FCX FACT BOOK
FCX 2004.12
Honda FCスタック 1
世界トップレベルの小型・高出力を達成し、同時に外気温度−20℃での始動を実現した、新開発の燃料電池、 Honda FCスタック。
「Honda FCスタック」開発コンセプト
燃料電池車の普及を目指し、
より小さく、より力強く、そして多くの地域で。
Hondaは、燃料電池車の将来の普及に向けて、さまざまな分野で研究を重ねています。特に心臓部である燃料電池スタックにおいては、車載性と走行性能の両立を目指し「小型・高出力」を推進するとともに、多くの地域での使用を可能にする「環境適合性」の向上や、さらには「将来の量産性」をも追求。今回、独自の発想と画期的な技術によって次世代型燃料電池へと飛躍的に進化した、Honda FCスタックを完成しました。
次世代型燃料電池 Honda FC STACK
「アロマティック電解質膜」と「金属プレスセパレーター」を世界で初めて
車載用として採用。より高性能な次世代型燃料電池へと飛躍的進化を遂げました。
Hondaは、水素イオン伝導性に優れたアロマティック電解質膜と、導電性・熱伝導性に優れた金属プレスセパレーターを新開発し、世界で初めて車載用として採用。発電効率を向上するとともにスタックの大幅なコンパクト化を実現したことで、従来比約2倍の小型・高出力を達成し、世界トップレベルの出力密度を獲得しています。しかも、-20℃から+95℃までの発電を可能にし、耐久性も向上。生産性やリサイクル性も高めるなど、燃料電池の性能を次世代型へと引き上げています。
■Hondaスタックの進化 Hondaスタックの進化
Hondaスタックの進化 Hondaスタックの進化
■高出力の進化(出力比率
高出力の進化(出力比率)
■小型化の進化(容積比率
小型化の進化(容積比率)
■軽量化の進化(重量比率
軽量化の進化(重量比率)
FCX-V2搭載用Hondaスタックを1.0とした場合の比率
新開発「アロマティック電解質膜」を採用。
極低温での水素イオン伝導性を向上しました。
■電解質膜の水素イオン伝導性向上
電解質膜の水素イオン伝導性向上
従来の燃料電池では、フッ素系電解質膜を使用してきました。これに対しHonda FCスタックでは、新開発のアロマティック電解質膜を採用。この電解質膜は、膜の分子構造から新たに設計した、安定性の高いアロマティック(芳香族)構造の主鎖と、イオン交換基(SO3-)を組み合わせています。これにより、イオン伝導をつかさどるイオン交換基を従来のフッ素系電解質膜よりも大幅に増加させるとともに劣化の少ない特性を実現。イオン交換基を多く存在させることで、低温における水素イオン伝導性をフッ素系電解質膜の約2倍に向上。その結果、膜抵抗を約1/2に低減でき、氷点下でも優れた伝導性を確保したことで、-20℃での始動を実現しています。
■電解質膜構造比較
<Honda FCスタック><従来Hondaスタック>
アロマティック電解質膜はイオン交換基(SO3-)の数が、フッ素系電解質膜より多く含まれ、広い温度領域にわたって膜抵抗が小さい。
FCX-V3に搭載のHondaスタック
高温耐久性も向上。
従来のフッ素系電解質膜では80℃以上になると素材が急激に軟化変形してしまうことから、それ以上の高温では使用できませんでした。Honda FCスタックに採用したアロマティック電解質膜は、高強度・高耐熱性のアロマティック構造の主鎖によって高温でも軟化変形しない高温耐久性を実現しました。しかし、アロマティック構造は高温での膜の形状保持性に優れているものの、従来の膜・電極層接合製法では電極層との密着性に問題がありました。これを解決するために、独自の製法を開発。その結果、電解質膜と電極層との優れた密着性を実現しています。
■高温性能の向上 ■高温耐久性の向上(80℃)
高温性能の向上 高温耐久性の向上(80℃)
アロマティック電解質膜と電極層の密着性比較
アロマティック電解質膜と電極層の密着性比較アロマティック電解質膜と電極層の密着性比較アロマティック電解質膜と電極層の密着性比較アロマティック電解質膜と電極層の密着性比較アロマティック電解質膜と電極層の密着性比較
アロマティック電解質膜と電極層の密着性比較



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