ドイツで行われた第16戦のあと、CARTチームはドーバー海峡を渡り、第17戦の舞台となるイギリス・コービーのロッキンガム・モータースピードウェイへ移動。首都ロンドンから北に120kmほどに位置する同コースは、4つのコーナーからなる台形のレイアウトで、バンク角も最大7.9度と浅いのが特徴だ。
予選 9月21日(金)
本来ならば木曜日にプラクティスが2回行われる予定だったが、朝まで降り続いていた雨で路面が乾かずドイツ同様中止。また金曜日に予定されていた午前中のプラクティスと午後の予選も、コース上の数箇所でアスファルトの下に溜まった水がにじみ出るという状態にみまわれ中止となる。そのためスターティンググリッドはドイツ同様ポイントランキングを元に決定され、Honda勢はジル・ド・フェランがフロントロー2番手からスタート。そのうしろのセカンドローにはマイケル・アンドレッティが3番手、エリオ・カストロネベスが4番手につける。地元スコットランドのダリオ・フランキッティが6番手、トニー・カナーンが10番手とHonda勢は5台のマシンがトップ10のポジションからスタート。以下ポール・トレイシーが11番手、エイドリアン・フェルナンデス17番手と続き、中野信治は25番グリッドからのスタートだ。
決勝 9月22日(土)
木曜日、金曜日とまったく走行セッションがなかったことで、CARTオフィシャルは決勝が予定されている土曜日の朝にプラクティスセッションを設定。しかし路面の修復が終わってセッションが始まったのは午後12時15分で、90分間のプラクティスにおいてトニー・カナーンがトップタイムをマーク。前回のドイツに引き続きプラクティスから好調振りを見せた。
プラクティスの時間がずれ込んだため、決勝レースは午後4時45分にグリーンフラッグでスタート。オープニングラップで2番グリッドからスタートしたド・フェランが前を行くK.ブレックをフロントストレートでパス。今シーズンのオーバルレースで初めてトップを走行する。その直後、フロントストレートで4台のマシンが絡むアクシデントが発生。レースはいきなりフルコースコーションとなり、中野信治を含む5台のマシンがピットへ向かった。
9周目にレース再開となると、トップのジル・ド・フェランと2位K.ブレックがトップ争いを展開。3位のマイケル・アンドレッティ以下を引き離し始める。徐々に2位との差を広げるかに見えたトップのジル・ド・フェランだったが、30周目を過ぎたあたりから2位のK.ブレックに追いつかれ、46周目に先行を許してしまう。
92周目、エイドリアン・フェルナンデスがスローダウンしたために出されたフルコースコーションで各マシンが一斉にピットイン。迅速なピットワークにより一足先にコースへ復帰したジル・ド・フェランがトップを奪回。この前にCARTオフィシャルは徐々に迫る日没の時間を考慮し、周回数をさらに減らして140周へと短縮することを決定する。
すべてのドライバーはもうこれで燃料補給をする必要がなくなり、残りの周回数を猛然とダッシュ。トップを行くジル・ド・フェランに、追いすがるK.ブレック。二人の激しい攻防が続く中で迎えたラスト2周、ジル・ド・フェランは目の前に迫る周回遅れのK.ブレックのチームメイトに行く手を阻まれ、一瞬失速した隙を突いてK.ブレックにトップを奪われてしまう。
しかし最後まで勝利を諦めなかったジル・ド・フェランは、ラストラップのターン3で外側からK.ブレックに並び、最終ターン手前でパス。そのままトップをキープしてチェッカーを受け、今季初優勝で記念すべきイギリス戦初のウイナーに輝いた。見事な逆転勝利をものにしたジル・ド・フェランは、これでチャンピオンシップポイントでもトップのK.ブレックにあと僅か6ポイントへと迫る。
一方、25番手グリッドからのスタートとなった中野信治は序盤からアンダーステアに悩まされ、なかなか思い切って走ることができない。序盤のフルコースコーション下でピットストップのタイミングをずらす作戦に出るが、それもうまく行かず苦戦。フラストレーションの溜まるレースを強いられ、17位でのフィニッシュとなった。
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