VF750 SABRE MAGNA
      - 1982.03
     
    
    
      
	
				
				
 
	
	近年、テレスコピック型フロントフォークの作動性は構造、加工精度等の改善により非常に良くなり、又サスペンションのセッティングと相まって乗心地も非常に向上しています。 
	しかし一方、これらの特性は制動時のノーズダイブをより顕著なものにしており対応が望まれていました。 
	ホンダ独自のこのTRACでは、乗りごこちに関する特性はそのままにしておきながら、制動時のノーズダイブを制動力に応じて自動的に緩和させ、快適な制動フィーリングが得られるようにしてあります。 | 
	 
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	●特長 
	
		
		| 1. | 
		制動により発生するキャリパーのブレーキ力で、アンチダイブピストンを作動させ押し側の減衰力をコントロールしているので、減速度に応じた適度なフロントのアンチダイブ効果が得られます。
急制動時には、高い押し側の減衰力が発生し、急激なダイブを防止する。又軽制動時には軽い減衰力が働くのみであるので、フロントフォークがつっぱるような異和感は発生しません。 | 
		 
		
		| 2. | 
		制動中に突起乗り越し等による衝撃を前輪が受けたときは、自動的にアンチダイブは解除されクッションは通常通り作動し衝撃エネルギーを吸収できます。 | 
		 
		
		| 3. | 
		制動時のアンチダイブ減衰力は、4段階に調整ができ、ライダーの好みに応じてアンチダイブ効果を選択することができます。 | 
		 
		
		| 4. | 
		アンチダイブピストン作動は、ブレーキトルクによるキャリパの回転力を利用しているので、ブレーキ液圧系のロスがなくブレーキレバーの剛性低下等の悪影響がありません。 | 
		 
	 
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	●構造 
	アンチダイブ機構は、ピストン、リターンスプリング、オイル流量調節のオリフィスバルブ、ピストンを作動させるピボットボルト等から構成されます。 | 
	 
 
  
	
	●作動 
	制動時、ブレーキパッドがディスクを締め付ける際、発生する反力でブレーキキャリパーはキャリパーブラケット上のピボットボルトを支点として回転しようとします。キャリパーの動きに応じて、トルクアームが動き、コントロールピストンがピボットボルトによって押しつけられます。コントロールピストンが作動すると、ダンパのオイル通路がしゃ断されるため、オイルはピストンに設けられたバイパス通路からオリフィスバルブを通りインナパイプに戻されます。 
	この時、通常クッションの作動によるオイル通路より小さなオリフィスを通過するため、オイルの流れが規制され、ダンパの減衰力が高くなり、ノーズダイブが制御されます。 | 
	 
 
	
	●作動 
	1.ブレーキを操作しないとき。 
	〈縮み側〉 
	チェックバルブ1)は開いて、(A)と(C)室はつながり、フロントフォークパイプ内のオイルは、(A)室から矢印のように(B)室へと流れ、ごくわずかの減衰作用を伴い作動します。 
	〈伸び側〉 
	チェックバルブ1)は閉じて、(C)室のオイルは、チェックバルブのオリフィスを通過して(A)室に流れ、このときの抵抗が減衰力となります。 
	 
	2.ブレーキを操作したとき。 
	〈縮み側〉 
	ブレーキをかけるとコントロールピストンが←方向に押されオイルのメイン通路を閉じます。
制動により、フロントは沈みこもうとし(A)室のオイルは(B)室に移動するが、メイン通路は閉じられているのでバイパス回路を通り、この間のオリフィスバルブで減衰力が高められ、フロントの沈みこみを適度に抑止する効果が発生します。 
	〈伸び側〉 
	制動時の伸び工程では、チェックバルブ2)が開いてオイルは(B)室から(A)室へ移動します。減衰力はブレーキを操作しない時と同様にチェックバルブ1)のオリフィスにより発生します。 | 
	 
 
 
 
 
 
 
 
 
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