ODYSSEY - 1994.10

ODYSSEY

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テクニカルノート



PLEASURE & NATURAL


高水準シャシーバランス 高水準シャシーバランス


セダンと同等の心地よさを実現。
4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンション。

操縦安定性や乗り心地を高次元で両立させる、ホンダ独創の4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンション。フロントサスペンションはオデッセイ専用に熟成するとともに、リアサスペンションには、より高いスペース効率を求めた新形式を採用。しっかりとした安定性、しなやかな乗り心地、スムーズなコーナリングなど、セダンと同等の上質で快適な走りを実現しています。


フロント・ダブルウイッシュボーン・サスペンション インホイール型式リア・ダブルウイッシュボーン・サスペンション

(1)

ダンパー

(2)

コイルスプリング

(3)

トレーリングアーム

(4)

アッパーアーム

(5)

ロアアーム(フロント)

(6)

ロアアーム(リア)

(7)

クロスビーム

イラストはABS装着車
フロント・ダブルウイッシュボーン・サスペンション インホイール型式リア・ダブルウイッシュボーン・サスペンション(4WD)


乗り心地向上
ダンパーフリクションがきわめて少ないダブルウイッシュボーン形式のメリットを活かしながら、低圧ガス封入のHPV(ホンダ・プログレッシブ・バルブ)ダンパーの採用によって高速域まで安定した減衰力と優れた応答性が得られたため、レーンチェンジ時などの揺り戻しも減少しています。また、乗り心地を重視した設定の大径タイヤ(205/65R15)の採用により、小突起乗り越し時のフラット感を向上。さらに、バネ上共振周波数の低減を図るなど、きわめて上質な乗り心地を実現しています。

安定性向上
軽量・高剛性のリアクロスビームやリアハブユニットにより、サスペンション横剛性をアップ。さらにリアサスペンションのアーム類の配置およびブッシュチューニングの最適化を図ることで、コーナリングおよびブレーキング時における優れたトーコントロール性能を確保するなど、しっかりとした安定感のある走りと横風安定性を実現しています。

ロールの低減
フロントロールセンター高を低く設定し、前後ロールセンター高のバランスを適正化することで、スムーズな回頭性を実現。また、スタビライザーのサイズアップや、フロント、リアのワイドトレッド化によってロール剛性を高め、コーナリングでのロール低減と安定感を確保しています。

新開発、リア・インホイールサスペンション。
3列目シートの居住性など空間効率を高めるために、コンパクトなインホイール形式のリア・ダブルウイッシュボーン・サスペンションを新開発。ダンパーとコイルスプリングを独立させるとともに、アッパーアーム、ロアアームをホイール径内に配しました。しかも、ダンパーを直立に近い状態に配置しているため、フルストローク域までダンパー効果が有効に得られ、ダンピング性能を向上。さらに、サスペンション横剛性を高めるなど、乗り心地や安定性を向上させています。


信頼性の高い制動力を発揮。4輪ディスクブレーキ。
確かな制動性能を確保するために、オデッセイは4輪に15インチのディスクブレーキを搭載しています。フロントには、放熱効果の高いベンチレーテッドディスクを採用。リアは、通常のブレーキ時とパーキングブレーキ時でそれぞれ最適なブレーキ特性を得るために、ドラムインディスクブレーキとしました。大勢が乗車した際の制動時でもブレーキの信頼性が高く、低重心&ロングホイールベースによる安定感を活かした安心感のある制動力が得られます。


ナチュラルな操作感が得られる、ステアリングチューニング。
ドライバーにとっての心地よさを実現するために、ステアリングシステムにも最適なチューニングを施しました。自然でダイレクト感のある操舵フィーリングが得られる、ロータリーバルブ式パワーステアリングを採用。さらに、ステアリングコラムのシャフトを中空化するなど、システム全体を軽量・高剛性化。そのうえで、ステアリング取り付け部の剛性アップや、フロアセンターステーなどの採用により、ステアリング振動を大幅に低減。走行安定性の高い高水準なシャシーバランスとあいまって、ナチュラルなドライブフィールを確保しています。


軽量4WDシステム 軽量4WDシステム


軽快で頼もしい走りをもたらす、リアルタイム4WD(デュアルポンプシステム)

ホンダ独自のデュアルポンプシステムの導入により、4WDの頼もしい走破性能とFFの軽快な走行性能を両立した、先進の4WDメカニズム。新たに、車両重量に見合った登坂性能の確保や発進フィーリング向上などのチューニングを加え、オデッセイに採用しました。2つのオイルポンプと多板クラッチを組み合わせたデュアルポンプシステムは、最適なトルク制御により、大幅な軽量化を実現。4WDを感じさせないほどの軽快感とともに、良好な燃費も実現しています。

デュアルポンプシステム
リアデファレンシャルとの一体化と全油圧制御によるシンプル化を実現した、軽量・コンパクトなシステム。2つのオイルポンプは、前輪と後輪それぞれの回転数と同期して作動しており、前・後輪の回転差で発生した油圧が多板クラッチを作動させ、前輪との回転差に応じた駆動力を後輪に伝達します。しかも、トルクリミッター機能によって余分な駆動力は自動制御し、走行状況に適した駆動力配分をつねに行ないます。これにより、FF車と同等の低い走行抵抗による軽快な走りとともに、雪道や登坂路での頼もしい発進・加速性能を獲得。また、ABSを装着した場合(Sタイプ、Lタイプにメーカーオプション)には、より効果的な制動性能を発揮します。

オデッセイ専用チューニング
オデッセイでは、車両重量増に対する雪道や登坂路などでの性能確保のために、専用のチューニングを実施。多板クラッチを8枚から10枚に増やすとともに、リリーフ油圧をアップして、後輪への伝達トルクを向上しました。また、オイルポンプの効率をアップし、応答性を向上。よりスムーズな発進フィーリングを得ています。

デュアルポンプシステム作動イメージ
デュアルポンプシステム作動イメージ

デュアルポンプシステム作動イメージ



デュアルポンプシステムの作動原理

通常走行時
前輪と後輪の回転数はほぼ同じであり、2つのポンプの間に油圧は発生しません。この場合、フロントポンプから吐出したオイルは、そのまますべてリアポンプが吸入。オイルの流れは平衡状態を保ち、したがって多板クラッチは作動せず、FF状態で走行します。

発進・加速時
前輪回転数が後輪回転数を上回ると、フロントポンプとリアポンプの間に油圧が発生し、多板クラッチを押しつけます。その結果、回転数に応じたトルクを後輪に伝達。また、発生した油圧が設定値を超えた場合にはリリーフバルブが開き、トルクリミッター機能によって油圧を制御します。

4WD車でも高い静粛性を実現。
FF車の振動・騒音対策に加え、4WD車専用の対策を施しました。トランスファーのギア音を低減するために、5mmオフセットのハイポイドギアを採用。リアデフはダブルフローティングによる2重振動遮断構造とし、駆動系のこもり音や振動を低減しています。またリアサスペンションもフローティング化するなど、4WD車特有の振動や騒音に対処しています。



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