SCENE :
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つり女子のテンカラ入門

つり女子のテンカラ入門

身軽なテンカラ・スタイル

パープルの薄いダウンジャケットに深緑色のベスト、アウトドア用のパンツに長靴。吉田先生、なんだかとっても軽装です。あとは腰にネットを下げて、サオを手にしているだけ。バッグは? 釣り道具は?
テンカラ用の振り出しザオ。渓流域では3.5m前後がよく使われます。あとはラインとハリス、そして毛バリがあればOK。エサが不要で、いつでもサオをだせる身軽さがテンカラの特徴です
テンカラ用の振り出しザオ。渓流域では3.5m前後がよく使われます。あとはラインとハリス、そして毛バリがあればOK。エサが不要で、いつでもサオをだせる身軽さがテンカラの特徴です
「ここにありますよ」
と、見せてくれたのは……え、ネックレス?
シックなビーズと一緒に、小さな糸巻きとラインカッター、そして毛バリの入ったプラスチックケースが取り付けられています。アメリカ先住民の伝統工芸みたいな雰囲気ですが、実は吉田さんの手作り。正式にはランヤードというアイテムです。なんと、私たちにもひとつずつプレゼントしていただきました!
「サオとライン、そして毛バリがあれば楽しめますからね。テンカラの道具はとってもシンプルなんです」
テンカラとは、日本式の毛バリ・および毛バリを使った釣りのこと。語源には諸説あるそうです。もともとはヤマメイワナなど、渓流にすむ魚をねらうために考案されたもの。ハリに鳥の羽毛などを巻きつけて小型の水生昆虫に見せかけ、魚に食いつかせるわけです。
吉田さんお手製のネックレス……じゃなくて「ランヤード」に小道具をセットして、あとは毛バリケースやフォーセップをポケットに入れておけば準備完了。軽装で楽しめるんです
吉田さんお手製のネックレス……じゃなくて「ランヤード」に小道具をセットして、あとは毛バリケースやフォーセップをポケットに入れておけば準備完了。軽装で楽しめるんです
ニセモノのエサで魚を釣るわけですから、つまりは疑似餌の一種。「毛バリ」の部分だけに注目すれば、ほとんどフライフィッシングと同じです。ただしフライとは違って、テンカラはリールを使いません。振り出し式のノベザオにラインとハリスを付けて、先端に毛バリを結ぶだけ。まさにシンプル・イズ・ベスト!だけど、オモリも付いてないのに、どうやって振り込むんだろう?
もちろん、使う毛バリも吉田さんの手作りです。今回は水に沈むタイプを使いました。水中でも見やすいように、お尻の毛が白くなっています
もちろん、使う毛バリも吉田さんの手作りです。今回は水に沈むタイプを使いました。水中でも見やすいように、お尻の毛が白くなっています
管理釣り場とはいっても、景観は自然渓流そのもの。振り込みの練習にも身が入ります

管理釣り場とはいっても、景観は自然渓流そのもの。振り込みの練習にも身が入ります

振り込みのコツは「時計」?

「実際にサオを振ってみましょうか。振り込みの方法さえマスターすれば、あとは簡単ですよ」
まずは吉田さんがお手本を見せてくれます。サオを握って軽く前後に振ると、ラインは宙できれいな弧を描き、スーッと前方へ伸びていきます。テンカラ用のラインにはいろんなタイプがあるそうですが、吉田さんが使っているのはフライ用のシューティングライン。一般的な釣りイトよりもウエイトがあるので、それを利用して軽い毛バリを飛ばすという仕組みです。
これが「10時」の位置までバックスイングしたところ。ここでサオを止めて、コンパクトに前方へ振るのがコツなんだそうです
これが「10時」の位置までバックスイングしたところ。ここでサオを止めて、コンパクトに前方へ振るのがコツなんだそうです
「サオを力いっぱい振る必要はありませんよ。時計盤をイメージしてください。バックスイングは、サオを10時の位置まで振ったらピタッと止める。そのまま前方へ短く振り下ろして、頭の上あたりでサオをストップ、という感じです。……お、できてるじゃないですか!」

やってみると、意外にうまくできてびっくり! ルアーのキャスティングなんかよりも、よっぽど簡単だと思います。ラインがサオより1m以上長いけれど、リズミカルに振れば絡むこともないし、なんだか新体操のリボンを振っているような感覚です。マリコちゃんもあっという間に慣れたようす。
サオを振り下ろす時は、脇を締めてコンパクトに!……あれ、腕がだらーんと伸びてしまってますね(汗)
サオを振り下ろす時は、脇を締めてコンパクトに!……あれ、腕がだらーんと伸びてしまってますね(汗)
「うまい!センスあるねえ。カンペキだ!」優しい吉田先生、女子をノセるのがとっても上手です

「うまい!センスあるねえ。カンペキだ!」優しい吉田先生、女子をノセるのがとっても上手です
それを確認した先生は、
「じゃあ、さっそく釣ってみますか」
え、もう練習終わり? 思いのほかハードルが低くてまたまたびっくりです。「習うより慣れろ」ということわざは、釣り人が作ったのかもね。
動画で解説!
テンカラのキャスティングレッスン(1分57秒)
テンカラのキャスティングレッスン
(1分57秒)
真剣なまなざしのマリコちゃん。いろんな釣りを経験したおかげでしょうか、サオさばきが様になってます
真剣なまなざしのマリコちゃん。いろんな釣りを経験したおかげでしょうか、サオさばきが様になってます
「さぁ、いよいよ実践編。大きな岩の上から、そっと淵をのぞき込むと……!

さぁ、いよいよ実践編。大きな岩の上から、そっと淵をのぞき込むと……!
※撮影:浦壮一郎/文:水藤友基
※このコンテンツは、2011年2月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。
※環境省レッドリスト等の掲載種については、法令・条例等で捕獲等が規制されている場合があります。必ず各自治体等の定めるルールに従ってください。