充填効率向上のために、吸排気抵抗の低減と吸排気マニホールドの管径・管長の最適化、バルブタイミングとオーバーラップ量のチューニングなどを実施しています。
吸気系は、一体化した大容量のモジュール構造とし、円錐軸流型エアクリーナーエレメントの採用とあわせ吸気抵抗を低く抑えました。また、エアインテークをフロントバルクヘッド上部開口とし、ボディ前端から外気を取り入れることで吸気温の低減も図っています。さらに、吸気ポートとインテークマニホールドをストレートな設計とし、吸気抵抗を低減しました。
排気系は、ステンレスパイプ製の大口径デュアルエキゾーストマニホールドを採用。各集合部の形状にこだわり、排気抵抗を低減するとともに、排気脈動を有効利用し排気効率を高めました。また、エキゾーストパイプの大径化およびスムーズな排気の流れを実現した高効率デュアルサイレンサーにより、低騒音と低背圧化を両立させました。さらに、触媒もメタルハニカムの採用により薄肉化し、セル密度を低減することで、浄化能力を高めながら排気抵抗の低減も図っています。
吸排気抵抗の低減とあわせ、ホンダのレーシングテクノロジーを導入し、バルブタイミングとオーバーラップ量、燃焼室形状をきめ細かにチューニング。良好な燃焼状態を実現することにより、高トルクの獲得と低排出ガス化を図っています。
さらに熱効率向上のために、量産エンジントップレベルであり、レーシングエンジンに迫る11.7の高圧縮比を達成。これは、カムチェーンおよびギアドライブの採用により、2本のカムシャフト間隔を狭め、吸排気バルブの挟み角を小さく取るレイアウトとすることでコンパクトな燃焼室を形成し実現しました。また、シリンダーまわりの冷却水路の徹底したシミュレーション、FRMスリーブによる温度低下などにより、高圧縮比化にともなうノッキングの発生を抑えています。
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図8. | 充填効率を高めた吸排気系と高圧縮比のコンパクトな燃焼室 | |
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図9. | 高効率デュアルサイレンサー採用の大口径エキゾーストパイプ | |
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図10. | メタルハニカムによる背圧低減 (社内測定値) | |
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