全日本も終盤戦に突入、SBは残り4戦、250、125は、残り3戦となりタイトル争いも大詰め。その戦いにHondaは1本出しマフラーの新型車を鈴鹿に持ち込んだ。SBKで好感触を得た2週間前にもてぎでテストを消化し終え戦力アップと判断した。だが、合同テストは雨が降ったり止んだりの不順な天候となってしまう。雨のテストをしていないため玉田3番手、山口5番手となる。トップタイムは武田雄一となる。
予選も不順な天候となった。予選1回目、山口、北川圭一(S)、出口修(S)、川瀬裕昌(S)らがコースをショートカットしピットに戻ったことで、鈴鹿サーキット特別規則により、その後のコースインが出来なくなってしまう。この4人は予選2回目に賭けることになった。玉田はコースコンディションを読みトップタイム。武田も3番手と好発進。
予選2回目も天候は変わらなかったが、より、ドライ部分が多くなりタイムアップ、玉田はPPを狙い猛然とアタックしトップタイムを記録するが、チェッカー直前に加賀山就臣(S)が玉田のタイムを抜き去り玉田2番手、3番手に武田、山口も果敢にアタックし5番手グリッドを得る。
決勝は晴れた。完全ドライでの走行がなかったため、朝のウォームアップランでドライセッティングの確認作業が重要となった。ここで玉田3番手、山口5番手、武田10番手となる。スタートダッシュし、玉田がホールショットを奪いレースが始まった。トップ争いは玉田、井筒仁康(K)、加賀山(S)、梁(S)の4台に絞られ目まぐるしくトップを変えるバトルを展開する。
玉田はトップに立ちレースをリードする。その争いの中から終盤、加賀山がコースアウト、後ろにつけていた梁が、そのあおりで遅れると、玉田、井筒の一騎打ちとなった。ふたりは、各コーナーでブラックマークを残す熱戦で観客を魅了した。最終ラップの最終シケインが勝負となり玉田はトップで侵入するが、井筒が玉田のインに飛び込み首位を奪い、そのままチェッカー、玉田は無念の2位となる。3位に梁が入った。
5位争いを繰り広げていた吉川和多留(Y)と山口、武田、北川だったが、吉川がスパートし5位、山口は追い上げるが6位、武田7位となった。
ランキングトップの梁がレース中に黄旗を無視したことで、リザルトが変わる可能性が出たためポイント争いが注目を集めたが、審査委員の判断は罰金5万円で順位変わらずとなった。ランキングトップの梁と玉田の差は11ポイントから7ポイントと短縮され、チャンピオンの可能性を玉田は引き寄せた。
250、PPはランキングトップの大崎誠之(Y)、2番手には大崎とチャンピオンを争う関口太郎(Y)。
決勝では大崎が転倒、それに関口も巻き込まれるという波乱となった。大崎はピットイン。関口は再スタートを切った。レースはトップ争いを繰り広げた宮崎敦が優勝、2位に畠山泰昌、3位小野寺貴行となりヤマハの3人が表彰台に登った。
125は仲城、高橋は同点ランキングトップ、予選では仲城がPP獲得。決勝朝のウォームアップでは高橋がトップ。仲城はトラブルに見舞われる。決勝は9台が息詰まる接近戦を展開するが、最後の最後に「風を味方につけた」という仲城が勝ち、ランキングトップに踊り出た。2位は菊池寛幸、僅差で高橋裕紀が3位で、Honda勢が表彰台を独占した。
ST600は、雨の予選で武田がPP獲得、これまで3戦中2勝を挙げ、ダントツのランキングトップ武田は鈴鹿で勝つことが出来ればチャンピオンという大切な1戦となった。決勝では、ランキング2位の高橋英倫(Y)がトラブルでピットスタートとなり武田のタイトルが濃厚となる。武田はタイヤを温存、最後にスパートする作戦で見事優勝。最終戦を待たずにST600初代チャンピオンに輝いた。
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