台風11号の接近が心配される中、全日本第5戦中国大会は、快晴のもと岡山県岡山市から1時間の原瀧山トライアルパークで開催された。
会場は、3年前まで全日本の開催地として定着していたトライアルパークで、滑りやすい岩々とアップダウンのセクションで構成されていた。
序盤、第3セクションまでは、黒山健一(ベータ)のリードで始まった。黒山らしい完璧なライディングでセクションをこなす黒山に対し、藤波貴久(Honda)はここ一番で足を出して減点を喫してしまう。
しかし第4セクション、入り口ののこぎり岩で黒山が3点減点をとるのを見てとった藤波は、この難セクションを減点1でクリアする。これで黒山のリードは一気に振り出しに戻り、逆に藤波は1点差でレースをリードすることになった。
この後も黒山はぽろぽろと足をつき、1ラップを終えた時には藤波4点に対して黒山8点と、早くもダブルスコアとなっていた。しかし点差はわずかに4点。クリーンのできないセクションはなさそうだが、5点にならない保証など、どこのセクションにもなかった。4点差は、まだまだ安全とはいいきれない。
2ラップ目、自分の調子を発揮しだした藤波に対し、黒山は第1セクションで痛恨の5点。このセクション、確かに難易度は高いが、彼らのレベルではクリーンが当然ともいえるセクション。この5点で、藤波は一気に展開を楽にしたように見えた。
しかし続く第2セクション、藤波は黒山のクリーンに対して3点の減点。その差は6点と、まだまだ逆転の可能性も残されていた。
黒山にとって致命傷だったのは2ラップ目、第10セクションの減点5点。これもまた、黒山が失敗するようなポイントではなく、黒山の不運といえば不運。これで藤波は一気に12点のリードを奪って、ここにきて、この日の勝負はほとんど見えたといっていい。
3ラップ目、黒山はトータルで減点3。藤波の1ラップ目が4点、2ラップ目が5点であることを見れば、この減点は黒山の鬼神の追い上げの結果といえた。しかし藤波は、3ラップ目にあわやオールクリーンの減点1をマークして、黒山の追撃を見事に振り切ったのだった。
終わってみれば、藤波の減点10に対して黒山は減点24と、ダブルスコア以上の大差をもって、藤波の今シーズン4勝目となった。
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