SCENE :
2
湖上のプライベートハウス

湖上のプライベートハウス

ジェットコースターで小屋へ!

午前8時、やってきたのは桧原湖の西岸にあるホテル「STELLA磐遊(すてら・ばんゆう)」の駐車場。
ここは風来坊さんのワカサギ釣り体験の集合場所になっていて、スノーモービルに乗ったスタッフが迎えに来てくれるというシステムです。
集合場所から釣り場までは、スノーモービルでGO!これがスピード感もあって釣る前から楽しいんです
集合場所から釣り場までは、スノーモービルでGO!これがスピード感もあって釣る前から楽しいんです
これがプライベートハウス。大人3〜4人なら貸し切りで一日釣りが楽しめちゃいます。中には石油ストーブもあってあったか!
これがプライベートハウス。大人3〜4人なら貸し切りで一日釣りが楽しめちゃいます。中には石油ストーブもあってあったか!
この日は私たちの釣りの先生でもある風来坊のご主人、鈴木一美さんとスタッフの石橋秀夫さんがさっそうと登場。
一日みっちり釣りがしたければ朝の6時45分から順次釣り場へ送ってもらえますが、それ以降の時間を希望することもできます。のんびりな性格な私たちは、ちょっと遅めのスタートを希望!(偉そうに言えることじゃないか…)

集合場所から釣り場までは、スノーモービルの後部座席や連結したソリに乗せてもらって3分ほど。体中に風を受けながら湖の上を疾走するのは、これ自体がまるでアトラクション! エンジンが力強く吹け上がると、あっという間に釣り場となる小屋についてしまいました。

風来坊さんで「プライベートハウス」と呼んでいる小屋は、畳2畳ほどのコンパクトな建物。大人3人が余裕を持って釣りができるといった広さです。
鈴木さんから「まず小屋の中にあるフタを開けてください」と声がかかりました。
「フタ?」そう、小屋の中は手前がそのまま座れるマットになっていて、その奥にあるフタを外すと湖面に開けた穴が出現! 中をのぞくと真っ暗な水中が口を開けています。この先にワカサギが待っている!?

鈴木さんによれば、この場所で深さは10mほどとのこと。
穴はあらかじめ鈴木さんたちスタッフが開けてくれたものですが、夜の間にうっすらと新しい氷が張っているため、その氷を備え付けの道具で割ることから釣りがスタートします。
ちなみにこの割った氷、専用の「氷すくい」の金網部分で取り除いてやるのですが、急いですくおうとするとなかなかうまく取れません。
「ゆっくり、そーっと作業するのがコツですよ」と鈴木さん。
なんだか縁日の金魚すくいのようですね。
さてこの小屋、奥の窓の前には石油ストーブが置かれています。
そこで到着したらスイッチオン。そのあと小屋の中はポカポカになるので、上着を脱いでも一日釣りができちゃうんです(ちなみに靴も脱いじゃいます)。これならお子さんでも楽しめますよね~。
ちなみに、「温かさで氷が溶けちゃったらどうしよう……」という心配はご無用。氷上ワカサギ釣りはしっかり氷が張ってからのスタートとなるので、暖房程度ではびくともしないそうです(笑)

湖上にはこんなプライベートハウスや、ひとりで楽しめるカラフルなワカサギ釣り用のテントがほかにもいくつか。真っ白で広~い湖の上が賑やかなんてなんだか不思議な気分ですが、やっぱり湖の中でも「今釣れている場所」に人は集まるそうです。
この時はまだ設置されていませんでしたが、さらに大人数で楽しめる屋形船もあり、屋形船ならトイレは併設。プライベートハウスやテントの場合は、トイレに行きたい時にスタッフに声を掛けると、スノーモービルで集合場所のステッラ磐遊さんにすぐに送ってくれます。
プライベートハウスに入ったら、まずは穴に張った氷を割ることから準備開始。備え付けの道具でガシガシと割り、砕いた氷は「氷すくい」で取り除きます
プライベートハウスに入ったら、まずは穴に張った氷を割ることから準備開始。備え付けの道具でガシガシと割り、砕いた氷は「氷すくい」で取り除きます

ワンタッチで釣り?

さぁ、いよいよ釣りの準備開始。
……と思ったら、あれ? そういえば釣りザオらしいものがどこにもない?
風来坊さんオリジナルの電動リールザオ。おもちゃみたいだけど、ワカサギ釣りには欠かせないアイテムです
風来坊さんオリジナルの電動リールザオ。おもちゃみたいだけど、ワカサギ釣りには欠かせないアイテムです
すると「大丈夫、これが今日のおふたりのワカサギ釣り用のサオですよ」と手渡されたのは、なんだか木のおもちゃのような機械。
えっ、これで釣りザオなんですか?
電動リールザオといって、今やワカサギ釣りには欠かせない定番アイテムです。ほら、ちゃんとイトも巻いてあるでしょう? これはKUSASHIという、うちのオリジナルハンドメイド品ですけれど、最近は大手メーカーさんもいろいろな種類を発売していますよ」と先生。
手のひらに乗ってしまうほどの大きさ。前方に平らで細長いプラスチックの板が付いていて、小さな金具から伸びたイトがその板に取り付けられたリングの中に通してあります。「丸いのがリールで、横のボタンを押すと簡単にイトが巻き取れますよ。プラスチックの板は穂先で、薄くてとても軟らかく作ってあります。垂らしたイトに魚が掛かると、この穂先が動くのでそれでアタリを取るんです」

ワンタッチで魚を釣り上げるなんて、本当におもちゃみたい。親しみやすいこんな釣り道具も、ワカサギ釣り人気の秘密のひとつなんでしょうね~。
ちなみに「くさし」って、私たち福島の言葉で「めんどくさがり」といった意味なんです。
作った人がめんどくさがりなのか、それともめんどくさがりの人でも釣れちゃうよってことでしょうか? どちらにしても面白いですね。

「道具が分かったら、あとは仕掛けの準備を始めましょう。すぐにワカサギが釣れますよ!」

部屋は温かいし、道具はかわいいし、初めてのワカサギ釣りへの期待感はもうマックス!……と思っていたら、このあとちょっとビックリなハードルが待っていたのでした。

ラビットってなんですか?

ワカサギ釣りの仕掛けは、最近のブームを反映して、さまざまな完成仕掛けが市販されています。
「ボート」や「ドーム(屋形船)」のように使う場所に合わせたものや、「桧原湖」や「野尻湖」といったフィールドの名前を冠したものまで、実にさまざま。
桧原湖では湖畔のコンビニエンスストアに立ち寄ると、入り口の近くにそれこそ何種類ものワカサギ釣り仕掛けが並んでいてびっくりしました。
袋に入ったラビット(手前)と市販されているワカサギ釣り仕掛け(奥の3点)。冬の氷上ワカサギ釣りでは、だいたいハリが5~6本付いたものを使います
袋に入ったラビット(手前)と市販されているワカサギ釣り仕掛け(奥の3点)。冬の氷上ワカサギ釣りでは、だいたいハリが5~6本付いたものを使います
仕掛けの一番先端部分にはオモリをセット。この重さで仕掛けをスムーズに湖底まで落とすのです
仕掛けの一番先端部分にはオモリをセット。この重さで仕掛けをスムーズに湖底まで落とすのです
この日、鈴木先生が選んでくれたのは、氷上の穴釣りシーズンの定番という、ひとつの仕掛けにハリが5~6本付いたタイプ。
秋のボート釣りのシーズンには、もっとたくさんのハリが付いたタイプの仕掛けも使うそうですが、この時期はあまり欲張らずに、ピンポイントでねらいうちするのだとか。ハリが多いとその分扱いも難しくなるので、かえってビギナーにも扱いやすいそうです。

完成仕掛けをセットしたら、エサを付けていよいよ釣り開始!
と、ここで鈴木先生、ニコッとしながら「エサはラビットを使いましょう。でも大丈夫かな?」とひとこと。
手渡されたのは何やらおがくずのようなものがはいった小さなビニール袋。

ラビットってウサギですよね? 何かかわいいものが入っているのかな?

「小さなタイプのサシのことをラビットというんですよ。今日はこれを使いましょう」
袋の中を見ると、お米の粒のような小さなエサが何やら身をよじるように動いています。 小さい頃に近所の川や沼でザリガニ採りや魚つかみをしていた私は大丈夫ですが、これって女子には少しハードルが高いかな?
「……んんん、美幸ちゃん大丈夫?」
「えっ、どうしてですか? かわいいじゃないですか」

やっぱり頼れる後輩。躊躇なく1匹をつまみだしたと思ったら、指の上に乗せてしげしげと眺めていました。どうも私の杞憂だったみたい(笑)

「小さな黒い点がついているほうが頭なので、その反対側のお尻のほうにハリをチョン掛けにしてくださいね」と先生。
これを5匹も付けるのか……と思っていら、美幸ちゃんはとっくに準備完了。
おやおや、これは負けていられません。しかもこのラビットちゃん、見慣れてくるとたしかにかわいげもあるような。
ちなみにラビットを含むサシは、色が黒くなっているものがある場合は避けて、白色のきれいなものを選ぶのが大切だそうです。
小さなサシ、通称ラビットをチョン掛けにしたところ。通常サイズの大きなサシを使う場合は、ハサミで半分にカットしたりするそうです
小さなサシ、通称ラビットをチョン掛けにしたところ。通常サイズの大きなサシを使う場合は、ハサミで半分にカットしたりするそうです
動くサシは苦手! という繊細な女子には、実はこんなアイテムも。ワームといって人工的に作った疑似餌です。これでもちゃんと釣れましたが、やっぱり生きたエサのほうが「より釣れます」とは先生のアドバイス
動くサシは苦手! という繊細な女子には、実はこんなアイテムも。ワームといって人工的に作った疑似餌です。これでもちゃんと釣れましたが、やっぱり生きたエサのほうが「より釣れます」とは先生のアドバイス
※撮影:浦壮一郎
※このコンテンツは、2014年2月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。