ホールショットを取ったのはウィンダム。だが、カーマイケルがいきなり前に出てリーダーとなる。1周目のランニングオーダーは、カーマイケル、ウィンダム、ラ・ロッコ、ロンカダ、マクグラス、ラスク。一方、前戦でヒザを負傷したトーテリは、わずか1週間で復帰を果たしたが、1周目のクラッシュでリタイアしてしまった。
序盤からハイペースで飛ばすカーマイケルは、2周目にしてウィンダムに対するリードを4秒とし、このまま独走態勢かと思われたが、これに食い下がったのがラスクだった。この日は予選ヒートからトップでフィニッシュするなど、好調なライディングを見せていたラスク。2周目にはロンカダ、3周目にはマクグラス、4周目にはラ・ロッコと立て続けにかわし、ラスクは3番手まで上がってきた。
7周目にウィンダムを抜き去り、2位を確保したラスクは、カーマイケルを射程内に捉えた。やがて3位にはラ・ロッコも浮上して来る。ポンティアックのコースは軟質土で造成されており、深い轍をクリアするテクニックが問われる。この時点でのトップ3は、いずれも軟質を得意とするライダーばかりだが、予選で転倒していたカーマイケルと、予選1位だったラスクの勢いを考慮すると、ラスクに勝機ありと見る者は多かった。
逃げるカーマイケルと追うラスクの差は、5秒前後。中盤を過ぎるとこの差が少しずつ詰まるが、ラスクのベストラインに周遅れが現われる度に、その差はまた元に戻るという展開が続く。実際、後半に入ってからのラスクは、カーマイケルを凌ぐラップタイムで周回していたが、周遅れの処理に勢いを削がれた形となった。
結局カーマイケルが逃げ切って11勝目を挙げ、ラスクが2位、ラ・ロッコが3位というリザルトとなった。だが、ラスクが見せてくれたアグレッシブな走りには、長い間優勝から遠ざかっているエースの、ハングリーな胸の内が表われていた。
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