第1日目
日本大会、アメリカ大会を終え、トライアル世界選手権は再びヨーロッパに戻った。第7戦イタリア大会は北イタリア、ベルガモからさらに約60km程の山岳地帯(標高1500m)にあるFopporoで開催された。
設定されたセクションは、とてもグリップの悪いコケの生えたロックセクション。今シーズン最も難しいと思われるセクション群に、世界のトップライダーが挑む。
第3セクションまではさほど難しいセクションではなかった。しかし第4セクションから難度が増した。ほとんどのライダーが第4セクションで5点を喫した。そんな中、ドギー・ランプキン(Montesa-HRC)ただ一人がクリーンを出す。
続く第5セクション。出口の岩のステアケースがライダーを阻み、ほとんどのライダーはセクションアウトすらできないでいる。ランプキンや藤波貴久(Montesa-HRC)さえもここを通過できず。結局1ラップ目は全員が5点。そしてセクション11も、全員が走破不可能となった。
1ラップ目の結果はランプキンが24点でトップに、そして藤波が33点で2番にいる。3番手はアルベルト・カベスタニー(ベータ)の38点である。
難しいセクションに、ライダー達は多くの時間を費やした。スタートから4時間半が経過した時点で、ようやくランプキン、藤波らトップライダーが2ラップ目へ向かった。ゴール時刻までの残りわずか1時間である。
慌ただしい2ラップ目だが、ランプキンは集中力を失わずパフォーマンスを発揮する。第4セクションを3点で通過し、結局2ラップを通じて、唯一第4セクションを通過したライダーとなったランプキンは減点数を最小限にとどめ、2ラップ目の減点は21点。これはこの日のセクション難度を考えれば、驚異的な減点数だ。そして合計45点で優勝することになる。
藤波も2ラップ目は調子をあげた。ランプキンにこそ届かなかったものの、2ラップ目をランプキンに次ぐ25点でゴール、合計58点で2位を獲得した。そしてアダム・ラガ(GAS-GAS)が2ラップ目を36点で追い上げて3位を確保した。
第2日目
土曜日の晩には雨が降ったが、日曜日は、再びよく晴れ、イタリア大会2日目は開催された。
土曜日に不落となったセクションには手直しが施されていたものの、しかし前夜の雨で、手直しもむなしく、セクションはグリップを失っていて、難度はさらに高くなっているように見えた。
しかし幸運にも、イタリアの太陽は、セクションの岩々を濡らす雨露を急速に乾かしていく。2ラップ目には、すべてのライダーが1ラップ目の自分のスコアを更新する結果となった。
不運なスタートを切ったのは、ランプキンと藤波だった。彼らはキャブレターのセッティングに問題を抱えたままのスタートとなり、第2セクションの登りでふたりとも減点5となった。ここはトップライダーにとっては、足をついてはいけないセクションで、ここでの5点は、トップ争いをしたいライダーにとっては、かなり深刻なものとなった。ランプキンは、この後さらに第3セクションでも、減点5となっている。
しかしランプキンは、第5セクションを全参加者中唯一の3点以内で抜けたライダーとなった。ランプキンは、けっしてあきらめずに、一つ一つのセクションを果敢にていねいに攻めていく。
好調だったのはマーク・フレイシャ(シェルコ)だ。第1ラップを終えて、フレイシャは17点。ランプキンは22点で、カベスタニーと同点2位ではあったが、5点の差はけっして小さくないように考えられた。これに続く4位のポジションにつけるのが、藤波だった。藤波は26点で、5位のラガに2点のリードだ。
しかし2ラップ目、ベストスコアをマークしたのが、前戦アメリカで自身初優勝を飾った、ラガだった。その減点はたったの10。このベストパフォーマンスで、ラガは2位の座を手中にした。
とはいえ、ランプキンの2ラップ目も、けっして悪くはなかった。ランプキンの2ラップ目の減点は13点、フレイシャが26点の減点をくらって優勝戦線から脱落していく中で、ランプキンはラガにわずか3点差ではあったが、ここでもまた、勝利を得たのだった。
藤波は、3位で表彰台に登ることとなった。フレイシャは勝利のチャンスから一転、4位まで落ちこんでいた。
試合の最後に、不幸なクラッシュがあった。ジョセップ・マンザノ(シェルコ)が最終15セクションの高い壁登りに失敗し、背中を強打、ヘリコプターで病院に運ばれたのだ。容体についての公式ニュースは発表されなかったが、頚椎を骨折している模様。ただし、手足を動かすことは可能ということだ。
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