NSX - 1990.09

NSX

NSX
 
BODY


軽量化を可能としたうえで、
強度と剛性を高い次元で充たしたオールアルミボディ設計。
強度と剛性は、クルマのボディが充たしていなければならない重要なファクターです。NSXは、軽量化と同時に、強度と剛性をより高い次元で達成しています。
まず強度では、真っすぐなフロント・サイドフレームと、大断面のリアフレームが貢献。フロント・サイドフレームは、衝突時のエネルギーを効率よく吸収、リアフレームは衝突からフューエルタンクを守るという役割を果たしています。ボディ全体としては、鉄を上回る強度を可能とし、軽量化にも寄与しています。
剛性面では、押し出し成形のサイドシルと、下端末広型のセンターピラーが、大きく貢献。このように、アルミの特性を充分に生かした、基本から性能の高いボディとしています。

《ボディの特長》
(1) 高強度・高剛性押し出し成形サイドシル。
(2) フロントの衝突エネルギーを効率よく吸収するフロント・サイドフレーム。
(3) メインフレームにがっちりと固定した高剛性センターピラー。
(4) リア衝突時にフューエルタンクを守る大断面高強度リアフレーム。
(5) アーク溶接を使った高剛性極細ピラー。
(6) ボディ強度・剛性の向上とエンジンルームからの断熱・遮音に効果のある二重式パーティションガラス。
(7) リアフェンダーを組み付け部品化することにより軽衝突時のリペアを簡素化。

ボディの特長

部位に応じた素材選択と
アルミに有効な押し出し成形を駆使した、
軽量・高剛性のボディ構造。
NSXのボディには、それぞれの部位が果たすべき機能に合わせて、5タイプのアルミ合金を使い分けています。材料の機械的性質を示す指標である、抗張力(引っ張り強度)、耐力(降伏点)、において、5タイプともに異なる特性をもたせたわけです。
まずボディ外板には、HAZ6083P-T4とHAMX29P-T4という新規開発材を採用。ボディ外板は、デザイナーの意匠どおりにプレス成形するためには耐力は低い方がよく、しかし実車時には耐力は高ければ高いほどいいという相反する特性が求められます。そのため、通常時の耐力は10kgf/mm2と低く、ただし塗装工程のベイキングによって表面が固くなり耐力が15kgf/mm2に上がるという、ベークハード効果とプレス成形性に優れたアルミ材を開発。空力に優れたエクステリアデザインと、外板として求められる耐力とを両立させています。
ボディの内板には、熔接性、成形性、そして耐力の高いHA5182P-Oとさらに成形性に優れたHA5052P-Oを採用。
また、ボディの背骨ともいえるサイドシルなどのボディ・フレームには、新開発の押し出し材HACF60S-T5を採用。押し出し成形は、アルミだから可能な加工技術。軽量化と高剛性の両立を目的として、船舶や鉄道車両などにも採用されています。
600℃に加熱したアルミを金型に入れ、この金型より押し出しながら引っ張り、通常、熔接によって完成されるフレームなども、1回の工程で製造。省力化、コストダウンを図りながら、優れた構造効率と高い強度を実現し、ボディの剛性アップに貢献しています。
さらにこの押し出し材を採用することで、軽量、高剛性でしかも、フラッシュサーフェスのリアハッチを可能にしています。

優れた整備性をもたらす、
ボルト・オン・ボディパネル。
ルーフを除くすべてのボディアウターパネルを、フレームにボルトで組み付けるボルト・オン・ボディパネルとしています。これにより軽衝突時など、ボディパネルを傷つけてしまった場合でも補修部分だけを取り外して、短時間で完全修復できるようになっています。

ボルト・オン・ボディパネル




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