味で、波も高めです。

地引網漁の様子

離岸して数分、船が仕掛けのポイントに到着しました。浜から300mほど離れた沖合をゆっくり横切っていきます。

地引網漁の様子

船を走らせながら網を落としていく漁師さんたち。果たして仕掛けたポイントに魚群はいるのでしょうか?

地引網漁の様子

網を仕掛け終えた船が帰還するとすぐに船から投げられたロープを浜にいる漁師さんが受け取り……。

地引網漁の様子

ロープを持って浜の奥に走ります。そのスピード感と阿吽の呼吸は、まさにチームプレーそのもの。

地引網漁の様子

続けて、ロープをウインチにセット。地引網漁は大勢の人で網を引くイメージがありますが、現在は機械の力を借りて網を引き上げるのが主流なのだとか。

地引網漁の様子

準備が整ったら、二手に分かれて全員でロープを引っ張ります!

地引網漁の様子

準備が整ったら、二手に分かれて全員でロープを引っ張ります!

地引網漁の様子

ウインチを使っているとは言え、総勢わずか8人で全長600mものロープ(+網)を引っ張るのは大仕事。気づいたら奥歯を強く噛み締めていました。

風間周

小雀さんいい感じですね! ちゃんと引っ張れてますよ〜。

小雀陣二

あ、ありがとうございま〜す!(必死)

地引網漁の様子

全力でロープを引き続けること十数分、徐々に網が見えてきました。

地引網漁の様子

網のなかに確かに魚がいるようです! 悪天候でも魚がかかったことに、まずはひと安心。

地引網漁の様子

どんな魚が獲れているのか!網をあけるのが楽しみです。

小雀陣二

料理に使いやすい魚がいてくれ〜!

本日の食材を無事ゲット!獲れた魚は・・・

地引網漁の様子

網を引き揚げ終えたら、いよいよ結果の確認へ。獲れたすべての魚をいったん1つの桶に移してから、種類ごとに仕分けしていきます。

地引網漁の様子

ということで、これらの魚が今回の全成果となります! 一番目立つハナダイを筆頭に、カマス、ショゴ(カンパチの幼魚)、ホウボウなどが獲れました。

地引網漁の様子

なかには、四角いフォルムが愛らしいハコフグの姿も。

地引網漁の様子

獲れた魚を見ていると、どんな料理に使おうかと考えて楽しくなってしまうもの。気づいたら笑みがこぼれていました。

小雀陣二

ハナダイが獲れるとは……!予想外だったけど、サイズもちょうどいいし使いやすそう。カマスは小ぶりだし素揚げがいいかも。ショゴは捌いて一手間加えようかな。

最後にいくつか見繕った魚をおすそ分けいただいて、今回の地引網体験は終了となりました。

小雀陣二

お疲れ様でした! 悪天候のなかでも無事に魚が獲れてよかったです。

大谷周

ありがとうございます。せっかく小雀さんが手伝ってくれたのに、海が荒れていたために芳しくない結果になってしまいましたね。

小雀陣二

とんでもない! 調理するのが楽しみな魚ばかりでよかったです。今回はハナダイが多めでしたが、他にはどんな魚が獲れるんですか?

大谷周

相模湾の近海物になるので、やはりアジやイワシなどの青物系が多いですね。調子が良い日は10個ほどある桶がすべて埋まることもあるんですよ。あとはシラスも相模湾の名物ですが、海水温が上昇しているせいか近年は量が減少しています。

小雀陣二

やはり気候変動の影響が現れているんですかね……。それでもこうして魚が獲れるのだから、相模湾の恵みに感謝したいと思います。

大谷周

相模湾の海は古くから「瀬の海(せのうみ)」と呼ばれていて、5kmほどの沖合に水深50〜100mの大陸棚が広がっています。そこで暖かい太陽の光を受けてプランクトンが多く発生するので、多くの魚が集まってくるんですね。本当に、自然が作りだしてくれた絶好の漁場だと思います。

小雀陣二

だから相模湾は地引網漁が盛んなのですね。

大谷周

ただ、それでも最近は観光地引網が大半で、地引網漁だけで生計を立てている漁師さんは少なくなりました。理由はいくつかあるのですが、1つは漁師の高齢化。そしてもう1つは護岸の整備による相模湾の砂の減少です。砂浜が削られて、地引網漁そのものが難しくなっているんです。

小雀陣二

そんな状況でも地引網漁を行うのは大変ですね……。

大谷周

幸いにも私たちはまだ地引網漁ができる環境にあるので、日々の漁と観光地引網を両立しています。みんなで一丸となって網を引く作業はレクリエーションとしても楽しいはずですし、なにより地引網漁という文化を継承できるまたとないチャンスですから。今回の小雀さんのように1人でも参加できるコースを設けているのも、文化を伝えるという意識が強いですね。

小雀陣二

おかげで私も地引網漁についてよく学べました。いただいた魚も大切に調理したいと思います!

  • 走行中は安全のため、シートベルトをお締めください。
  • 安全のため、走行の際は後方視界をしっかり確保してください。
  • このコンテンツは、2025年7月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。

今回使用したクルマ:ZR-V

更新日:2025.03.31