パワーユニット(2)


 エンジンを新設計とするうえで、出力特性の向上と徹底した軽量化を達成するために、細部にわたる見直しを行ないました。エンジンケースとシリンダーを別体とし、各々のパーツを小型・軽量化したうえで、高出力エンジンとしての入念なチューニングを施しました。

■エンジンケース
 エンジンケースも新設計とすることで、主要3軸(クランク、メイン、カウンター)の各シャフトの軸間距離と配置はそのままに、エンジンのさらなるコンパクト化を図りました。ケース内部の形状を見直し、さらにシリンダーを別体としたことにより、必要十分な強度を確保した形状にすることで、軽量化に貢献しています。


■シリンダーブロック
 高剛性なフルクローズドデッキタイプのシリンダーをエンジンケースと別体とし、シリンダーに直接Ni-SiC表面処理を施すことで、シリンダーピッチを変更することなくボアの1mm大径化を実現。また、Ni-SiC表面処理を採用したことで、高回転、高負荷時の耐久性を確保し、信頼性の向上も図っています。


■シリンダーヘッド
 シリンダーヘッドでは、吸・排気バルブの全長をインレット側で2.7mm、エキゾースト側で3.6mm短縮し、カムシャフトの位置を4mm低く、吸気側と排気側のシャフトを4.5mm接近*させて設計することで小型化を実現。また、ヘッドの締め付け部を外へ出すことで、ヘッドの幅を15mm短縮しました。


■ピストン&コンロッド
 鍛造スリッパー型ピストンと軽量の浸炭ナットレスコンロッドとの組み合わせで慣性マスを効果的に低減しています。ピストン各部の薄肉化を丹念に行ない、重量増を招くことなくボア1mmの大径化を実現しました。サイドスカート表面には二硫化モリブデン粒子を着床(ショットピーニング)させることでフリクションロスを最小限に抑え、優れたスロットルレスポンスを実現しています。

* 全て2007年モデル比



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