NSX - 1990.09

NSX

NSX
 
BODY


スチールに比較し、ボディだけでも
約140kgもの軽量化を実現。
NSXの基本ポテンシャルを決定づけ、
性能追求の新しい方向を提示した、
オールアルミ・モノコックボディ。

NSXの高性能化を成立させるために、
大幅な軽量化を可能にした、
オールアルミ・モノコックボディ。
NSXを成立させるために、きわめて重要な役割を果したのが、ボディの軽量化でした。エンジン、シャシー、ボディ、その他の装備類まで含め、最も効果的な軽量化を図れるところだったからです。
そこでホンダは、アルミ合金をはじめ、強化プラスチック系素材やFRP、CFRP(カーボンファイバーやケブラーなどの繊維強化系素材)など、各種の軽量素材を、クルマのボディ素材として求められる要件、すなわち軽量化効果、強度、剛性、成形の自由度、耐熱性、耐蝕性、量産性などを考慮し、比較検討しました。
アルミ合金は鉄に比べ比重は1/3ですが、ヤング率(弾性系数)も1/3、剛性も1/3。しかし等価面剛性板厚は、鉄1.0mmに対しアルミ合金は1.4mm。つまり、アルミ合金は鉄の1.4倍の板厚で同等の面剛性を得ることができ、その厚さで鉄より遥かに軽いという、軽量化にきわめて効果的な素材でした。
これを具体的に検証するために、実際にアルミボディをもつミッドシップのテスト車を作成。各種の実験を繰り返し行なった結果、大幅な軽量化は、鉄より軽く、しかも丈夫で錆のこない特性をもったアルミ合金によってのみ可能となる。すなわち、ミッドシップの、オールアルミボディは実現可能である、という結論に到りました。
しかしながら、アルミは、素材コストで鉄の約5〜6倍であること、また他の金属と接すると電蝕が生じることや熔接や接着に手間がかかるなど、生産面での困難さをあわせもっていました。
ホンダは、これら設計と生産面の問題点を、新技術を開発することなどで解決。コストアップについても、アルミによる軽量化がもたらす大きな効果から換算すれば充分に価値あるものと判断しました。こうして実用化への数多くの壁を打ち破り、エンジンから、サスペンション、シートフレームまでも含めたトータルな考え方でオールアルミボディを実現したのです。
ホワイトボディ重量は210kg。ボディだけでも140kg、総重量では従来のスチールボディに比較して約200kg、馬力換算で40ps(パワーウエイトレシオを5kgで計算。200kg÷5kg=40ps)にも相当する軽量化を可能とし、NSXの高性能化を成しとげたのです。

オールアルミ・モノコックボディ




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