ドゥーハン、ポールtoウインで今季3勝目を飾る!
ホンダ勢、GP記録を更新する22連勝!!
500ccクラスの予選は、これまで見たことがないようなエキサイティングな展開となった。セッション終了まで約2分を残して赤旗中断。ウォルドマン(M)が転倒してマシンが炎上したためだが、それが、予選の闘いに大きな変化をもたらすことになった。中断するまで、トップタイムを叩き出していたのはクラファー(Y)だった。そのクラファーと激しくポールポジションを争っていたのがドゥーハン。誰もが逆転不可能と思えたラスト2分だったが、ドゥーハンは全力を尽くすことになった。前後にニュータイヤを装着して、シグナルが青になると同時に猛ダッシュ。フィニッシュラインを通過した時点で、チェッカーまで約5秒という際どさだったが、そのラストチャンスでドゥーハンはトップタイムを叩き出すことに成功。予選日につめかけた3万人の観客の大歓声を浴びることとなった。これでドゥーハンは今季5回目(通算55回)のポールポジションを獲得。2番手にクラファー、そして3番手には“スーパーポール”を披露したドゥーハンの背後をピタリとマークした阿部(Y)、4番手にビアッジ、以下、チェカ、バロスとホンダ勢が続いた。
そして迎えた決勝レース。50回目のグランプリを迎えたアッセンは10万人の観客で膨れ上がり、最高の興奮状態となっていた。スタートで飛び出したのはドゥーハンで、それを阿部、クラファー、ビアッジ、バロスがピタリと追撃する。しかし、トップに立ったドゥーハンは予選タイムよりわずかに遅い2分3秒から4秒前半のラップタイムでレースの主導権を握る。対照的に2番手以下は激しく順位を入れ換えながら終盤戦を迎えることになったが、その中から阿部がトラブルで脱落。さらにバロスが遅れて、優勝争いはドゥーハン、ビアッジ、クラファーとなった。しかし、ラストラップに2分2秒台のベストタイムをマークしたドゥーハンが後続を抑え切って、'94年以来オランダGP5連勝を果たし、ランキング2番手に浮上。2位に入ったビアッジがランキングトップに返り咲いた。3位にはクラファーが初表彰台を獲得。前戦マドリードGPまでランキングトップのクリビエは6位でランキング3番手にダウン。第4戦イタリアGPで左手首を骨折して3戦ぶりに復帰した岡田は8位でゴール。ジベルノーはリタイアとなった。
250ccクラスは序盤から激しい展開。序盤に上位につけていたジャックとペルジーニが接触して転倒。トップグループを形成していた原田(A)、カピロッシ(A)が中盤にトラブルで脱落と、サバイバルレースの様相となった。その中で、終始、安定した走りを見せたロッシが、250cc初優勝を飾り、6台による激しい戦いを制したフッフ(A)が2位。3位には、250cc2年目の青木治親が250cc初表彰台を獲得。125ccのタイトルを獲得した'96年の最終戦オーストラリアGP以来、2年ぶりのシャンパンファイトに酔った。以下、ダンティン(Y)、宇川、ポルト(A)、辻村(Y)が僅差でゴール。
125ccクラスは、第4戦イタリアGPで初表彰台を獲得。以来、3戦連続2位と上り調子のメランデリと、ポールポジションを獲得した坂田和人(A)の一騎討ち。ラストラップに首位の坂田をかわしたメランデリが、グランプリ初優勝を飾った。'80年8月7日生まれのメランデリは、15歳10ヵ月での初優勝達成。'96年に16歳6ヵ月で記録を樹立したI.ゴイを抜いて世界新記録を打ち立てた。この優勝でメランデリはランキングでも2番手に浮上。2位でランキングトップを守った坂田和人(A)を激しく追い上げることになった。3位にはスタートに失敗して1周目14番手に落ちた眞子が、激しい追い上げを見せてラストラップに3番手に浮上。3戦ぶりに表彰台に立つことに成功した。以下、チェッキネロ、徳留(A)、ジャンサンティ、ロカテッリ、プティまでが団子状態でゴールした。
M.ドゥーハン(500cc/優勝)
今日は予定通りのレースだったし、想像通りの展開となった。でも、予想外にいいスタートが切れたことと、後ろに阿部がいて、後ろの集団を抑えてくれるんじゃないかと思っていたが、混戦になってしまったことは、誤算だった。だから、全力で走らなければならなかったし、ブレーキングもハードにしなければならなかった。ラスト2周はファステストラップを更新したが、マックス(ビアッジ)もそれについて来た。もっとハイペースで走ることが出来ていれば、もっと確実に勝てたと思う。
M.ビアッジ(500cc/2位)
今日は難しいレースだった。スタートはすごく良かったのだが、阿部に前を塞がれてしまった。でも、ミック(ドゥーハン)を捕らえることが出来たし、ピタリとマークすることが出来た。何度かクラファーにシケインで前に行かれたが、他では自分の方が速かったし心配はしてなかった。最後の何周かはバイクを完全にコントロールして最高に楽しかった。ビックスライドに長い距離ホイールスピンしていた。ラストラップはミックを何度も攻めたてが、何度もインを塞がれてしまった。でも、今日は表彰台に立てて嬉しい。先週のバルセロナテストのおかげだし、次のドニントンも先が見えて来た。ポイントリーダーに再び立てたが、チャンピオンシップのことはまだ何も考えていない。
A.バロス(500cc/4位)
今日の結果には満足している。予選ではいくつかのセッティングをトライしてバイクは徐々に良くはなっていたのだが完璧ではなかった。レース終盤はいくつかの問題を抱えて苦しかったが、いいレースが出来たと思う。次のドニントンは得意なサーキットだし、今日はいいレースが出来たので、今回以上に期待している。
C.チェカ(500cc/5位)
スタートは良かったしトップグループの後ろにつけたのだが、リアタイヤのグリップが悪くてペースを落とさなければならなかった。前を走る阿部は絶対に抜けると思ったのだが、いくつかのコーナーで上手く走ることが出来なかったし、無理に抜こうとするのはリスクが大きいと思った。今回は残念なレースになってしまったが、タイトル争いは接近しているし、トップとは12ポイント差だからね。
A.クリビエ(500cc/6位)
残念なレースだった。ここは'92年に500ccで初優勝しているサーキットだったし、すごくいい思い出のある場所なだけに、本当に残念だった。アッセンでこんなに悪かったのは初めての経験だし、思ってもいなかったことだ。タイムもいつもより1.5秒も遅くて、どうしてこんなことになってしまったのかと思った。ギヤのセッティングを間違えたりしたが、それにしても、こんなに悪いなんて、よくわからない。
岡田 忠之(500cc/8位)
イタリアGPで骨折した左手首がまだ完全ではなくて、それが予選でも決勝でも一番大きな問題だった。日本で作ってきた手首をサポートするプロテクターがNSR500のハンドル角度に合わなくて最初は苦労したが、ハンドルの角度を変えて対処することにした。決勝は手を使えない分、足に負担がかかってしまった。レース中に2分6秒台まで落ちて4秒台まで回復させたけれど、それが精いっぱいだった。とにかくアッセンは切り返しが多いサーキットで、この体の状態では厳しかった。
宇川 徹(250cc/5位)
セカンドグループの中でトップを守り切ることが出来なかったのは残念。何台かで大混戦になっていたが、終盤にフッフに抜かれた時に、その瞬間、ごちゃごちゃになって4台いっぺんに抜かれてしまった。前に出てもすぐにスリップで抜かれてしまうし、ここはストレート部分が多くて厳しいレースだった。
青木 治親(250cc/3位)
'96年の最終戦(オーストラリアGP)以来の表彰台で嬉しかった。今日のレースはラッキーと言えばラッキーだったけれど、これもレース。トップのアプリリア勢はすごく離れていて、カピロッシがスローダウンしたのはわかったけど、原田さんはわからなかった。それで集団のトップに立った時にサインボードが2位になって、どうなってんだろうって考えてしまった。それにしても今日は序盤にペルジーニとジャックが接触して転んでいる。その時に巻き添えを食ってコースアウトして10位ぐらいまで順位を落とした。どうなるのかと思っていたけど、250で初めての表彰台だったし、本当に嬉しかった。
M.メランデリ(125cc/優勝)
予選の坂田は本当に速かったが、決勝は絶対にあのペースでは走れないと思っていた。今日はスタートも良かったし、坂田の後ろで走っている時に、ブレーキングは自分の方がいいと思っていた。2番手を走っていたけど、このまま終わるつもりはなかった。最終コーナーのシケインは絶対に負けないと思っていたし、その通りのレースをすることが出来た。ここはグランプリの中でもっとも難しいサーキットだと言われているけど、自分にとっては最高のサーキットだった。僕の人生の中で、今日は最高の日だった。
眞子 智実(125cc/3位)
スタート前は、予選でトップの坂田さんについて行こうと思っていた。ところがスタートに失敗してめちゃくちゃ遅れてしまった。1周目は14番手前後で、それからセカンドグループに追いつくのが精いっぱいだった。スタートさえ失敗しなければ、優勝争いに加われたと思うし残念。でも、優勝争いをしたフランスとマドリードGPはマシントラブルでリタイアしているし、序盤を思えば3位になれて嬉しかった。
●次戦は、7月5日 イギリスGPです。
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