最終戦は、ドゥーハン、岡田、バロスが表彰台を独占!!
最終戦となったアルゼンチンGPは、'95年以来、3年ぶりの開催となった。南半球にあるアルゼンチンの季節は初夏。開幕直前は気温が28度前後とポカポカ陽気だったが、予選開始の金曜日からは天候がやや下り坂となり、連日、20度前後の肌寒い陽気の中で行われた。また、ブエノスアイレスの地名には「順風」という意味があり、風の強いことでも有名だが、今年は風の影響はあまり受けることはなかった。
予選初日は、各クラスともに、路面コンディションの悪さに悩まされることになった。ギャップとミューの低さに各選手は頭を悩ませる。
そんな状況の中で、500ccクラスは岡田忠之が暫定PPと初日から快調に飛ばした。2番手にドゥーハン、3位にクリビエとレプソル・ホンダ勢が上位を独占する。しかし、2日目になると、車体のセッティングを決めたドゥーハンが、後続を0.5秒引き離して今季8回目のPPを決めた。2番手には岡田で、以下、チェカ、ジベルノーとフロントロウをホンダ勢が独占した。
250ccクラスは、ジャックがトップ。宇川徹が2番手。青木治親が4番手と、ホンダ勢が上位につけた。しかし、2日目になるとカピロッシがトップに浮上。以下、ジャック、ロッシ、原田と続いた。
125ccクラスはロカテリ、メランデリが快調にタイムを刻み、坂田、ジャンサンティがフロントロウを獲得した。
迎えた決勝レース。すでにタイトルが決まっている500ccクラスは、PPスタートのドゥーハンが終始、リラックスした走りでトップを快走。1周目にトップに立つと、後続を振り切って今季8勝目。5年連続チャンピオンの貫祿を見せた。2番手には序盤の出遅れを見事な走りでリカバリーした岡田が入り、今季3回目の表彰台を獲得。5月のイタリアGPの負傷もかなり回復した様子で、来季に向けて期待を膨らませた。3位にはバロス。以下、阿部、ビアッジら6台による激しい4位争いとなった。
250ccクラスは、ジャックが好スタートを切ったが、原田、カピロッシ、ロッシがペースを上げ、3人の激しい優勝争いとなった。最終ラップには2番手を走る原田にカピロッシが激しく接触。2位でゴールすればチャンピオン獲得となった原田がリタイアに終わり、その危険な行為で失格になったが、カピロッシがタイトルを獲得することになった。
※この後、カピロッシの行為は意図的ではないとの判断で、失格の裁定が取り消され、本来のリザルト(2位)が復活しました。
125ccクラスは、2列目8番手スタートの眞子智実が終盤になって猛烈な追い上げを見せて今季5勝目。終始レースをリードしたメンンデリとチェッキネロが2位と3位でゴールした。4位には眞子とともに終盤に素晴らしい走りを見せた東が入り、以下、坂田、ジャンサンティという結果。
この結果、すでに一度はタイトルを決めながらオーストラリアGPの燃料規定違反で暫定になっている125ccチャンピオンは、再検査の結果次第では、眞子にタイトルの可能性が浮上した。
M.ドゥーハン(500cc/優勝)
自分でもどうしてなのかわからないのだが、最近はスタートがとてもいい。今日も上手くいく自信があったし、その通りのスタートを切ることが出来た。今日のマシンはとても良かった。強いて問題を上げれば、リアタイヤにバイブレーションが少しだけ出ていたこと。その他は完璧だった。
朝のウォームアップからレースが終わるまで、今日は本当に素晴らしい仕上がりだった。これまで最終戦で勝ったことがなかったし本当に嬉しい。最高にいいシーズンの終わり方だった。
岡田 忠之(500cc/2位)
予選では5月のイタリアで傷めた左手首が痛かったが、今日はいい感じで走れて、走っている時はあまり気にならなかった。タイムも走りも今日は良かったのだが、スタートに失敗したのと、クリビエとジベルノーを抜くのに時間がかかってしまった。結果は2位だけど、内容が良かったし得るものも多かった。
来年はミック(ドゥーハン)を追い詰められるようなレースがしたい。
A.バロス(500cc/3位)
今年はブラジルGPがなくなったので、ここがホームグランプリのつもりで闘った。なんとしてもシーズンが終了するまでに勝ちたかったが、今回も勝てなくて残念。それと、ランキング4位のチェカまであと2ポイント差。逆転出来なかったのも残念だった。しかし、最終戦で表彰台に立てたことは嬉しい。
これが今年最後のレースになったが、いつも表彰台を狙えるマシンに仕上げてくれた関係者に感謝したい。
M.ビアッジ(500cc/5位)
素晴らしいシーズンを送れた。ランキング2位という結果は充分なものだが、来年は、チャンピオンを狙うよ。どんなにドゥーハンが手強くてもね。
S.ジベルノー(500cc/9位)
いいスタートが切れたし、岡田とクリビエを抑えて走ることが出来た。しかし、周回を重ねる毎にリヤの挙動がおかしくなって次第にペースを落とすことになってしまった。
これで今年のシーズンは終わったが、来年はもっといい結果を残したいし、残せると思っている。
0.ジャック(250cc/2位)
いいスタートだったが、アプリリア勢にあっという間に抜かれししまった。レース中盤になってエンジントラブルが出てコースアウトしたりと大変なレースになったが、終わってみたら表彰台に立てていた。原田が転倒していたためだが、表彰台に立ってシーズンを終えられるなんて最高だった。
宇川 徹(250cc/3位)
スタートは良かったけれど、それからが全然ついていけなかった。終盤になってジャックに追いついたが、抜くことが出来なかったのも残念だった。もっともっと頑張らないといけないと思う。
レースが終わった後に繰り上がりで3位になったと言われてもあまり嬉しくはない。次は実力で表彰台に立ちたいし、勝ちたいと思っている。
眞子 智実(125cc/優勝)
予選までは全然上手く走れなかった。原因はサスのセッティングだと思うのだが、決勝日のウォームアップですごく良くなった。決勝も序盤は苦しかった。ここは抜き所が少なくて、混戦から中々抜け出せなかった。その間にメランデリとチェッキネロに先行されたが、終盤になって追いつくことが出来た。エンジンもタイヤも最後まで問題はなかった。
この優勝でチャンピオンの可能性が出たけれど、FIMの裁定を待ちたいと思う。
M.メランデリ(125cc/2位)
今日はタイヤのチョイスに失敗してしまった。予選よりも気温が低かったのにハードコンパウンドを選んでしまった。それでグリップが悪くて、苦しい展開だった。最終ラップには、カウルにヘルメットがあたるほどのビッグスライドがあって集中力を欠いてしまった。
●ご声援、ありがとうございました。
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