ヒューストンSXの会場として名高いアストロドームには、人工芝を巻き取ったコンクリートの床面積を最大限に生かした、長いコースがレイアウトされていた。通常はコースと観客席の間にセーフティエリアを広く取り、コンパクトにデザインされることが多いのだが、今回は立体交差やテクニカルセクションをふんだんに盛り込んだ長めのコースとなった。中でもラウンドごとに高さを増している印象のフープスは、ライダーが下見のときから最も注意を払うポイントだった。
決勝レースでは、フェリーがホールショット賞を獲得したが、やはり好スタートを切っていたウィンダムとラスクが早々と前に出て、オープニングから激しいトップ争いを見せた。1周目の上位グループは、ウィンダムを先頭にラスク、マクグラス、カーマイケル、フェリー、ボス、ラ・ロッコという順。トーテリは中団に埋もれてしまい、11番手からの上位進出を図る。
トップグループの争いは、前を行くウィンダムとラスクを、マクグラスとカーマイケルが突っつく形で展開された。この早めのチャージにラスクが屈したのが3周目。マクグラスとカーマイケルに立て続けにかわされたラスクは、ここで4番手に下がってしまったが、ささいなワンミスによる後退だったので、ペースを回復するのも早かった。今季優勝をマークしている2人に先行を許しながらも、ラスクはトップグループに食らい付いていった。
6周目からは、リーダーがカーマイケルに代わり、集団から頭一つ抜けた形になる。2位争いは、ウィンダム、マクグラス、ラスクの接近戦。やがてペースの衰えたウィンダムが脱落し、マクグラスが2番手、ラスクが3番手に浮上する。レースが中盤に差しかかると、ラスクの背後にはラ・ロッコが迫ってきた。
Honda勢のチャージがマクグラスとの間隔を少しずつ詰め、逆転の可能性も生まれてきた。だが、マクグラスに2秒差まで迫ったラスクは、16周目に前輪を滑らせて転倒。これで3番手はラ・ロッコに代わった。ラ・ロッコの勢いは一向に衰えず、ラスト2周を迎える頃には、マクグラスとテールトゥノーズ状態になるまで急迫した。しかし、この猛追もわずかに及ばず、チェッカーが振られる。カーマイケル、マクグラス、ラ・ロッコという最近のポディアム常連がトップスリーを占め、ラスクは4位でフィニッシュした。
|