天気予報通りの雷雨に見舞われたニューオリンズは、ここまでのスーパークロスシリーズの中で最も高温多湿なラウンドとなったが、巨大なドーム内は冷房により快適な環境が保たれていた。
適度の湿り気を含みつつ、硬く締まった土質はトラクションも良く、トップライダーの中にはプラクティス時から、レーシングスピードで周回する者もいた。180度ターンを多く配したコースレイアウトの中で、コーナー立ち上がりに3連ジャンプがある点がユニークだが、難易度はそれほど高くはない。むしろポイントとなるのは、リズムセクションにある角張ったテーブルトップの攻略と、刻々と変化する轍の読み方だった。
全16戦で争われるシリーズの第8戦、ニューオリンズはちょうど折り返し点となるラウンドだった。前半戦の最後に1勝を刻みたいHonda勢は必勝態勢で臨んだが、中でもラスクは前戦のアトランタで新しいプラクティスマシンを受け取り、今季初勝利を目指して練習に励んできていた。
決勝レースはマクグラスがホールショットを取り、それをカーマイケルが追走する形で始まった。ロンカダ、ウィンダムを挟んで、ラスクはスタート5番手、その直後にラ・ロッコというトップグループだったが、トーテリは中団の11番手からのレースとなった。
3周目、カーマイケルがマクグラスをかわし、早くも逃げ切りの構えを見せる。この序盤の競り合いの中で、ラスクは4周目のコースアウトで14番手に、トーテリは5周目に同様に19番手と、揃って手痛い後退を喫してしまった。いきおいHondaの期待は、セカンドグループ5番手を走るラ・ロッコが担うことになる。
中盤までに、トップのカーマイケルは3〜4秒ほどのリードを蓄えた。必死に食らい付いていたマクグラスは、11周目に轍でマシンを取られて転倒。3番手で復帰したマクグラスを、次の周にはラ・ロッコが捕らえた。これでトップ3は、カーマイケル、10秒差でウィンダム、12秒差でラ・ロッコとなる。
終盤の追撃で、ラ・ロッコとウィンダムの間隔は詰まったが、このままの順位でチェッカー。5連勝のカーマイケル、地元で2位のウィンダムに続き、3位には第4戦フェニックス以来の表彰台ゲットとなるラ・ロッコが入った。揃って苦戦を強いられたラスクとトーテリは、後方から7位と11位まで挽回した。
中盤以降は、カーマイケルが4〜5秒のリードを保って独走し、マクグラスとラスクが間隔を置いて追走する展開となった。だが、レースが大詰めを迎える頃になると、荒れるコースコンディションに上位のペースが落ち、マクグラス、ラスク、そして4位に浮上してきたラ・ロッコが急接近する。最後まで予断を許さない2位争いとなったが、大波乱は起きず。4連勝のカーマイケルに続き、マクグラス、ラスク、ラ・ロッコの順に僅差でチェッカーが振られた。
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