第10戦は舞台をカナダへと移し、今年4度目となる仮設コースでのレース。前回のクリーブランドと比べると、同じ仮設コースでも両脇をコンクリートウォールに囲まれ、コース幅も狭いタイトなレイアウト。レースはこのパッシングの難しいコースを95周で争われる。
予選 7月14日(土)
金曜日と土曜日のプラクティスを通じ、総合でトップタイムをマークした中野信治に大きな注目が集まる中で予選がスタート。ところがタイムアタック開始3分後に中野信治がターン8でタイヤバリアに接触、後続がこれに激突してマシンを大破してしまう。ポールポジションを獲得したのは57.703秒をマークしたジル・ド・フェラン。チームメイトのカストロネベスも2番手につけ、チーム・ペンスキー勢が揃ってフロントローを確保。以下Honda勢はトニー・カナーンが4位に入り、99年のトロント勝者であるダリオ・フランキッティは6位、96年の勝者エイドリアン・フェルナンデスは7番手、93年の勝者ポール・トレイシーは8番手と、トップ10に合計6台が入る大健闘を見せる。またここトロントで昨年を含む過去6度の優勝を飾っているマイケル・アンドレッティは今回13番手、97年の勝者アレックス・ザナルディは24番手からのスタートとなる。痛恨のクラッシュを喫した中野信治はその後Tカーで予選を走るが、その前に予選を中断させたとして8分間のピットストップペナルティを科せられたこともあり、26番グリッドからのスタートとなってしまった。
決勝 7月15日(日)
7万4千人という記録的な大観衆が見守る中、好天に恵まれた95周の決勝レースは午後1時5分にスタート。フロントロー2台のペンスキー勢が上手くスタートダッシュを決める一方、13番手からスタートしたマイケル・アンドレッティがオープニングラップのターン3で他車と接触、最下位まで順位を落としてしまう。
前回の第9戦で優勝を飾っているダリオ・フランキッティが17周目に4位から2位にポジションアップ、トップを追うが32周目にメカニカルトラブルにみまわれ無念の戦線離脱となってしまった。
ポールポジションからスタートして49周をリードし、最多リードラップのポイントを獲得したジル・ド・フェラン。ピットインでチームメイトのエリオ・カストロネベスにトップを譲ったあと、76周目にターン3でのアクシデントに巻き込まれてリタイアを余儀なくされる。そのエリオ・カストロネベスも66周目にエンジントラブルでストップしてしまった。
代わってトップに立ったのはエイドリアン・フェルナンデス。しかし3周後のピットストップでエンジンストールしてしまい、トニー・カナーンがトップに浮上することになったのだが、トニー・カナーンは燃料が十分に入りきっていなかったために再びピットへ。
そして71周目のフルコースコーション下でトニー・カナーンがピットインすると、一足先に最後のピットストップを済ませていたマイケル・アンドレッティが、最後尾から追い上げてついにトップへと躍進。
マイケル・アンドレッティはこのあと4回におよぶフルコースコーション後の再スタートでも素晴らしいスタートダッシュを決め、1位の座をしっかりとキープ。最後は2位以下に3秒近いリードを保ち、Hondaでの初勝利となる今季初優勝を飾って前人未到のトロント7勝目を獲得した。これでアンドレッティは現役最多勝利数を41にし、ポイントランキングでも2位に上がってトップのK.ブレックに10ポイント差へと迫る。
以下Honda勢は、今シーズン自らのチームを率いてHondaユーザーへと復帰したエイドリアン・フェルナンデスが今季初の3位表彰台を獲得。また予選24番手からのスタートにもかかわらず、猛烈な追い上げを見せたアレックス・ザナルディも今シーズン最高位でのフィニッシュとなる4位に入賞。今回の95周のレースですべてのラップをリードしたHonda・ターボV8エンジンは、今シーズンのストリートコースで4戦4勝をマーク。圧倒的な強さを見せてマニュファクチャラーズランキングのトップを維持している。
予選26番手と不本意な位置からのスタートを余儀なくされた中野信治は、その後無線のトラブルが発生し、我慢のレースを強いられることとなったものの78周目には10位までポジションアップ。最後はトニー・カナーンがリタイアしたことで、今シーズンの”もてぎ”に次ぐ9位でフィニッシュ、ポイントを獲得してレースを終えた。
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