M.ドゥーハン、5年連続のシリーズチャンピオンを獲得!!
ホンダ、マニュファクチャラーズとのダブルタイトルの栄誉!
メルボルンから南に約150km離れたフィリップアイランドは、その名の通り、周囲を海に囲まれた島で東西約15km、南北約5kmの小島でもある。大陸から約200mの橋を渡って島に入ると、コアラやカンガルー、ペンギン、アザラシなどの自然動物園があって、一年中、観光客で賑わっている場所でもある。
一周4.448kmのフィリップアイランドは、島の西の外れにあり、緑に囲まれた美しいサーキット。エンジン性能の出にくいテクニカルコースでもある。
今大会は、開幕直前にブラジルGPの中止が決定したことで、500ccでドゥーハン、125ccで坂田和人(A)にチャンピオン決定のマジックが点灯。自力チャンピオンへのシナリオは、ドゥーハンは優勝、坂田は2位以内。そしてタイトル争いを繰り広げる相手の順位によっては、限りなく可能性が広がっていくというものだった。
曇り空の中で始まった初日の予選は、地元優勝に闘志を燃やすドゥーハンがあっさりと暫定PPを獲得。2位には、ポイントでも2位につけるビアッジがつけて、タイトルを争う二人が対決ムードを盛り上げる。以下、コシンスキー、クラファー(Y)、バロス、岡田、クリビエと続いた。2日目は快晴となったが、朝から強風となってタイムが伸びず、初日の予選順位でほぼグリットが決まった。PPは地元の声援を一身に集めるドゥーハンで今季7回目。一方、初日のタイムで2番手のビアッジは、予選で大クラッシュを演じて周囲をヒャッとさせた。以下、7位のクリビエまでは順位が変わらず。8番手にラコーニ(Y)がポジションを上げ、阿部(Y)9位。青木宣篤(S)11位。
250ccクラスは、初日3番手のカピスッシが2日目にタイムを上げて今季7回目のPP。2位にロッシ、3位にはスポット参戦の中野真矢(Y)、そして原田(A)がフロントローを獲得。以下、青木治親、ジャック、宇川徹、ペルジーニとホンダNSR勢が占めた。
125ccクラスは、タイトルにかすかな可能性を残すM.メランデリが暫定PPから今季3回目のPPを獲得。真子智実が2位、坂田和人(A)が3位と、タイトル争いの3人が上位を独占。以下、東雅雄、宇井陽一(Y)、ジャンサンティ、加藤義昌(Y)、ビンセント(A)。前戦カタロニアGPで復帰した上田昇は11位。
決勝日は雲の多い一日だったが、ときおり日差しが差し込んで気温も17度前後。前日の強風も弱まって、まずまずのコンディションとなった。
500ccクラス決勝は、PPスタートのドゥーハンがホールショットを奪うと序盤に約2秒のリード。中盤には4秒前後のリードを築いたまま、一度も首位を譲らずにチェッカーを受けた。これで今季7勝目。地元オーストラリアで見事に今季のタイトルを決めた。その後方では激しい2番手争い。クリビエ、バロス、クラファー(Y)の3台によって繰り広げられていた。最後は隣の国ニュージランドのクラファーが、二人を突き放して2位でゴール。以下、クリビエ、バロスという順。中盤まで、この2位グループにつけていた阿部(Y)は5位。ビアッジは前日の予選の転倒の影響でペースを上げられず8位。岡田忠之も5月のイタリアGPの左手首の負傷が影響して9位。ジベルノーはリタイア。
250ccクラスは、フロントロウに並んだ4人と2列目スタートのジャックの5人による激しい戦いが序盤から繰り広げられた。その中から中野のジリジリと後退。ロッシ、カピロッシ、原田のアプリリア勢とジャックの激しい優勝争いとなった。しかし、中盤になると、原田がエンジントラブルで転倒して脱落するハプニング。これを境に、レースの主導権はロッシ、それをカピロッシとジャックが追う。最後まで激しい戦いとなったが、この順位でゴール。その後方では宇川とペルジーニの激しい5位争いとなったが、宇川、ペルジーニの順でゴールした。青木治親は5位争いから脱落して最後は8位でゴールした。
125ccクラスは、フロントロウに並んだ4人の激しい優勝争い。真子が序盤から逃げる作戦。それを坂田が追い、その後方から東とメランデリが追撃するという大接戦となった。最後は、東、真子、メランデリの3人による激しい戦い。もつれるようにゴールラインを抜けることになったが、東が念願の初優勝を果たし、2位に真子、3位にメランデリという順だった。それから約2秒遅れて4位でゴールした坂田が、'94年以来、2度目のタイトルを獲得することになった。
M.ドゥーハン(500cc/優勝)
地元オーストラリアで優勝することが出来たし、チャンピオンも獲得することが出来た。今年もまた、来年もホンダで走ることを、ここでアナウンスすることが出来てとても嬉しい。
今日は、スタート前にエンジンのフィーリングが3気筒になったような感じがして、とても不安だった。プラグを代えたり、いろいろとチェッカをしたのだが、実際のところ、ピットスタートも覚悟した。しかし、結局は、バイクは完全になって、いいスタートが切れた。序盤に2秒近くのリードを築くことが出来たし、これで十分だと思った。それからは後ろとのギャップだけに気をつけて、ペース配分をしていた。
それにしても、ゴールしたからの一周は、とてもファンタスティックだったし、ちょっと怖いくらいのファンの声援だった。今年を振り返ってみると、浮き沈みの多いシーズンだったが、イモラ、カタルニア、そしてフィリップアイランドと素晴らしいレースが出来た。今週は確かにプレッシャーはあったけれど、地元でタイトルを決めることが出来て、本当に嬉しい。
A.クリビエ(500cc/3位)
とにかく、ミックにチャンピオンおめでとうと言いたい。
僕は、前回のレースが終わった時に、とても残念だった。それで、今回は絶対に勝ちたいと思っていたが、それも果たせなかった。その原因はスタートに失敗したこと。やっとの思いで追い上げて、阿部を抜いてからミックを追ったが、タイヤにも厳しくてらなかなか追いつけなかった。それからバロスとクラファーとの戦いになったが、これも厳しい戦いだった。しかし、表彰台に立つことを目標に最後まで頑張った。これでビアッジを抜いてランキング2位になれた。最終戦でもこのポジションをキープしたい。
A.バロス(500cc/4位)
スタートに大失敗してしまったが、1コーナーでかなり順位を上げることが出来た。今日は、阿部、クリビエ、クラファーとの戦いになったが、すべての選手が、いい状態にマシンを仕上げていた。勿論、自分のバイクも完璧だったが、5速と6速のミッションの選択を失敗してしまったようだ。とにかく、最後は表彰台に立とうと思っていた。クリビエとはほとんど差がなかったが、結局、4位に終わって残念だった。しかし、シーズン終盤になっていい状態が続いているし、最終戦のアルゼンチンではいい結果を残したい。
岡田 忠之(500cc/9位)
バイクの状態は予選からいい状態だった。しかし、このサーキットは左コーナーが多いために、左手に負担がかかって苦しかった。5月のイタリアで傷めた右手の状態はまだ完全ではないし、それをかばうために今度は右手に負担がかかるといった感じだった。そういった体の状態に合わせたサスペンションセッティングにも失敗した。最終戦のアルゼンチンは、'94年に優勝しているサーキットだし、優勝出来るように頑張りたい。
0.ジャック(250cc/3位)
予選からバイクはいい状態にしあがっていて、決勝もいいレースが出来るんじゃないかと思っていた。確かにストレートではアプリリアが早かったが、ブレーキングとコーナーリングスピードでは負けてはいなかった。ただ、タイヤの消耗が激しくて、フロントもリヤが完全にグリップを失っていた。フロントは特にひどい状態で、何度もグリップを失った。最後はカピロッシを交わすことを考えていたが、結局、抜き返されてしまった。でも、3位というリザルトには満足している。
宇川 徹(250cc/5位)
今日は予選に較べて路面温度が低かったので、スタートから2〜3周は慎重に行き、それからペースを上げようと思っていた。ところがトップグループのペースが速くて、とてもついていけなかった。レースは青木とペルジーニと競り合うことになったが、表彰台を狙っていたし、とても残念。それにしても、今日のジャックはすごく頑張ったと思う。もっと頑張らないといけいな。
東 雅雄(125cc/優勝)
今年になってここまで4回表彰台に立っていたけれど、なかなか優勝が出来なかった。とにかく優勝したいと思っていたし、それがかなって本当に嬉しい。
今日は真子とメランデリ、坂田さんと激しいレースになったが、中盤にタイヤが滑り始めた時は、ちょっとだけ優勝を諦めた。でも、それはみんなも同じ状態で、ラストラップの勝負になると思っていた。最終ラップに真子が前に出た時に、このままついていけば、ゴールラインで交わせると思った。その通りのレース展開になって、ホント、嬉しい。真子とメランデリとはほとんど差がない状態だった。
僕が優勝出来たのは、エンジンが速かったことと、ブリジストンタイヤのお陰。チェコGPでゴール直前で優勝を逃しているし、やっとその悔しさが晴れた思いだ。
眞子 智実(125cc/2位)
今日は坂田さんとのチャンピオン争いよりも、とにかく勝ちたいと思っていた。しかし、東さんとメランデリに較べて、今日はエンジンが走っていなかった。最終ラップに強引に前に出たのは、このままのポジションでもスリップは使えないと思ったからで、前に出たことは失敗だとは思っていない。でも、予想通り、最後に抜かれたのは悔しかった。今日の失敗の原因は、ミッションの選択を間違えてしまったことだった。
M.メランデリ(125cc/3位)
最終コーナーを立ち上がってきた時に、勝てると思っていた。今日はエンジンの伸びも良かったしね。でも、最後の勝負所で危うく真子とぶつかりそうになって、それを果たすことだ出来なかった。
●次戦/最終戦は、10月25日 アルゼンチンGPです。
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