FCX FACT BOOK
FCX 2004.12
駆動モーター
出力とトルクをさらに高め、高回転域まで、広範囲で走りのポテンシャルを引き出す、駆動モーター。
エネルギー損失低減技術と熱マネジメント設計によって広範囲での高効率化と
出力範囲の拡大を実現したうえで、出力特性、トルク特性をともに高めています。
出力・トルク特性比較
駆動モーターにおいては、Hondaが培ってきた電気自動車EV-Plusの高性能技術をベースに、さらなる進化・熟成に取り組んでいます。旧モデルでは、リラクタンストルク併用低損失磁気回路と全域フルデジタルベクトル制御の適用によって、広範囲での高効率確保と出力範囲を拡大し、高回転域の出力範囲を拡大するためにローター発熱を抑制。今回これらに加え、Honda FCスタックの優れた発電特性やウルトラキャパシタのエネルギー容量増加などによって、モーターの最高出力を80kWに向上。ポテンシャルを最大限に引き出します。
ローター発熱制御技術。
リラクタンストルク併用によるローター磁束変化の増大に対し、磁石分割採用によって渦電流の発生を大幅に抑制し、さらに高耐熱磁石の採用と高出力に適した磁路構成によって高い減磁抑制効果を実現しました。その結果、高回転での高出力範囲を拡大しています。
分割高耐熱磁石 駆動モーター性能比較
静粛性に優れた燃料電池車をさらに快適にするために、パワートレインの騒音対策を施しています。
電気によるモーター駆動で走行する燃料電池車は、ガソリン車のエンジンのような振動や排気音がなく、静粛性に優れています。これに加え、吸気音やエアポンプの振動・騒音をさらに抑えるなど、旧モデルよりもさらに静かで快適な走りを実現しています。
静粛性に優れた燃料電池車をさらに快適にするために、パワートレインの騒音対策を施しています。
トラクションモーターステーター構造比較
[パワートレイン騒音対策]
<新技術>

●エアポンプローター中実構造
エアポンプローターを中空構造から中実構造にすることで気柱共鳴の発生を抑制し、吸入騒音を低減。室内において旧モデル比-10dBを達成。
●トラクションモーターステーター樹脂モールド
モーターステーター巻線部を樹脂モールドにすることでステーター全体の剛性を高め、モーターの共振振動を低減。室内において旧モデル比-6dBを達成。

<従来技術>
●消音レゾネーターチャンバー一体吸気モジュール

コンパクトにモジュール化したレゾネーターチャンバーにより、広い周波数帯で吸気放射音を低減。
●ダブルフローティングマウント
サブフレームにラバーマウントしたモーター&トランスミッションに、エアポンプとエアポンプモーターをさらにラバーマウントで取り付けることでエアポンプの回転振動を2段階に減衰させ、ボディへの振動伝達を低減。
軽量・コンパクト化を実現した、モーターと一体構造のトランスミッション。
モーターの出力特性を最大限に活かすために、1速固定減速比を採用しています。
モーター&トランスミッションおよびラジエーター配置図
メイン(プライマリー)→カウンター(セカンダリー)→ファイナルの2回の減速でデファレンシャルギアに伝達するシンプルで高効率なトランスミッションとしています。さらに高回転・高出力化および軽量・コンパクト化を追求。[FCX]ならではのスムーズで力強い走りを獲得するとともに、パッケージングにおけるメリットとして大型ラジエーターの設置を可能とし、冷却性能の向上にも貢献しています。
■モーター&トランスミッションおよびラジエーター配置図



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