第16戦は舞台を初開催となるヨーロッパへ移し、ドイツ・ラウジッツに新設された一周2.023マイルのユーロスピードウェイで開催された。サーキットのあるラウジッツはドレスデンの街から約60キロ北に位置する。コースは3つの長い直線で構成されたトライオーバルで、コース幅が広く路面もスムーズ。最高速度は380キロを超える。
予選 9月14日(金)
あいにくの雨となった初日、予定されていたプラクティスはすべて中止となった。このため2日目をプラクティスに充てる事となり、予選は行わずに現在のランキング順でスタートすることが決まる。しかし翌日の金曜日も朝から雨となってしまい、午後3時30分になってやっと初めてのプラクティスがスタート。2時間に渡って行われたこのセッションでは、トニー・カナーンがトップタイムをマークし、チームメイトのアレックス・ザナルディも2番手に入るなど、モー・ナン・レーシングがワンツーを独占する。スターティング・グリッドはポールポジションがポイントリーダーのジル・ド・フェラン。グリッド2列目にはランキング3位のエリオ・カストロネベスと4位のマイケル・アンドレッティが並ぶ。今回、9月11日にアメリカで発生した同時多発テロの影響で、アメリカから出られなかったマイケル・アンドレッティはチャーター便を利用し、金曜日の朝7時に現地入りしていた。
決勝 9月15日(土)
初めてのCARTヨーロッパ開催とあって、約8万7千人もの大観衆が詰め掛ける。スタート前、アメリカの同時多発テロで亡くなった方々への黙祷が捧げられ、午後1時56分にレースがスタート。オープニングラップでポールポジションのジル・ド・フェランが出遅れるが、4番手からスタートのマイケル・アンドレッティが2番手にジャンプアップする。
レース序盤、マイケル・アンドレッティはチームメイトのダリオ・フランキッティと2位争いを展開。その後方ではプラクティスで好調だったトニー・カナーンとアレックス・ザナルディのコンビが勢い良く追い上げて来る。トニー・カナーンは各マシンが予定のピットストップを終える頃にはすでに6位までポジションアップ。その後64周目のフルコースコーションが出た時点で5位に上がり、チームメイトのアレックス・ザナルディも6位まで躍進してきた。この時点でHonda勢がトップ10に6台も入る健闘ぶりを見せる。
レースも半分以上を消化した80周目、この日2度目のフルコースコーションでマイケル・アンドレッティとダリオ・フランキッティ、中野信治らが早めにピットインを行う作戦に出る。そして95周目にはついにトニー・カナーンがトップに浮上し、アレックス・ザナルディが2位。Hondaのワン・ツー体制が実現した。
トップのトニー・カナーンは106周目にピットイン。114周目に今度はマイケル・アンドレッティがトップに立つといった具合に、順位が何度も入れ替わる。だがこのあとトップグループが予定のピットストップを行うと、124周目にはアレックス・ザナルディがトップに上がった。ここから19周もの間レースをリードするなど、今シーズン一番の活躍を見せる97、98年のCARTチャンピオン、アレックス・ザナルディ。
ところが終盤にピットインして燃料を補給し、再び追い上げようとしていたその直後、アレックス・ザナルディはピットレーン出口で突如マシンのコントロールを失い、スピンしながら本コースに飛び出してしまったところへ他車が激突。時速200マイルにもおよぶ衝撃で、両足に大きなダメージを負ったアレックス・ザナルディだったが、奇跡的に一命は取りとめる。
これでレースはフルコースコーションとなり、そのままチェッカー。最終的にマイケル・アンドレッティが4位入賞を果たし、ポイントランキングでも3位に着けることとなった。
今回25番グリッドからスタートした中野信治は、スタートからポジションアップを試みるが、なかなか順位を上げられず苦戦。それでも粘り強く122周目には18番手まで上がる。しかし143周目に電気系のトラブルでスローダウン。無念のリタイヤを余儀なくされた。
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