好天に恵まれた、熊本県の矢谷渓谷で開催された第3戦九州大会。ここは木立のある急斜面、水の流れる沢、岩盤等、自然の沢を生かすことのできる恵まれた会場である。見た目以上にセクションはグリップが悪く、慎重に走行ラインを見極めなければならない。セクションは合計10。これを持ち時間5時間で3ラップする。
今回のセクション設定は、トップライダーにとって神経戦となった。ちょっとしたミスが順位に大きく影響する。いかに確実にクリーンを重ねるか、選手達は時間の許される限り慎重に下見をしながらセクションをこなして行った。
1ラップ目をトップで回ってきたのは7点の小川友幸(ベータ)だった。2番手は9点の黒山健一(ベータ)である。今季連勝中の藤波貴久(Honda)は第2セクションで2点をとってからややペースを乱し、さらにほとんどの選手がクリーンしている第5セクションで5点を取ってしまい、藤波は1ラップ目終了時3番手という苦しいスタートをきった。
しかし、2ラップ目の藤波は1ラップ目の不調を振りきって驚異的追い上げを見せる。第2、第8セクションそれぞれに1点減点をとるのみ、たった2点という点数をたたき出す。ここで逆転、藤波は黒山に1点差をつけてトップに立つ。小川は黒山に4点差をあけて3番手に落ちていた。
ところが、藤波リードと思わせ3ラップ目へ突入した矢先のことだった。藤波は第2セクションで思わぬ5点を取ってしまい、黒山優勢へ。と、またも逆転である。そのまま最終セクションまで神経戦が続いたが、動揺を隠しきれない藤波は第6セクションでもミスによる3点減点を出してしまった。黒山はそのままミスなく着実にこなし、藤波と5点差で優勝を決定した。
小川は3位のポジションをキープ。藤波に続く5点差で3位、4位には成田匠(ヤマハ)が入った。
世界選手権参戦中の3名(藤波、黒山、田中太一)は翌週ベルギーで開催される世界選手権に向かうため、慌ただしく会場を後にした。そして次戦全日本選手権は、しばらく時間をあけ、7月29日、北海道上川郡わっさむサーキットで開催される。
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