today - 1993.01

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こうしてNewトぅディは生まれました


これまでにない「軽」をめざして
———つくりの思想———

乗用専用設計の発想を実現することにより、Newトゥデイではこれまでの軽自動車にないイメージを生みだしたいと考えました。そのためには、
 「乗って楽しくここちよい」
という、クルマとしての大切な前提を満たさなくてはなりません。

かなりの数の軽自動車がセカンドカーとして使われています。しかし、たとえ「わが家の2台め」であったとしても、その使いごこちが悪くていいはずはありません。「わが家の2台め」が「私の1台め」であることも、その理由のひとつですし、やはりユーザーにとってのクルマとは「乗って楽しくここちよい」ものでありたいからです。

そのための条件を、つぎのように考えました。



運転しやすく、あつかいが楽で、しかもゆったりと乗れること
乗りごこちが快適で、静かであること
デザインが独自のイメージにあふれ、しかもユーザーの満足感につながるものであること
使いやすく必要な装備が、そなわっていること
荷物スペースは普段の使いみちに充分な広さを持ち、しかもあつかいやすいこと

これらは、すでにかかげた乗用専用という割りきりとドライバー最優先の設計方針を基本に練りこんでいけば、必ず満たすことができると考えました。


乗用専用設計が新しさのキーポイント
———基本的な構造———

乗用専用の発想と、ドライバー最優先の設計方針。Newトゥデイで実現した、つぎのような軽自動車としての画期的なこころみは、このふたつの基本的な考え方から可能になったものと言えます。

(1)トランクタイプのレイアウトが生まれました
実際の軽自動車の使われ方を調べ、そして荷物スペースのあり方を考えていったとき、今まであたり前のように思われていた軽自動車のレイアウトに疑問が生まれました。

それは、ほとんどの積み荷が日常の手荷物程度であるなら、大きくて重いテールゲートはほんとうに必要なのだろうか?  ということです。
より使いやすい荷物スペースを考えれば、片手で軽く開け閉めできるような小型のトランクの方が、はるかにすぐれているだろうと思いました。

このように、使われ方の調査と分析から生まれた疑問は、乗用専用の発想とぴったり重なり合いました。こうして生まれたのが、新しいトランクタイプのボディレイアウトです。

(2)メリハリのきいたデザインが生まれました
デザインでのとりくみでは、その原点に
 「ちいさいクルマこそ、その価値をはっきり主張するデザインが必要である」
という考え方がありました。さらに乗用専用の発想とドライバー優先設計とを考えあわせ、デザインのあり方としてつぎのような条件をかかげました。



ちいさいクルマだからこそ実現できるデザインであること
使いやすさや機能を充分に考えたデザインであること
前モデルをこえる、質の高いデザインであること
新しい価値を持った軽自動車にふさわしい、新しいデザインであること

これらに、トランクタイプのレイアウトが、よい作用をおよぼして、今までにないカタチが実現しました。

外観デザイン/「スタイリッシュ・セミノッチデザイン」
室内デザイン/「フローティングパッド・インテリア」

これらがNewトゥデイのデザインを特徴づけています。
005-003 キュート&ビビッドな外観デザイン
外観デザインのテーマとして、まず、「よりいっそうの使いやすさ」「安心感」「ハツラツとした楽しさ」を、イキイキとしたカタチとして表現することを考えました。さらに、トランクタイプのレイアウトの上に「豊かさ」や「動きのあるフォルム」をあたえ、しかも多くの人に愛されることをめざしたものが、Newトゥデイのデザインです。

イメージスケッチ
外観デザインのもっとも大きな特徴は、次のようなものです。

使いやすさや新しさを生みだすデザインとして
    トランクタイプのボディ形状によって実現できた広い後方視界を生みだすパノラミック・リアウィンドウ。
安心感とイキイキとした表情をつくりだすデザインとして
    トランクまわりのボリュームあるシルエットから、手のこんだ曲面による豊かなサイドセクション、さらに力強いノーズへとつながる、立体構成の造形。
はつらつとした楽しさ、個性を象徴するデザインとして
    サイドのJライン・デザインや、特徴的でありながら親しみある表情をつくる異形丸型ヘッドライト。

また、サイドセクションなど手のこんだフォルムはボディ全体に力強さを感じさせ、セミノッチバックデザインは後席のうしろにゆとりを感じさせます。それは同時に頼りがいのある安心感をクルマ全体からもたらしています。もちろんこのデザインは、実際にボディ剛性を高めるのにもひと役かっています。

乗用専用設計によって生みだされたこのNewトゥデイのデザインは、機能をより強く主張するデザインの新しい流れをひらくものです。

005-003 新しい空間構成の室内デザイン
インテリアデザインには、長くつきあえるパートナーとして「思いっきり楽しくて使いやすい」というテーマをかかげました。そして「つつみこむ安心感」と「適度な解放感」のある新しい空間構成のために、デザインをにつめていきました。

これまでの軽自動車では、車室の幅いっぱいにまたがるインストルメントパネルを採用することで、その大きさや車室の広さを表現しようとこころみてきました。しかしNewトゥデイでは新しい発想で、インストルメントパネルまわりのデザインをつくりだしました。名づけて「フローティングパッド・インテリア」。「フローティング」とはインストルメントパネル表面がダッシュボードから浮きあがっているかのように見えることからネーミングしたものです。フローティングパッドの表面は、ファブリック調でソフトな質感の表皮を採用。
ボディカラーと調和した色づかいで、見た目の楽しさややさしさを表現しています。さらに収納スペースなどの使い勝手も充分に考えました(13ページ)。ドライビング・ポジションのよさとセミノッチバックデザインによる車室のかたちなどとの相乗効果で、快適な室内空間をつくりだしています。

イメージスケッチシート

イメージスケッチインテリア
(3)ドライビング・ポジションが改善できました
乗用専用の考え方とドライバー最優先の設計があいまってドライバーの居住空間がひろがり、よりすぐれたドライビング・ポジションをユーザーに提供できました。
たとえばそれは、シートの前後スライド量にあらわれています。Newトゥデイでは従来モデルにくらべ、スライド量が55mm拡大し、195mmになりました。より自由な調節ができ、ゆったりとしたポジションが得られます。また、ドライバーのシート位置の中心も、10mm内寄りにあった従来モデルよりもさらに10mm内側に移動。ドライバーシート幅も500mmへと、20mm広くなりました。
これらによって、前後方向で小型車なみのドライビング・ポジションを実現。ドライバーの身体とハンドル、シフトレバー、ペダルなどとの位置関係が従来より自然になり、運転しやすさがアップし、快適で、つかれにくく、安全な走りに寄与しています。
ヘッドクリアランスも10mmアップし、上方の視界を広げてより大きな解放感をつくりだすとともに、乗り降りもしやすくなりました。またドライバー優先設計でありながら、リヤシートもおとな2人分の広さをきちんと確保しています。



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