XR - 1995.02

XR
XR
 
パワーユニット


セルフスターターの装備
 始動時のクランク回転トルクを軽減させるデコンプ(減圧)機構をカムシャフトに組み込んだオートカムデコンプ機構を、スーパーXR250Rと同様にスーパーXR250/XR BAJAにも採用することによって、スターターモーターの負荷を大幅に減少させることが可能となり、小型・軽量のバッテリー(4Ah:10時間率容量)でも余裕のあるエンジン始動が可能となりました。


ドライサンプ方式潤滑システム
 スーパーXR250R同様、エンジン潤滑システムにドライサンプ方式を採用し、クランクケース底部のオイル溜め部(オイルパン)を廃止することによって、エンジンの軽量、コンパクト化(エンジン全高)に寄与させています。
 また、エンジン内部を潤滑・冷却し、温度の上昇したオイルをエンジン内に留めることなく、冷えやすいフレーム内蔵のタンクへすばやく循環させるため、オイルの冷却性能の向上が図れるとともに、過酷な条件下でのオイルの劣化や各部の熱歪みを低減でき、定評ある空冷・RFVCエンジンの耐久性、信頼性をさらに向上させています。
ドライサンプシステム
ドライサンプシステム
エンジン各部の軽量化
 ピストンは、形状や単体重量の最適化を図るためCAE解析を行い、’94XLR250Rと比較して6%の軽量化を達成。これによってエンジンレスポンスを向上させるとともに、振動の低減を図り快適な乗り心地を得ることができました。
 さらに、バルブリフト量の増加に対応してバルブステム径をφ5.5mmからφ5.0mm(’94XLR250R比較)へと細軸化し、バルブの軽量化を実現したことによって、流路抵抗を減少させ、出力特性の向上にも寄与しています。
ピストンCAE図
ピストンCAE図

  さらに、

 ● ドライサンプ方式の採用で実現した小型、軽量化クランクケース
 ● オールアルミ製クラッチセンター
 ● 中空シフトフォークシャフト
 ● 中空スターターリダクションギアシャフト
 ● 細幅化されたカムチェーン
 ● 新設計の軽量カムチェーンガイド
 ● クランクケース、カバー類に採用したスモールヘッドタイプボルト
 ● スーパーXRシリーズ専用のショートタイプリアフォークピボット部カラー
 ● ボルト3本締めタイプから2本締めタイプへ変更したオイルフィルターカバー
   などの徹底した軽量化を施しています。


低・中回転域トルクの向上
 より扱いやすいエンジン特性とするため、吸気・排気ともに開角を狭くしオーバーラップも少なくしたバルブタイミングを採用するとともに、バルブリフト量を増加(吸気側:+0.2mm/掃気側:+0.5mm)させ、さらにスパークプラグをDタイプ(12mm)からCタイプ(10mm)へ変更し、プラグ位置をインレットバルブ側に1mm寄せて燃焼室形状の最適化を行うことによって、低・中回転域のトルクを向上させています。
 また、バルブリフト量の増加およびオートカムデコンプ機構の採用に合わせ、動弁系を専用設計しました。


フリクションの低減
 ピストンリングのトップおよびセカンドリングを1.0mm→0.8mmとするとともに、カムチェーンの薄幅化などによってフリクションを低減しています。
 さらに、ドライサンプ方式の採用によって、クランクケース内のオイルの撹拌が少なくなりフリクション低減に寄与しています。


トランスミッションギアレシオの変更
 様々な走りに柔軟に対応できるよう、ギアレシオは’94XLR250Rに対してややクロスレシオの設定とし、各ギアレシオを均等に配分することで、新設計エンジンの出力特性にマッチさせた理想的なギアレシオとしています。


ギアシフトフィーリングの向上
 スーパーXR250R同様、ギアシフトフィーリングをより軽快で確実なタッチとするために、カウンターシャフトにインボリュートスプラインを採用し、ギアのスライド性を向上させました。さらに、シフトフォークガイドシャフトを浸炭処理材の研磨仕上げとし、シフトフォークの作動性を向上させるとともに、ギアシフトカムの形状変更によって、節度感のある、軽快で確実なタッチのギアシフトフィーリングを実現しました。

シフトカム形状比較
シフトカム形状比較
カウンターシャフト スプライン形状比較
カウンターシャフト スプライン形状比較


操作系の荷重低減
 クラッチ操作については、ディスクフェーシング材を変更し、クラッチ容量を十分に確保しながらスプリング荷重を下げ、レバーの操作力を約28%軽減しました。


シリンダーヘッド冷却フィンの大型化
 冷却効率の向上を図るため、シリンダーヘッドのフィンを大型化するなど放熱効果を高め、さらにドライサンプ方式潤滑システムの採用によって、定評ある空冷RFVCエンジンの耐久性・信頼性をさらに向上させています。


カムシャフトの高剛性化
 カムシャフトには、剛性の高いダクタイル鋳鉄を採用するとともに大径化によってカムシャフトのたわみをおさえ、高回転域におけるバルブの追従性を向上させています。


専用設計の動弁系とバルブの軽量化
 ロッカーアームは、高剛性化とバルブリフト量の増加に対応させるためレバーレシオを変更しました。バルブスプリングリテーナーを’94XLR250Rに対し4.5%軽量化し、バルブの細軸化による軽量化や、バルブスプリングのばねレートおよび荷重の最適な設定など、専用設計の動弁系によって高回転域におけるカムへの追従性をさらに向上させ、伸び感のある出力特性を実現させました。


大気開放型CV(コンスタント・バキューム)型キャブレターの新採用
 スーパーXR250/XR BAJAは、加減速の頻繁な市街地走行を考慮し、スロットル荷重の軽減を図るとともに、低・中回転域でのリニアなレスポンスを実現し、ビギナーからエキスパートまで幅広いユーザー層に合った使い勝手を持ちながらも、高速道路走行時など様々な路面状況でも優れた出力特性を発揮させるため、使い勝手に優れ軽量化にも寄与する、新設計の強制リフト機構を装備した大気開放型CV型キャブレターを採用しました。





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