予選 5月18日(金)
木曜日から始まったプラクティスで、毎回上位を独占したHonda・ターボV8エンジン。快晴となったツインリンクもてぎで迎えた金曜日の予選、初夏を思わせる気温28度という絶好のコンディションのもと、午後1時30分から注目の予選がスタートした。オーバルでの予選は、1台ずつのシングルカー・クオリファイで行われる。
2万1千人もの日本のCARTファンが見守る中、Honda勢のトップを切ってコースインしたのはアレックス・ザナルディだった。1998年以来、久し振りにもてぎへと帰ってきたアレックス・ザナルディは26.088秒を記録してトップタイムをマーク。その後第1回と第2回の日本ラウンドの覇者、おなじみのエイドリアン・フェルナンデスが直後にアタックするが、26.097秒とアレックス・ザナルディにわずか及ばなかった。
今回が2回目のツインリンクもてぎとなる中野信治は8番目に登場。地元日本のファンの期待を一身に背負ってコースインした中野信治だったが、不運にもステアリング周りの計器版が作動しないというトラブルに見舞われる。最適なシフトアップポイントなどのインフォメーションが得られないまま、感覚を頼りにアタックするしかなかった中野信治は26.280秒。決勝は13番手のポジションから追い上げることになった。
この後、木曜日のプラクティスで総合トップ・タイムをマークしていたトニー・カナーンがアタックし、チームメイトのアレックス・ザナルディを上回る26.022秒を記録してトップに浮上。だがそのすぐ後、この2日間のプラクティスで総合トップのタイム(25.720秒)を出していた昨年の2位、ダリオ・フランキッティがこの予選で初めて26秒を切る25.991秒を叩き出す。Honda・ドライバーによって、またもトップが入れ替わった。
絶好調のダリオ・フランキッティの次は、昨年の覇者マイケル・アンドレッティがコースイン。しかし狙ったセット・アップがうまく決まらず、26.215秒で11位。このままダリオ・フランキッティがポールポジションを取るのか、予選もいよいよ終盤に入ったところでコースには第2戦ロングビーチの覇者、エリオ・カストロネベスが登場した。
プラクティスにおける総合タイムでダリオ・フランキッティに次ぐ2番目のタイムを記録していたエリオ・カストロネベスは、最初のアタックでいきなりダリオ・フランキッティを上回る25.849秒をマーク、一躍トップに踊り出た。今年こそ優勝を狙うHonda・ドライバー達の激しいトップ争いに、スタンドからも大歓声が上がる。
その後、エリオ・カストロネベスのチームメイトで昨年のシリーズチャンピオン、ジル・ド・フェランがアタック開始。1周目で25.993秒を記録して更なるタイムアップが期待されたが、コースインする際に痛恨のピットロード速度違反をしていたことが判明し、2周目のタイムがカウントされなくなってしまう。このペナルティが無ければ2位のタイムを出していたジル・ド・フェランだが、結局3位に終わってしまった。
Honda勢最後はランキング2位、ダリオ・フランキッティのチームメイトであるポール・トレイシーのアタックとなったが、CARTからエンジンのブースト圧をコントロールするために支給されたポップオフバルブが不調で、26.432秒と不本意な結果に。結局、エリオ・カストロネベスがそのままポールポジションを決め、得意のガッツポーズでファンの声援に応える。今年のロングビーチに続く2回目、通算6回目の予選トップだ。
エントリーした25台が全員1秒以内に入る大接戦となった予選で、Honda・ドライバーはエリオ・カストロネベス、ダリオ・フランキッティ、ジル・ド・フェラン、トニー・カナーンの4人がトップ4を独占。他にもアレックス・ザナルディの8位、エイドリアン・フェルナンデスの9位と6人がトップ10に入る大活躍を見せた。
決勝 5月19日(土)
今年で4回目の開催となった“ツインリンクもてぎ”でのCART第5戦。好天に恵まれた土曜日の決勝レースは、7万2千もの大観衆が見守る中、午後12時半からグリーンフラッグを合図にスタート。オープニングラップのクラッシュでフルコースコーションが出されたものの、8周目にグリーンフラッグで再開されると、その後レースはコーション・フリーのハイペースで進んだ。
ポールポジションからスタートしたエリオ・カストロネベスはレース序盤をリード。その後方では、昨年の覇者マイケル・アンドレッティが33周目に、そして77周目にはポール・トレイシーもそれぞれギアボックストラブルに見舞われ戦線離脱。それでもHondaターボV8エンジン勢は中盤にかけて一時7台ものマシンがトップ10を走行するなど、予選に続きホームコースでの健闘を見せる。
レースも約半分が経過し、100周目前後で各マシンがグリーンフラッグ下でのピットストップを行うと、これを境にトニー・カナーンがリードを奪い、後半に向けレースを引っ張る。しかしトニー・カナーンをはじめ、各マシンが3回目のピットインを行った際に順位が入れ替わり、K.ブレックがトップでレースは終盤へ。ラストスパートで逆転勝利を狙う2位のカストロネベスは、燃料を温存し最後の数ラップに賭ける。
ところがチェッカーまで残り6周を迎え、N.ミナシアンのアクシデントでフルコースコーションが発生。最終ラップにグリーンフラッグとホワイトフラッグが同時に降られてレースが再開するも、トップのK.ブレックには届かず。カストロネベスは2位表彰台を獲得し、ポイントンランキングでも2位に浮上する。3位にはトニー・カナーンが入り、アレックス・ザナルディも今シーズンの自己ベストとなる7位に入賞。Hondaはマニュファクチャラーズ・ポイント・ランキングで合計70ポイントとなり、トップに躍進した。
地元日本のファンが熱い声援を送る中、13位からスタートした中野信治はアレックス・ザナルディに次ぐ2番目に速いベストラップをマーク、一時5位を走行する大健闘を見せる。181周目に給油のため最後のピットストップを行い、残り数ラップに挑んだ中野信治だったが、最後のフルコースコーションで挽回のチャンスを失う。それでも最終的に8位まで返り咲いてフィニッシュ。今シーズン2度目となるポイント獲得に成功した。
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