ホンダ独自のデュアルポンプシステムの導入により、4WDの頼もしい走破性能とFFの軽快な走行性能を両立した、先進の4WDメカニズム。新たに、車両重量に見合った登坂性能の確保や発進フィーリング向上などのチューニングを加え、オデッセイに採用しました。2つのオイルポンプと多板クラッチを組み合わせたデュアルポンプシステムは、最適なトルク制御により、大幅な軽量化を実現。4WDを感じさせないほどの軽快感とともに、良好な燃費も実現しています。
リアデファレンシャルとの一体化と全油圧制御によるシンプル化を実現した、軽量・コンパクトなシステム。2つのオイルポンプは、前輪と後輪それぞれの回転数と同期して作動しており、前・後輪の回転差で発生した油圧が多板クラッチを作動させ、前輪との回転差に応じた駆動力を後輪に伝達します。しかも、トルクリミッター機能によって余分な駆動力は自動制御し、走行状況に適した駆動力配分をつねに行ないます。これにより、FF車と同等の低い走行抵抗による軽快な走りとともに、雪道や登坂路での頼もしい発進・加速性能を獲得。また、ABSを装着した場合(Sタイプ、Lタイプにメーカーオプション)には、より効果的な制動性能を発揮します。
オデッセイでは、車両重量増に対する雪道や登坂路などでの性能確保のために、専用のチューニングを実施。多板クラッチを8枚から10枚に増やすとともに、リリーフ油圧をアップして、後輪への伝達トルクを向上しました。また、オイルポンプの効率をアップし、応答性を向上。よりスムーズな発進フィーリングを得ています。
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デュアルポンプシステム作動イメージ
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前輪と後輪の回転数はほぼ同じであり、2つのポンプの間に油圧は発生しません。この場合、フロントポンプから吐出したオイルは、そのまますべてリアポンプが吸入。オイルの流れは平衡状態を保ち、したがって多板クラッチは作動せず、FF状態で走行します。
前輪回転数が後輪回転数を上回ると、フロントポンプとリアポンプの間に油圧が発生し、多板クラッチを押しつけます。その結果、回転数に応じたトルクを後輪に伝達。また、発生した油圧が設定値を超えた場合にはリリーフバルブが開き、トルクリミッター機能によって油圧を制御します。
FF車の振動・騒音対策に加え、4WD車専用の対策を施しました。トランスファーのギア音を低減するために、5mmオフセットのハイポイドギアを採用。リアデフはダブルフローティングによる2重振動遮断構造とし、駆動系のこもり音や振動を低減しています。またリアサスペンションもフローティング化するなど、4WD車特有の振動や騒音に対処しています。
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