FCX FACT BOOK
FCX 2002.12.2


水素と酸素から電気をつくり、排出するのは水だけ。
[FCX]で採用した燃料電池スタックは、「水素」と「酸素」との電気化学反応によって、化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する固体高分子膜型の発電装置です。「水」を電気分解すると「水素」と「酸素」ができるという原理の、逆の反応とイメージすることもできます。
しかも、水素と酸素を供給することで発電を継続的に行い、電気とともに水を同時に生成、CO2や有害物質をいっさい排出しないクリーンシステムを実現しています。
水素極に水素を送り込むと、水素は電極(白金)の触媒作用で水素イオンに変わり、電子を放出。直流電流が発生します。
電子を放出した水素イオンは、イオン交換膜を通過し、酸素を送り込まれた酸素極の酸素イオンおよび放出され外部回路を経由した電子と結びつきます。
この作用によって、直流電流は通電され、発電。副生物として酸素極では水が生成されます。
また、イオン交換膜は常に湿った状態に保つ必要があるため、水素や酸素も加湿して供給する必要があります。そこで、燃料電池スタックで生成された水蒸気を回収し、その水分を加湿に必要な水として利用します。
イオン交換膜は非常に薄い固体高分子膜[陽子(陽イオン)を交換するポリマー膜(PEM=プロトン・エクスチェンジ・メンブレン)]でできており、この膜をふたつの電極(水素極/酸素極)で挟み、さらにセパレーターで両側から挟んだ状態で、1組のセルを形成しています。
このセルを積層体(スタック)にし、ひとつひとつが発電することで大きな電圧を発生させます。
[FCX]は、軽量・コンパクトで78kWの高出力を発揮する、バラード・パワー・システムズ社製燃料電池スタックを採用しています。また、Hondaでは独自の燃料電池スタック研究も行っています。
■燃料電池スタック
350気圧高圧水素タンクの採用により、大容量の貯蔵を可能にし、
航続走行距離355kmを実現。
燃料となる水素は体積あたりのエネルギー密度が小さいため、実用的な走行距離を確保するためにできるだけ多く搭載する必要があり、一方、クルマとしてのパッケージを考慮するとできるだけ小さく貯蔵する必要があります。
そこで[FCX]では、アルミライナー、カーボンファイバー、グラスファイバーの3層からなる、高強度、耐腐食性をあわせ持つ約350気圧の充填を可能にした高圧水素タンクを採用しました。このタンクを2本搭載することで156.6Lの水素容量を確保し、燃料消費率の向上とあわせて航続走行距離355kmを実現。また、充填時間は高圧充填設備使用時で3分程度と、ガソリン車レベルの簡便さを実現しています。
LA-4モード走行におけるHonda測定値



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