Dio M.A.-C.ABS・ST1100 Pan-European CBS-ABS
- 1995.12
「M.A.-C.ABS」は、前・後輪の車輪速度センサー、Electronic Control Unit(ECU)、アクチュエータ(作動装置)、ブレーキレバーの操作入力を検知し、ABS作動時の操作性を向上させるケーブルダンパーから構成されています。
実車への搭載に際しては、システム構成部品を小型・軽量化するとともに、各部品の機能が最も発揮できるスペース確保を追求した結果、メットインスペース・フラットフロア等、使い勝手の良さやスクーターらしいデザインを損なうことなく、より使い易いブレーキシステムとして実用化の見通しを得ました。 |
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「M.A.-C.ABS」システム構成部品配置図 |
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「M.A.-C.ABS」システム図 |
作動原理 |
前・後輪連動(左レバーのみ) |
後輪ブレーキには、左レバーの入力をケーブルを介してそのまま伝えられます。そして、そのレバー操作状態をケーブルダンパー内の荷重スイッチとアクチュエータ内のストロークセンサーからECUが演算し、入力に応じた適切な前輪ブレーキ力を発生するようアクチュエータを駆動します。
さらに走行速度や後輪ブレーキのアジャスト状態に対応した補正も行い、リニアリティを確保しました。 |
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前・後輪連動ブレーキ作動図
(左レバー操作時) |
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ABS(前後連動1チャンネル制御) |
前・後輪に取り付けられた車輪速度センサーから車輪ロック傾向をECUが演算し、前後のブレーキ力を制動力と安定性が両立するように調整します。
さらに、路面状態を判定することによって、前・後輪の許容できるスリップ状態をも判断することで、ブレーキ力を補正しています。これらによって、前・後輪を連動制御する1チャンネル方式でのABSが可能となりました。 |
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ABS作動図(左右レバー操作時) |
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システムの効果 |
システムの効果確認のため、社内の女性を対象に試乗会も行いました。結果として、特に「右レバーを強くかけられるようになったこと(約26%アップ)」や「左レバーのみの操作による制動距離短縮」という効果がデータとして現れました。
さらに、左右のレバーを使った全制動においてもエキスパートライダーの操作による制動力の80%程度まで容易に発生できるという結果となりました。これは、前・後輪にABSがあるという、より精神的な安心感と、左レバー操作による前・後輪連動ブレーキ効果を体感し、ブレーキ操作に対する理解も深まったという開発の狙い通りの結果であると考えられます。 |
天候 |
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晴れ |
路面 |
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アスファルトドライ |
試乗者 |
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社内女性(ある程度乗れる人)33名の平均値 |
試乗車 |
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Dio量産車(「M.A.-C.ABS」非搭載車)および、Dio「M.A.-C.ABS」搭載車 |
初速 |
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30km/h |
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社内女性ライダーによる制動距離比較 |
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