MC-A.L.B. - 1987.10

Technology
MC-A.L.B.
 
構造と作動原理

3作動メカニズム
 このMC-ALBは、制動時のホイールロック現象を、車輪より増速回転されるフライホイールタイプの高感度回転センサーにより検出し、ブレーキ系統の液圧を直接減圧制御し、同じく車輪によって駆動されるポンプで、圧力回復をはかるタイプのアンチロックブレーキシステムです。以下、基本作動パターンを示します。



(A) は通常制動領域
(B) はフライホイールと車輪の相対速度差によりダンプバルブが開いた液圧解除領域
(C) は車輪が回転復帰し、ダンプバルブが閉じてポンプが作動する昇圧領域
  ●基本作動パターン●基本作動パターン
1… 車輪の急減速による、フライホイール移動開始点
2… ダンプバルブ開き液圧解除開始点
3… ダンプバルブ全開点
4… 車輪の回転復帰(加速)開始点
5… フライホイール復帰移動開始点
6… ダンプバルブ全閉、ポンプによる昇圧開始点
7… フライホイール加速(増速)開始点
8… フライホイールと車輪の回転同期点
 

(図-6)
(図-6)
 
通常制動時のブレーキ液圧状態(作動領域(A))
 ブレーキロックを起こさない通常の制動時、マスターシリンダーからのブレーキ作動液圧は、カットバルブを通じディスクブレーキのキャリパーに作用します。この時、エキスパンダーピストンは、作動液が封じ込められているため、カットバルブを押し出した状態にあります。(図-6)

(図-7)
(図-7)
 
過制動時の液圧解除状態(作動領域(B))
 過制動により車輪が基準減速度を超えるとフライホイール回転センサーが作動し、ダンプバルブが開き、封じ込められた作動液はリザーブ通路を通ってリザーブタンクに戻ります。これによりエキスパンダーピストンは上昇しキャリパー系の液圧を低下させるとともにカットバルブを閉じ、さらに、マスターシリンダーからキャリパーに作用する液圧を減じます。これにより制動力は減少します。
 ポンプは作動状態にありますが、ダンプバルブが開いているため昇圧しません。(図-7)

(図-8)
(図-8)
 
ポンプ作動による昇圧状態(作動領域(C))
 車輪の回転速度が車速近くまで回復してくると、ダンプバルブは閉じ、ポンプによりエキスパンダーピストン室の圧力が高まります。この圧力により、エキスパンダーピストンは下降し、キャリパー圧を上昇させ制動力を増加させます。
 エキスパンダーピストンは、さらにカットバルブを押し出し、初期状態(作動領域(A))になります。(図-8)

連続作動サイクル
 前述の作動領域(A)〜(C)の連続作動サイクルにおいて車両速度と車輪、およびフライホイールの速度変化を、コンピューターシミュレーションにより求めたパターン図で示します。(図-9)

(図-9)連続作動パターン
(図-9)連続作動パターン



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