メインフレームはファイアーストームのフレーム構造の考え方をベースとし、VTRならではのスチールパイプによるトラス構造を採用しています。また、スイングアームピポット部をエンジンのクランクケースにボルトオンすることでセッティングの自由度を確保しています。
具体的な設計にあたっては、各部にハイテンションスチールを多用し軽量化を図るとともに、CAE解析によって適正な強度・剛性・しなやかさを設定し、極力無駄のない設計で、軽量・コンパクトなフレーム構造を実現しました。さらに、シートレール部は別体ボルトオンタイプとし、メンテナンス性にも配慮しています。また、パーツレスデザインを採用し各部品の多機能化を図ったことで、点火プラグなどのメンテナンス性も向上しています。 |
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フレームCAE解析 |
今回、徹底した軽量化を達成するため、設計の企画段階より部品ひとつひとつの機能を原点に戻って突き詰め、機能上不要な部分を除いた構成でスタイリングデザインをスタートしました。その結果、従来のVTシリーズ中最軽量の乾燥重量139kgを実現しました。
フレーム、スイングアーム、ホイール等の重要部品については、CAE解析によって各部に適正な強度、剛性、しなやかさを設定し、極力無駄のない設計でパイプサイズ、および各部の板厚を最適化
■ハイテンションスチール材の多用による各部板厚の最小化 |
メインフレームのヘッドパイプガセット、ダウンチューブ、リアタンクマウントステー、リアブラケットプレート、マフラーステー等にハイテンションスチール材を採用
VTRではボルト類の一本一本にまで機能美を追求しています。具体的には、エンジンハンガー等の大径ボルトには中空フランジボルト、中程度のボルトには軽量なDRボルト、外観上のポイントとなる箇所についてはソケットボルトを採用し、各ボルトの機能、材質、形状、表面処理等に上級機種レベルの高品位仕上げを採用しています。
シンプルで軽快なスタイリングを実現しながら脱着をより簡便なものとするため、シートとリアカウルを一体で脱着する構造としています。また、これによってシートとリアカウルのクリアランスを可能な限り詰める事が可能となり、スタイリング上のリア廻りの一体感を高めています。
また、荷物の積載にはシートカウル後方下部及びステップホルダー後端にロープフックを装備し、ピリオンシートからリアカウルにかけてのラインをフラットにすることによって、十分な積載性を確保しています。
ステップホルダーは、メインフレームと同色の塗装を施したアルミダイキャスト製とするとともに、メインステップアームもアルミダイキャスト製とするなど、ステップ廻りも高品位仕様としています。
また、右側のステップホルダー脇のリアストップランプスイッチは、外観デザインに配慮し、操作性を損なわずに完全にステップホルダー裏側に配置することが可能となりました。
ブレーキペダル/チェンジペダルにはクロームメッキを施し、高品位な質感と優れた対候性を実現しました。 |
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さらに、各機能部品については、軽量化とともに、多機能化することで、部品点数の大幅な削減が可能となりました。
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サイドカバーを廃止した、全く新しいサイドビューのスタイリング |
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シート底板部とシートカウルをリアフェンダーの一部としたレイアウト |
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フェンダー、バッテリーボックス、電装品取り付け部、シートオープナー取り付け部の兼用化 |
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ラジエター冷却水リザーバータンクの多機能化 |
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エアークリーナーケースにイグニッションコイル、メインハーネス、キャブレターエアーベントチューブ等の部品の取り付けの集中化 |
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シート底板とリアカウルの一体化 |
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