漁場に到着すると、すでに水揚げが始まっていました。漁師の方々が牡蠣筏とクレーン付きの船に分かれて、作業に没頭しています。
ものすごく高く吊されてる!
もしかしてあのワイヤーに付いているゴツゴツの全部が牡蠣ってこと!?
その通り! あのワイヤーは垂下連(すいかれん)と言って、10mほどの長さのワイヤー1本に300〜500個の牡蠣が付いています。1回の水揚げで10本の垂下連を引き上げるので、全部で4000個くらいの牡蠣が獲れる計算です。
10月〜5月にかけてのシーズン中は、お休みの日以外はほぼ毎日ですね。このあたりだけでも5〜6社の養殖業者がいるので、広島全体ではとんでもない量の牡蠣が獲れていると思いますよ。
想像できない! 広島が牡蠣の水揚げ日本一というのも納得です。
牡蠣の水揚げ量は全国で約16.6万トン、広島が9.6万トンで約6割のシェアですから
※。日本に住んでいて牡蠣を食べたことがあるなら、一度は広島の牡蠣を口にしているはずですよ!
※農林水産省:海面漁業生産統計調査 令和4年
巻き上げられたワイヤーの下部にあるストッパーを切り離すと、ぶら下がっていた牡蠣が一気に船になだれ込んでいきます。壮観です!
牡蠣筏の上を軽々と移動して、次々とワイヤーを引き上げていく漁師さん。落ちたりしないのかな? と思ったら、まれに脚を滑らせてしまう人もいるそうです。
こんなにたくさん獲れるなんて、養殖の技術に感心しちゃいます。
広島で牡蠣の養殖が始まったのは400〜500年くらい前と言われていて
※、養殖した牡蠣を「かき船」という船で大阪まで輸送するようになったのがおよそ350年前。私たち島田水産もその時代から牡蠣を養殖して、かき船を出していたと伝わっています。
※諸説あります
江戸時代から続いてるなんて! 日本人は昔から牡蠣が大好きなんですね。
見学船は牡蠣筏に横付けするように停泊。こんなに近いところで見学するとは思ってなかったので、想像以上の大迫力でした。
竹で組み立てられた牡蠣筏。当初は杉やヒノキを材料としていたそうですが、しなやかで波風に強い竹が主流になったそうです。
ツアー中は島田さんをはじめ、見学船に同乗した漁師さんがいろいろ教えてくれます。目から鱗の話ばかりで、すごく勉強になりました。
竹で組み立てられた牡蠣筏。当初は杉やヒノキを材料としていたそうですが、しなやかで波風に強い竹が主流になったそうです。
ツアー中は島田さんをはじめ、見学船に同乗した漁師さんがいろいろ教えてくれます。目から鱗の話ばかりで、すごく勉強になりました。
どうして広島ではこんなにたくさんの牡蠣が育つんですか?
このあたりは海と山が近く、山の豊富な栄養を含んだ水が海に流れ込むことで、牡蠣のエサになるプランクトンがよく育つんです。加えて、入り組んだ小さい島が多いおかげで、プランクトンが貯まりやすいんですね。他にも穏やかな潮の流れや水温変化、海水のほどよい塩分濃度など、たくさんの条件が牡蠣の養殖にうってつけになっています。
牡蠣にとって最高の環境が自然にできあがっているんですね!
その通り! それでは水揚げの見学はここまでにして、厳島神社に向かいましょうか。
見学を終えた船が舵を切ると、すぐに厳島神社の大鳥居が見えてきました。
海に向かって立つ大鳥居の勇壮な姿には惚れ惚れするばかり。海の碧と鳥居の朱の美しいコントラストに、ただただ見入ってしまいました。
以前宮島にフェリーで渡って陸路でお参りしたことがあります! でも海側からは今回が初めてです。
今の時間は潮が引いてしまっているのですが、潮が満ちていると大鳥居にもっと近づいて参拝いただけますよ。
まさか海上から見られるとは……最高の体験になりました。ありがとうございます!
それはなにより! では陸に戻って、牡蠣打ち場の見学に移りましょうか。