第1日目
昨年に続き、2回目を迎えたトライアル世界選手権日本大会。ツインリンクもてぎには、4つのゾーン15のセクションが用意され、昨年同様多くの観客を集めて大きな盛り上がりを見せた。
序盤、クリーン合戦となった戦いは、1ラップ目終盤にはドギー・ランプキン(Montesa-HRC)と藤波貴久(Montesa-HRC)のみが、わずか減点1点という神経戦に発展した。
戦いが動いたのは1ラップ目の最終セクションだった。突然の雨で、人口セクションの岩々は非常に滑りやすくなっていた。雨があがって岩が乾くのを待つか、しかしそれを待つには、ふたりは1ラップ目に時間を費やしすぎていた。マディの1回の失敗が命とりとなる神経戦の今回、ライダーは執拗にクリーンラインを求め下見を繰り返す。そしてライバルを先にいかせようとする心理作戦の結果、第9セクションでランプキンと藤波、そしてマーク・フレイシャ(シェルコ)とグラハム・ジャービス(シェルコ)のふたりを含み、4人で30分も相手の出方を待つという事態に発展していたのだった。結果、第9セクションは両者ともにクリーンしたものの、15セクションで雨に濡れることになったふたり、先にトライした藤波は3点、対してランプキンはクリーン。これで藤波は3点のハンディをしょって、2ラップ目を戦うことになった。
ところが2ラップ目第4セクション、藤波は5点を喫し、ここで一気に点差も開き、さらに藤波は1ラップ目にクリーンした7セクションでも3点を喫してしまう。ランプキンはその後3点と1点がひとつずつという好成績でこの戦いを制すことになるが、藤波は十分に勝機があっただけに、くやしさもひときわ。
3位には、この日大いに好調だったスティーブ・コリー(ガスガス)が入り、黒山健一(ベータ)は2ラップ目のふたつの5点が響いて5位となった。
第2日目
くやしい2位をばねに、日曜日に必勝を期す藤波貴久。しかしこの日は、ドギー・ランプキンがいつにもまして好調だった。
15のうち、5つのセクションが手直しされたこの日、ランプキンはクリーンのだせるセクションでは確実にクリーンし、難易度の高いセクションでは確実に減点を減らす走りを展開。1ラップ目をわずか減点8で終えている。
藤波は難セクションの第6セクションでクリーンをねらって減点5を喫し、以後、11セクションの5点を含んで、細かいミスが響いて1ラップ目は減点19。アルベルト・カベスタニー(ベータ)と黒山健一(ベータ)に続いて4位に甘んじていた。
しかしカベスタニーとの点差はわずか3点。ここで藤波は、2位奪回に向けて全力を尽くすことになった。2ラップ目、藤波は1ラップ目の走りを一転、5点をひとつもとらない堅実な走りを見せ、ラップトータル7点。見事2位のポジションを得て、2年連続の両日とも2位を獲得した。
ランプキンは、2ラップ目にはわずか3点と、驚異的な走りは変わらず。だれにもおびやかされずに日本大会の優勝を手中にした。カベスタニーは2ラップ目に24点の大量減点を食らって7位に、黒山も同様に6位となった。3位に入ったアダム・ラガは、今シーズンから登場したガスガスのニューマシンを駆っての入賞。まだまだ熟成が必要なニューマシンだが、ラガの成績をみる限り、潜在的ポテンシャルはかなり高そうだ。
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