パワーユニットには、 '86年CBR250Fでデビューし9年間で約11万台に搭載された、信頼の水冷・4サイクル・DOHC・4バルブ・4気筒・249cm3エンジンをベースに、市街地での扱い易さに重点を置き、低・中回転域でのトルクを向上させるとともに、さらに吹きあがり感を向上させるため、パワーピークとトルクピークを近づけた、右上がり傾斜の強いトルクカーブを持つ出力特性としました。
また、意図的に幅の狭いトルクの谷間を設定することで、吹きあがりレスポンスを強調し“トルキーレスポンス”を感じさせる特性としています。
特に今回出力特性の味付けにあたっては、4-1集合とすることで直列4気筒らしい吹きあがり感を重視した特性とするために、下記の通り各部の仕様を設定しました。
- 各エキゾーストパイプ間を連結することで、狙いとする回転数とトルクを実現(下図A・Bポイント)。
また、下図のように連結位置をずらし、#1-4連結は低回転域。#2-3連結は中回転域のトルクアップを図った。さらに、連結のパイプのサイズや下穴径も最適値を選択
- エキゾーストパイプ集合部下端を約75%絞ることによって、管長を長く設定することと同等の効果を実現。最大限の脈動効果を発揮(下図Cゾーン)
- 集合部からマフラーまでの管長を従来より長めに設定することで、トルク全域の力強さを実現すると同時に、アップマフラーデザインを完成
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出力特性比較 | エキゾーストパイプ構造図 |
- マフラーを従来より1室少ない2パスタイプとし排気圧力を下げることで、吹きあがり感を強調
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バルブタイミング |
- バルブタイミングは、インレットクローズを早めることによって低・中回転トルク全域を上げる効果を狙い、オーバーラップを増やすことでピークパワー以降の落ち込みを減少させ、伸び感を向上(図C〜Eゾーン)
- インレットポートをφ27.0mmからφ24.5mmに絞ることで、低・中回転域のトルクアップと、パーシャルトルクを向上(図C〜Dゾーン)
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車速線図 | 吸気ポート比較 |
最終的には、これらの特性を活かす最適なギアレシオと点火タイミングを選択し“トルキーレスポンス”を完成させました。
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