T.R.-C.ABS・M.A.-C.ABS
- 1995.09
二輪車の最も優れた機能のひとつとして利便性が挙げられます。
ホンダは、スクーターに代表される小型二輪車に対しても、優れた利便性を提供する「Vベルト式自動変速機」や「メットイン機構」など、使い易さを向上させる技術を開発してまいりました。原付スクーターのブレーキ操作を、前・後輪ともにレバー操作としていることも、自転車同様の操作感覚を初心者に提供するためのものです。
そして今回、さらなる扱い易さを、ケーブル等を使用したメカニカル式のブレーキでも実現できるシステムとして、「M.A.-C.ABS」を開発いたしました。
一般的には、スクーターのブレーキ操作においても、後輪ブレーキ(左レバー)に対し、前輪ブレーキ(右レバー)を効果的に使用した方が高い制動力が得られます。しかし右手は、速度をコントロールするアクセル操作も行うため、特に、初心者はブレーキ操作に集中できる左レバーの使用頻度が高くなるとともに、前輪ブレーキを強くかけすぎると、車輪がロックし車体挙動が大きくなることもあるため、“前輪がロックすると怖い”という意識から、後輪ブレーキが使用される頻度が高くなる傾向にあります。
ホンダはこれに着目し、左レバーをより使い易くするために、大型車とは違ったアプローチで小型車用の前・後輪連動ABSの開発を進めました。
今回の、「M.A.-C.ABS」は、左レバーのみの操作でも、適切な前・後配分で、効果的な制動力が得られることに加え、操作荷重も従来のスクーターと比較して大幅に軽減させました。
また、直進制動時におけるブレーキのかけすぎによる車輪ロックを防止するABS機能を前・後輪ともに持つことで、レバー操作や路面状況に必要以上に気をつかわずにすみます。
「M.A.-C.ABS」は、一般的なABSのように油圧ブレーキだけでなく、スクーターなどの小型二輪車に多用されているケーブル等を使用したメカニカル式ブレーキシステムへの搭載を前提とし、1つのアクチュエータで前・後輪連動ブレーキとABSの2つの機能を両立させた、世界初の画期的なブレーキシステムといえます。 |
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