前戦日本大会は、ワイルドカード組のHonda勢が大活躍を納めたが、第5戦イタリア大会は、エドワーズ、岡田が、ドゥカティ、アプリリアの地元で優勝争いに加わる熱走を披露、これからの巻き返しを強烈にアピールすることになった。
快晴の中で迎えた予選初日は、地元イタリア大会に闘志をかきたてるイタリア勢が大活躍。T.ベイリス(D)、B.ボストローム(D)、T.コルサー(A)、N.ホジソン(D)が上位を独占、対してHonda勢は、エドワーズ5位、モンツァを走るのが初めてとなる岡田忠之は、初日18位に沈んだ。
しかし、フリー走行でトップタイムのエドワーズは、決勝を睨んでのセッティングに重点を置いた結果であり、岡田は初体験となるハイスピードコースのモンツァを慎重に攻めた結果。2日目の予選に向けて、それぞれが確実にメニューを消化することに成功していた。
2日目もモンツァは快晴。気温も23℃と、初日とほぼ同じ。選手にとっても、チームにとっても、マシンのセッティングを詰めるには好条件が揃うことになった。
午前中に行われた2回目の予選。エドワーズはトップのP.キリ(S)からわずか0.092秒差の3番手。初日18番手に沈んでいた岡田も、2日目には早くもモンツァを攻略。一気に8番手に浮上して、そのポテンシャルを披露。上位16台によるスーパーポールに進出することになった。さらに岡田は、スーパーポール直前のフリー走行では4番手に浮上。走るごとにモンツァを攻略、周囲の注目を集めた。
そして上位16台によるスーパーポールは、トップ6がわずか0.3秒差という大接戦となり、ベイリス(D)が今季初PPを獲得。以下、ホジソン(D)、柳川明(K)、ボストローム(D)と続き、エドワーズは5番手。今年からスーパーバイクに参戦、スーパーポールにまだ慣れていない岡田は、11番手からのスタートとなった。
迎えた決勝日。3日間の中でもっとも熱い陽射しが降り注いだモンツァは、26℃まで気温は上がり、選手にとってもタイヤにとっても厳しい戦いになることが予想された。
そして第1レースは、PPスタートのベイリス(D)がホールショットを奪い、ホジソン(D)、エドワーズ、そして岡田8番手と、大接戦だった予選の戦いを彷彿させる展開となった。
その中から、ベイリス(D)、エドワーズ、ホジソン(D)がトップグループを形成。岡田、柳川(K)、R.シャウス(D)、R.ラコーニ(A)の第2グループが追うという展開。
トップグループではエドワーズとベイリスが、超ハイスピードコースのモンツァならではのスリップストリームの応酬で激しくポジションを入れ替え、岡田はHondaパワーを生かしてセカンドグループから抜け出すことに成功。
4周目になると岡田は、シャウス(D)とともにトップグループに加わり首位争いは5台へ。しかし、第1シケインで、前周にコースアウトしたマシンが、コース上に撒き散らした土と芝生に足元をすくわれるというアクシデントで、痛恨の転倒、惜しくもリタイヤとなった。
トップ争いは、その後、エドワーズとベイリス(D)の二人に完全に絞られる。中盤から終盤に掛けて、激しくポジションを入れ替えた二人の戦いはいよいよ最終ラップへ。そして、常にレースの主導権を握っていたエドワーズだったが、最終コーナー手前でスリップストリームを使ったベイリス(D)に交わされ、わずか0.066秒差で2位に終った。3位には、激しい3位争いを制した柳川(K)。28台が出走。完走16台というサバイバルレースだった。
第2レースは、第1レースの雪辱に燃えるエドワーズのホールショットで始まった。そして、第1レースで転倒リタイヤに終わっている岡田も3列目から好スタートを切ってオープニングラップで6番手に浮上。3周目には4番手、4周目には、その岡田をピタリとマークしていたキリ(S)とともに、エドワーズとベイリス(D)の4台でトップグループを形成することになった。
この4台による戦いは中盤まで続いたが、終盤になって、ベイリス(D)とエドワーズがペースアップ。再び、二人の一騎打ちの様相となった。そして、地元の熱い声援を追い風に、ベイリスが好走。エドワーズも激しく追走したが、惜しくも届かなかった。しかし、両レース2位の好走で、ランキング3位は変わらずも、4戦を終えてトップだったT.コルサー(A)との差を2として、ランキング2位は完全に射程内。トップに立ったベイリス(D)とは30点差だが、2連覇に向けて、自信を深めることになった。
その後方では、岡田とキリが激しい3位争い。さらに、追い上げて来た柳川が加わって、3台による激しい3位争いに発展した。そして、ラスト2周で3番手に浮上した柳川(K)を岡田は捕らえきれず、悔しい4位。しかし、初体験のモンツァで両レースともにトップグループに絡んだ走りは、次戦からの走りに期待が膨らんだ。
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