ビアッジ、2勝目!!ホンダ勢、上位4位を独占!
チェコGPの開催されたブルノサーキットは、チェコスロバキア時代の1965年に初めてグランプリが開催されて、'93年からはチェコGPとして開催されるようになった。ブルノは隣国オーストリアまで約60km、ウィーンまで約130km北にあって、今年はピットビルが全面改修を受けて、近代的な装いへと様変わりした。
ブルノは一周5.403km。コース幅が広く、アップダウンと長いストレートを組み合わせたサーキットで、トータルな性能が要求される難しいコース。開幕前日まで好天続きだったが、予選初日は曇りで強風が吹きつける生憎のコンディション。2日目の朝には強い雨が降って、午前中のフリー走行はウエットコンディションとなった。
そんな状況の中で、500ccクラスは初日から好タイムが続出。暫定PPを獲得したビアッジは、初日に去年のドゥーハンのベストタイムを更新する快進撃。それに刺激を受けたドゥーハンが、2日目の予選で、ビアッジのタイムを約0.5秒、自己ベストを約1秒更新する走りで、今季6回目(通算56回)のPPを獲得した。2番手にビアッジ、以下、バイル(Y)、ウォルドマン(M)、バロス、クリビエ、7月下旬の8耐で復帰を果たした岡田忠之と続いた。7月のイギリスGPで負傷、今大会から復帰したチェカは10番手。4戦ぶりに復帰したコシンスキーは17番手という結果だった。
250ccクラスは、カピロッシ(A)が今季6回目、ロッシ(A)、ルッキ(A)、原田哲也(A)とアプリリア勢がフロントロウを獲得。以下、ジャック、マクウィリアムス、ペルジーニ、宇川が2列目からのスタートになった。
125ccクラスは、坂田(A)、眞子、チェキネロ、東がフロントロウを獲得。一周約5kmで一周2分を越えるロングコースにもかかわらず、予選9番手までが1秒差という接戦となった。
500cc決勝レースは、予選2列目からスタートしたバロスがホールショットを奪い、それをビアッジ、阿部(Y)、ドゥーハンが追うという展開となった。しかし、一周目のコース中盤で大波乱が起こる。阿部(Y)、バロスを交わして2番手に浮上したドゥーハンが転倒。最下位で再スタートを切るも、22周のレースで9周残してリタイヤする波乱の幕開けとなった。
その後、トップグループは、ビアッジを先頭に、バロス、後方から追い上げてきたクリビエ、岡田の順になり、優勝争いは4台のホンダ勢の戦いとなった。中盤には岡田がクリビエを抜いて3位に浮上したが、順位に変動がないまま終盤戦へと突入した。そしてラスト2周になってビアッジがペースアップ。やや遅れ始めたバロスを交わそうとした岡田が最終コーナーでブレーキングミス、クリビエに先行を許す結果となり、バロスを交わしたクリビエが2位、バロスが3位で、ホンダ勢が表彰台を独占する結果となった。優勝のチャンスをブレーキングミスで逃した岡田は4位。以下、大きく遅れて阿部(Y)、ジベルノー、チェカと続いた。これでランキング争いは、ビアッジが再びトップに立ち、11ポイント差でクリビエ、さらに2ポイント差でドゥーハンという順になり、残り5戦を残して、タイトル争いはますますシ烈になってきた。
250ccクラスは、フロントロウスタートの原田(A)、カピロッシ(A)、ルッキ(A)がトップグループを形成したが、ロッシ(A)は一周目にブレーキングミスでペルジーニと接触して転倒する波乱の幕開け。絶好のスタートを切った宇川も、この波乱で大きく順位を落とすことになった。レースは中盤になって原田(A)とカピロッシ(A)の一騎討ちの様相となり、カピロッシの追撃を振り切った原田(A)が今季5勝目を上げた。2位にカピロッシ(A)、3位にルッキ(A)。その後方では、マクウィリアムスと宇川、青木治親の3人によるシ烈な4位争いとなり、前戦ドイツGPで初表彰台を獲得したマクウィリアワスが4位。以下、宇川、青木治親と続いた。第6戦マドリッドGPの負傷から復帰して予選5番手につけたジャックは、7位を走行していたがリタイアとなった。
125ccクラスはスタートから大混戦。終始、14台による激しい戦いとなった。中盤までは激しく順位を入れ換えたが、終盤になってレースは大きく動き始める。終盤にトップに浮上、後続を振り切ろうとした宇井(Y)が転倒、その宇井に代わってトップに立った眞子がマシントラブルで脱落。さらに初フロントロウからトップに浮上して最終ラップを迎えた東が転倒と、最後まで大波乱のレースとなった。最後は予選7番手スタートから、トップグループの中で積極的な走りを見せたメランデリが、最終ラップに坂田を交わして今季2勝目。今月7日に16歳の誕生日を迎えたばかりのメランデリが激戦を制した。2位に坂田(A)。3位には、マドリッドGPで初優勝を達成したチェッキネロが、4戦ぶりに表彰台に立った。
M.ビアッジ(500cc/優勝)
予選では大きなトラブルを抱えていたが、ウォームアップで新しいサスセッティングを試してみた。が、あまり良くなくて、結局、金曜日のセッティングに戻して決勝に挑むことになった。
今日は路面温度が低くて、タイヤ選択が難しいし、走るまで不安だった。結局、そんな心配もなくいいレースが出来た。ミックが転んだのは、サインボードで知らされたけど、なるべく考えないようにして走った。というのも、後ろには何人もの選手がついて来ているのがわかっていたからね。最初は後ろにアレックス(バロス)だけだったのに、次に見たら、もうひとりのアレックス(クリビエ)がいて焦った。次のイモラもいいレースにしたいね。
A.クリビエ(500cc/2位)
予選は体調を崩して、あまりいい状態ではなかった。しかし、決勝レースは回復して、最後まで走ることが出来た。レースでは、中盤まではいくつかの問題があって、岡田、バロス、ビアッジとの差が開いてしまった。もっとも大きな原因はリアタイヤのスライドだったが、とにかく全力で追いつこうと思った。それで何とか差を詰めることが出来たが、岡田を抜いてバロスを抜いた時にも、もうビアッジには届かなかった。でも、今日の結果には満足している。残り5戦で誰にもチャンスはあるし、とっても面白くなりそうだ。これからは得意なサーキットが続くし、イモラとカタルニアは特に大好きだからね。
A.バロス(500cc/3位)
今日はいい結果だったが、思ったように走ることが出来なかったのは残念。セッティングはパーフェクトだったし、ビアッジの後ろでタイヤをセーブ、最後に勝負をかけるつもりだった。それがギアボックスの調子が悪くなって余裕がなくなった。3速から2速に落とす際に、いきなり1速まで落ちてしまうようになって、ビアッジに負けただけじゃなくて、クリビエにも抜かれてしまった。
岡田 忠之(500cc/4位)
イタリアGPでケガをした左手はまだ完全じゃなかったが、ハンドルの角度を変えて対処した。それで8耐よりも無理が効くようになって、思ったよりもいい走りが出来たと思うし、表彰台だけじゃなく、優勝も十分に狙えた。ビアッジ、バロス、クリビエとの戦いになったが、ラスト2周の最終コーナーでブレーキングに失敗し、遅れてしまった。しかし、今回のレースは大きな自信になったし、車体のセッティングもいい方向を見つけた。もうチャンピオン争いとは関係ないし、残り5戦では、ひとつでも多く勝てるように頑張りたい。
S.ジベルノー(500cc/6位)
ノリックをパスするために全力を尽くしていたが、どうしても抜くことができなかった。彼のマシンは僕のツインより速かったし、いいブレーキングだったので抜くことが出来なかった。
予選では、なかなかいい状態を見つけることが出来なかったが、決勝ではサスペンションもタイヤも良くなった。
M.ドゥーハン(500cc/リタイア)
転んだのはフロントからだった。再スタートしたけれど、エキゾーストパイプが壊れてシートが溶けだし、ピットに戻らなければならなかった。自分にとっても、他のライダーのことを考えても、それが最善だと思った。ランキング3位になってしまったが、その差は少しだし、残り5戦もあるのだから、この先も全力で戦うよ。
J.マクウィリアムス(250cc/4位)
2戦続けて今回もホンダの中で一番になっしまった。今回も面白いレースで、宇川と青木とのバトルに勝ったのは、すごくいい気分だ。アプリリアについていけなかったのは残念だったが、それでもエンジンのセッティングは決まっていた。シーズン序盤はツキがなかったけれど、この2戦のようなレースをこれからも続けていきたい。
宇川 徹(250cc/5位)
いいスタートを切ったのに、ロッシとペルジーニの接触で遅れてしまった。アプリリアについていけないだけではなく、ホンダのオフィシャルバイクで市販車のマクウィリアムスに負けたのは悔しい。次は得意なイモラなので、是が非でも、優勝を狙いたい。
青木 治親(250cc/6位)
結果には満足していないし、出来れば4位でゴールしたかった。でも、走ったフィーリングは悪くないし、バイクが仕上がって来るにつれて成績も上げることが出来るはず。今回は予選でセッティングを見つけることが出来なくて苦労しただけに、決勝でここまで挽回出来て良かった。次は表彰台に立てるようなレースにしたい。
M.メランデリ(125cc/優勝)
予選はあまり良くなかったけど、あまり気にしていなかった。それよりも決勝に向けてセッテンィグを決めることが大事だし、それに専念していた。予選を終えた段階で、バイクは完璧になっていた。前回のドイツでは最後に転んでいるし、今回はそれを忘れるためにもどうしても勝ちたかった。序盤はすごい集団になってペースがあがらなかったし、誰もトップを走りたがらなかったけど、ストレートで坂田を抜いた時は気持ちが良かった。ラスト2周でミスをして3位に落ちてしまったが、最後に東が転んで勝つことが出来た。彼の悔しい気持ちが良くわかるよ。
●次戦は、9月6日 イモラGPです。
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