第1日目
ツインリンクもてぎで開催された日本大会から1週間後、会場をアメリカに移して世界選手権第6戦が行われた。会場はワシントン州、シアトルとサンフランシスコの間に位置する場所にある。高低差のある岩盤、グリップの良い岩肌。セクションはスペインの地形によく似た傾向だった。そして難易度が高い。スケールが大きく実にアメリカらしい大会である。
1ラップ目は、トップライダー達はライバルの走りを見てからセクションに入ろうと、自分から先にセクションインしようとせず、1ラップに多くの時間を費やしていく。
優勝争いをするドギー・ランプキン(Montesa-HRC)と藤波貴久(Montesa-HRC)も、なかなかセクションインしない。1ラップ目の第6セクションでランプキンが5点、藤波がそこを3点で通過。また第13セクションではランプキンが1点で通過したが藤波がここを5点と、2人は接戦の模様だ。
1ラップ目トップに立ったのは12点のランプキンである。続くのは13点のアルベルト・カベスタニー(ベータ)であった。そして藤波が14点でこれを追う。4番手は19点のマーク・フレイシャ(シェルコ)とアダム・ラガ(ガスガス)だった。
1ラップに大半の時間を費やしたために残り時間の少ない2ラップ目、ライダー達は急いでセクショントライを続ける。慌ただしいトライの中、ランプキンが1点減点を8ヵ所のセクションでとるのみという安定した走りで、トータル20点でゴール。対する藤波は第6、14セクションで5点を取りランプキンとの差が大きく開いていた。
ところがである。ラガが2ラップ目を第14セクションで1回足を着いたのみでゴールしていた。ラガはランプキンと同点のトータル20点でゴール。クリーン差(ラガ19個、ランプキン17個)でラガの優勝が決まった。ラガは若干20歳、世界選手権初優勝である。
第2日目
2日目、4つのセクションがモディファイされ、セクション内容はやや難しさを増した。
ラガに破れたばかりのランプキンは、1日目の不本意な結果を挽回すべくスタート。確実にクリーンを重ね、本来のランプキンらしい試合運びをしていった。昨日の初優勝に注目を浴びるラガは、初優勝直後のプレッシャーからか、走りがぎこちない。
今日のランプキンにミスは見られなかった。1ラップ目の第6、13セクションでそれぞれ1点をついたのみ計2点で1ラップ目を終了する。
昨日は1ラップ目にあまりにも時間を費やし、持ち時間のしわ寄せを受けてしまった経験上、今日のトップライダー達はいくらか早めのトライをしているようだ。
特に2日目の難所となった、モディファイされた第13セクション出口の狭いステアケース。ランプキンの出した1点は素晴らしいパフォーマンスであった。
続く他のライダーは、フレイシャ10点、ラガ11点、カベスタニー12点、藤波貴久は14点と、ランプキンは大幅なリードだ。
2ラップ目に入っても、ランプキンの集中力は続く。ランプキンは第9、13セクションで1点づつついたのみ、計2点で消化。合計4点という驚異的スコアでゴールしてしまう。ランプキンを追う藤波とフレイシャは2ラップ目を7点で消化するが、とてもランプキンには届かなかった。
ランプキンは合計17点で2位のフレイシャに13点もの大差で圧勝。3位に21点の藤波が入った。藤波は両日とも3位で表彰台を確保した。
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