実釣編①:シロギス釣り

パラシュートアンカーを
使った流し釣り

広く探って
シロギスの居場所を探り当て、
アタリが出た場所を集中的に釣る

シロギス釣りは群れの居場所を突き止めることが重要。そのため広く探る必要があるが、それに適したアプローチがパラシュートアンカーを用いた流し釣りだ。海中に入れた傘状の布が潮流を受けて船を引っ張り、動力なしで自動的に広範囲を探ることができる。

流し釣りのイメージ

アンカーで固定されていないボートは風や潮流の影響を受けて流される。それを利用して移動しながらアタリがある場所を探し、反応の良いエリアや水深を繰り返し流して釣果を伸ばす。

パラシュートアンカーの働き

ただ浮かんでいるだけではあっという間に流されるが、パラシュートアンカーの働きでゆっくりと探ることが可能になる。

シロギスのアタリはコココンと手に明確に伝わる。群れを見つけることも楽しみながら釣ろう

パラシュートアンカーの使い方

1

パラシュートアンカーを使うのは船首側。ロープの末端をあらかじめボート本体に結び付けておいたうえで、開いたパラシュートアンカーを海中に投じる。

2

傘が広がって海中で潮流を受けていることを確認したら、ロープを少しずつ伸ばしていく。ロープがしっかり張り、ボートが安定すればOK(好適な長さはその時の潮流や風の具合で異なる)。

3

釣り中はパラシュートアンカーに引っ張ってもらい、ある程度ボートが流されたあと、同じコースや他のコースを流し直すときはいったん引き上げて、釣りを再開したい場所に移動する。パラシュートアンカーの使い方は実際には奥が深いが、まずは挑戦してみよう。

釣り方の基本

1

初めにエサを付けた仕掛けを軽くキャストして海底まで落としていく。シロギスは岸からもねらえる魚なので、あまり深い沖合まで出る必要はない。目安としては、水深5~15mほどの場所をねらってみる。

2

仕掛け(オモリ)が着底したことを確認したら、リールを巻いてイトフケを取り、サオ先をゆっくり立てるようにしてオモリを海底に付けたまま移動させる(=引きずってくる)。
サオが立ちきったらリールを巻きながらサオを寝かせ、もう一度同じようにオモリを移動。つまりオモリを付けたまま、沖合から手前まで仕掛けを引きずって動かしてくる。これにより広い範囲にエサを通してシロギスのアタリを待つ。

3

サオ先や手もとから「ブルブルッ!」「ツツツッ!」という振動が伝わったらそれがアタリ。シロギスの場合、最初のアタリはハリまで食い込んでいないことが多いので、2度目以降でサオを立て、リールを巻いて寄せてくる。

シロギス釣りのイメージ

きれいなシロギスがヒット。砂浜(陸)からの釣りと比べて、圧倒的に広範囲を探れるのが2馬力ボートを使ったシロギス釣りの魅力だ
周囲にさえぎるもののない景色の中で、疲労も少なく釣りができる

シロギスはその日によって、同じような水深に集まっていることが多い。そこでアタリが得られたら、すぐに魚探を見て水深を把握し、場所を変えても同じような深さの場所をねらうと数を伸ばしやすい。

また、なかなか釣れない時も、「浅い→深い」「深い→浅い」といったように、自分が釣っている場所の水深を把握しながら、反応が出るまで水深を少しずつ変えて釣りをし、「その日の正解(釣れる水深)」を探すとよい。

海上でも給油できるように

大きなポイント移動を繰り返したり、同じコースを何度もなぞるように釣ると、燃料の消費も早くなる。そのため予備燃料を入れた携行缶は必ず用意しておき、いつでも給油できるようにしておきたい。その際は、帰りの分の燃料まで余裕を持って釣りをすることも大切だ。
経験を積むと燃料の消費具合も自然とわかってくる。そのうえで、海上で給油を行う際は、揺れによる吹きこぼれの恐れがあるので、海の状況にも充分に注意して作業する。

帰港と片付け

2馬力ボートの釣りは半日程度が目安。燃料の関係もあるが、晴れた日の海では午後から風が吹きやすいことや、釣りを終えたあとの片付けも考えると、余裕をもって釣りを終えるほうがよいからだ。いずれにしても時間に余裕を持ち、気持ちよく帰路につくことが大切だ。

釣りを終えたあとの片付けはなるべく現場で済ませたい。それによって帰宅後の手間が大きく減らせる

片付けの流れ

1
出艇場所に戻ってきたら、まず船外機のプロペラが接触しないところまで近づき、ドーリーを下ろす。その後、ボートから海に降りたら、船首側から陸上へ引き上げる。この時、スロープであれば足もとが滑りやすいので充分に注意する
2
ボートを引き上げたらまずは外周りを真水で洗い流す。丸山さんはクルマから電源を取れる2馬力ボート用の給水タンク付きウォッシャーを準備している。給水タンクには自宅を出る前に水道水をたっぷり入れておく
3
ボートのあとは船外機の外周に付着した潮気も水洗いする
4
次に使い切れずにタンク内に残った燃料をポンプで抜き、携行缶に移す
5
他の作業をしている間にボートが乾いたら畳み、船外機を含む装備品を積み込んだら片付けは終了。忘れ物やゴミがないように確認して、港を後にしよう!

現地での作業は外周りを真水で流し、タンク内に残った燃料を除去するだけでも基本的には問題ないが、船外機にはプロペラ周りの確認や長期保管前のキャブレター内に残った燃料除去など、次回使用に向けてチェックしておくべきポイントがいくつかある。詳しくは下記ページで解説しているので確認しておこう。

次回は、2馬力ボートを使ったルアーフィッシングの模様をレポート。「手前船頭」で自由に遊ぶ楽しさを引き続きお伝えするので、ぜひお楽しみに。

今回使用した船外機

BF2

2馬力クラスで、
唯一の空冷エンジン搭載。
Honda船外機の
ベストセラー

4ストローク2馬力船外機において、クラストップレベルの軽量・コンパクトさや空冷エンジンによる扱いやすさ、メンテナンスのしやすさといった特長を持つBF2。丸みを帯びた親しみやすいデザインで、燃料タンクの容量もクラス最大の1.1Lあり、余裕のある快適なクルージングを可能にしている。

※このコンテンツは、2023年10月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。