S2000 - 1999.04

S2000

S2000
 

Technology #1 Engine

新型2リッター4気筒DOHC VTEC エンジン

高回転化対応技術
高回転化の対応は、各部の強度アップと慣性重量の低減により実現しています。
ピストンはアルミの鍛造化とすることで強度アップを図り、ピストンリング厚の低減、コンロッド小端部のテーパー化による軸受け部の強度確保などにより、ピストン高をきわめて低く設計し頭部形状を最適化。これにより、軽量化とともにフリクションロスの低減を図りました。オイルリング溝からピンボス部へのオイル穴を設け、冷却性の向上も図っています。
鍛造製コンロッドには、新たに浸炭処理を採用しました。浸炭処理とは、炭素を供給しながら加熱することで表面部の炭素量を高める熱処理。浸炭後焼き入れを行うと表面部を硬化させることができます。これにより、コンロッド各部の厚みを減らし慣性重量を低減。また、コンロッドボルトのナットレス化はクランクケースの小型化に寄与しています。
クランクシャフトは、せん断疲労強度を向上させた材料とし、ピンの給油穴に適切な面取り処理を施し、ねじり応力の集中を緩和することとあわせ強度を向上させました。

FRM(Fiber Reinforced Metal:繊維強化金属)スリーブの採用によりボアを拡大し、ショートストローク化を実現したアルミダイキャスト製のブロックを、クランクシャフトセンターで上下に分割。レーシングエンジンを彷佛させるラダーフレーム構造とすることで、コンパクト化しながらブロック剛性とベアリング支持剛性を向上させています。さらに、気筒間に設けたブリージング通路とオイル落とし路をクランク室に開放せずパイプ形状とし、バッフルプレートの下方まで延長。これにより、高回転時にクランク室内のオイル撹拌を防止し機械損失を低減するとともに、オイルのエアレーションを抑えました。

また、各気筒のプラグにダイレクトに点火エネルギーを供給することで、確実な着火を実現するイグナイター内蔵のプラグホールコイルの採用も高回転化に寄与しています。

図6.ピストンおよびコンロッド
ピストンおよびコンロッド
図7.2分割ラダーフレーム構造のシリンダーブロック
2分割ラダーフレーム構造のシリンダーブロック

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