イタリアのアドリア海に面したミサノで開催されたサンマリノ大会は、連日、30℃前後の真夏日。雨となった前戦ドイツ大会とは打って変わり絶好のコンディションの中で行われ、コース上の熱い戦いに観客も、熱い声援を送った。
前戦ドイツ大会では、優勝こそ逃したが、エドワーズ、岡田両選手が表彰台に立つ大活躍。その勢いをサンマリノ大会へつなげようと、大会の一週間前にミサノで行われた合同テストに参加。そのテストでは、エドワーズがトップタイムをマーク、岡田も常に上位につける快走を披露、本番に向けてHonda勢の意気は上がった。
その勢いを見事に証明したのが、初日のフリー走行。28℃の暑さの中で、エドワーズがトップタイムをマーク、岡田が2番手と絶好の出だし。気温が33℃まで上がった予選では、T.ベイリス(D)にトップタイムを譲ったが、エドワーズ4番手、岡田5番手と好調な走りを見せつけた。
しかし、高い気温と路面温度に、けして楽観できる状況ではなかった。タイムは出るのだが、レース距離をキープするのが、どのチームも課題という難しいコンディション。そんな状況の中で2日目の予選を迎え、トップタイムは、2日連続でベイリス(D)。そのベイリスに肉薄したのが岡田で、初日のタイムを大きく更新して2番手に浮上。エドワーズも快調にタイムをつめたが、転倒を喫したために、7番手からスーパーポールに挑むことになった。
上位16位までの選手で繰り広げられるスーパーポール。今年からスーパーバイクに参戦している岡田は、これまでスーパーポールを苦手としていたが、前戦ドイツでは今季初のフロントローを獲得。今大会は、ポールポジションを狙うことになった。しかし、コース前半のヘアピンで大きく振られ痛恨のタイムロス。11番手までポジションを落としてしまった。対してエドワーズは、スーパーポールを無難に乗り切り3番手に浮上。予選とスーパーポールで、明暗を分けた二人だが、決勝では、ともに優勝を狙える体制を築き上げることに成功した。
迎えた決勝。3日連続で快晴となったミサノには、6万人以上の観客がつめかけた。例年、激しいレースとなるミサノだが、今年はコース上だけではなく、スタンドも熱気に包まれることになった。
その熱気の中で、第1レースのスタートが切られた。ホールショットを奪ったのは、今季5回目のフロントローからのスタートとなったエドワーズ。その後、オープニングラップでB.ボストロム(D)、T.コルサー(A)に交わされるが、終始、トップグループにつける快走を見せた。中盤からは、ボストロム(D)と、追い上げて来たベイリス(D)がトップグループを形成。やや遅れて、エドワーズとG.ラビッラ(K)が追撃する格好となった。レースはそのまま終盤に突入。最終ラップにボストロム(D)を交わしたベイリス(D)が優勝。エドワーズはラビッラ(K)からやや遅れて4位でフィニッシュしたが、ラビッラ(K)が黄旗無視の追い越しでペナルティ。エドワーズが3位に繰り上がった。
トップグループに肉薄したエドワーズとは対照的に、予選で好調だった岡田は、タイヤと路面のマッチングに苦しみ、じりじりとトップグループから後退。最後までペースを上げられず、悔しい9位に終った。
こうして、ともに優勝を狙いながら、3位、9位という不本意な結果に終った両選手。第2レースは、その雪辱を期す戦い。第2レースでホールショットを奪ったのは、またしてもエドワーズだった。しかし、スタートから2周目に転倒者が出たためにレースは赤旗中断。再スタートとなった。
再開されたレースでは、第1レースで2位に終ったボストロム(D)が好スタートを切って序盤から逃げる体制。それをN.ホジソン(D)が追うという展開となった。
この後方からエドワーズはトップの2人を追い上げる形となったが、思うようにペースを上げられず苦しい戦い。そして10周目には痛恨の転倒を喫して22番手までポジションを落とした。しかし、再スタートを切ったエドワーズは、猛追撃。25周のレースが終ったときには11位までポジションを上げることに成功した。
第1レースで不本意な戦いに終った岡田は、第2レースも苦しい戦い。しかし、最後までしぶとい走りを見せて5位でフィニッシュ。34台が出場して完走20台という厳しいレースとなったが、貴重なポイントを獲得した。
第2レースで優勝したのは、ボストロム(D)。ラスト3周までボストロムを激しく追ったホジソン(D)は、トラブルで16位に後退した。
戦前の下馬評とは裏腹に、両レースでともに優勝を逃したエドワーズと岡田。しかし、エドワーズはランキング2位を守り、岡田も9位を堅持。優勝こそ逃した2人だが、次戦アメリカ大会での挽回に期待をつないだ。
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