第1日目
昨年と同じポルトガル北部にある会場(パコス・デ・フェレイラ)において、今年も盛大な世界選手権第3戦ポルトガル大会が開催された。
セクション配置は、最終の人工セクションを除き、遠く約5km離れた丘に設定されている。巨大な岩盤、大岩越えの連続、そのうえ十分に水分のある沢のセクションもある。いくつかのセクションはとても高いステアケース(段差)が連続しており、少しも気の抜けない高レベルな設定だった。
1ラップ目、調子よくスタートしたのはグラハム・ジャービス(Sherco)だった。ジャービスの15点に対しドギー・ランプキン(Montesa-HRC)とマーク・フレイシャ(Sherco)が共に16点、続いて18点で追うのが藤波貴久(Montesa-HRC)だ。
トップ争いは熾烈である。たった1点差でも順位に影響する。オブザーバーの判定のバラツキによって5点になるか3点になるかでも2点差は大いに順位に響く。オブザーバーの判定に不服を持ち抗議するライダーも多い中、実に張りつめた緊張感で競技は進行していった。
今回の最難関第6セクションでは、フレイシャが最初に3点で切り抜ける。ランプキンも3点で抜けるが、ここが勝負の分かれ目でもあった。藤波は5点。1ラップ目の藤波の出遅れは、この難セクションの失敗が大きかった。
2ラップ目も、接戦は続く。藤波は1ラップ目に失敗していた第6セクションを3点で抜けることに成功。ランプキン、フレイシャら、1ラップ目にここを3点で抜けた者は5点に終わっている。このチャンスに藤波は挽回に向け全力を振り絞った。
そして最終セクションをクリーンで終えた藤波は13点でゴール。11点のランプキンを越えられなかったが、フレイシャ、ジャービスらをかわし藤波2位が決定したのである。
見応えのあるセクションと熾烈な優勝戦線は、Montesa-HRCが1、2位を占め1日目を終えた。
第2日目
朝一番、今にも雨が降り出しそうな曇り空の下でスタートが切られた。雨を予想してか、あまりにも難しかった前日のセクションを主催者は易しく手直しし、ライダー達は雨が降る前にセクションをこなそうと、下見もそこそこに早回り作戦をとった。
先を急ぐトップライダー集団が第9〜10セクションに到着した頃に雨が降り始める。それまでドライだったセクションが一気にスリップリーなものに変化してしまった。
しかしウェットなセクションはランプキンの最も得意とするもの。条件が悪くなればなるほど、走破力の限界値の高いランプキンは他を引き離すことができる。ランプキンの1ラップ目はたった6点というスコアだった。続くのはフレイシャの9点。そして3番手は大きく差が開いて17点の藤波貴久とスティーブ・コリー(Gas-Gas)だった。4番手にアルベルト・カベスタニー(Beta)、5番手にマーク・コロメ(Gas-Gas)と続く。
第2ラップ目に入り雨は上がり日が照りはじめた。しかしセクションの悪化は止まらない。ライダーが走るたびに滑り度が増してゆくのだ。
すでに1ラップ目で大きく2位を引き離しているランプキンは、そのままのペースで失点を最小限に留め、2ラップ目もベストスコア11点をたたき出した。トータル17点でゴール。続くフレイシャは2ラップ目の17点を加算しトータル28点で2位を確保。2ラップ目に不本意な採点をとられたという藤波だが合計33点で3位となった。
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