LEGEND - 1996.02

LEGEND
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ヒューマン・リニアリティ1

BODY
高級車の必須条件であるしっかり感と静けさの徹底追求から生まれた、走り感の基盤となる高剛性ボディ。

ビークルダイナミクスを根本から支えるボディ。エンジンやサスペンションなどのクォリティや特性は、すべてボディを媒体にして乗る人に伝わります。いいかえれば、ボディが高性能でなければ、メカニズムがいかに優れていてもそれらの質の高さは実感できません。Newレジェンドは、安全性能をハイレベルで確保したうえで、世界に通用するビークルダイナミクス実現のために、ボディ剛性の熟成に取り組みました。まず、世界的にも走りの環境に恵まれているドイツに先行開発車を持ち込み、テストを繰り返し実施。常用域における性能をより見極めるために、サーキットだけにとどまらず一般道や高速道など、生活に使用する道すべてを開発のステージと定めました。こうした現実のテストフィールドの中でNewレジェンドの技術テーマである“ヒューマン・リニアリティ”を追求すべく、テスト結果を基にしたホワイトボディによる検証、シミュレーションによる解析などを相互評価。これらから、従来の「曲げ」や「ねじり」の“静剛性”だけでなく、“動剛性”の目標値とその基本アイデアを導き出してきました。このような経過を踏まえ、剛性感や乗り心地、操作性の向上、振動・騒音低減など、高級車にふさわしい高剛性ボディの実現を図りました。しっかりとした乗り心地や静粛性など、常用域でも質の高さが実感できるボディこそ、Newレジェンドが求めてやまなかった、大きな進化です。

細部にわたる高剛性化により、高品質・低振動・低騒音ボディ構造を実現。
剛性感、乗り心地、操作性の向上や、アイドリング振動伝達の低減などをめざし、細部にわたって適所に高剛性化を図りました。ストラットバーを大断面化するとともにダンパー取付点を直接支持とし、ダッシュボード取付点に補強材を追加。リアバルクヘッドやリアピラースティフナーは大型化および板厚をアップしました。さらに、各ピラーの結合部やリアアウトリガー結合部の剛性を向上させるなど、ねじれ剛性、曲げ剛性、サスペンション支持剛性、ステアリング支持剛性など大幅な剛性アップを達成しています。また、アイドリングによるドアパネル固有の振動伝達を低減するために、パネル内にダイナミックダンパーを内蔵。ラバーマウントされたダンピングマスが振動を打ち消し、体感振動を大幅に減少させています。

振動・騒音性能図
振動・騒音性能図

アイドリングから走行時までの振動・騒音伝達性能の飛躍的な向上を実現した、新エンジンマウントレイアウト。
エンジン本体から発生する、回転運動によるロール振動の遮断と共振時の応動を効果的に制振するために、メインマウントをエンジン重心点付近に配置しました。しかも電子制御コントロールマウントの採用によって、アイドリング時および走行時に要求されるマウント減衰特性の変更を可能とし、アイドリング振動伝達の低減や乗り心地の向上を実現しています。また、ボディとの接点には液封サブフレームマウントを採用し、常用域での振動と加速エンジン騒音を低減。さらに、ドライブシャフトを介して伝わりやすい発進時の振動に対しては、低スライド抵抗インボードジョイントによって大幅な遮断を図るなど、エンジン本体の徹底的な振動・騒音低減に加え、パワープラントから伝達される振動・騒音についても飛躍的に低減しています。

エンジンマウントレイアウト図
エンジンマウントレイアウト図

制振材・遮音材の最適化により、静かな室内を実現。
高級車の資質が問われやすい静粛性。Newレジェンドはボディフロアをはじめ随所に制振・防音材を最適配置し、エンジンの透過音や振動、ロードノイズやギアノイズなどを効果的に低減。フロアパネルについても適所に各種吸音材を組み合わせ、吸・遮音性能を向上しています。また、リアトレイやトランク内装を新たに遮音構造とし、後席に影響を与える騒音を低減。さらに、新製法によるピラー内充填材が、サイドシル内からピラーを通じて放射される室内透過音を低減するなど、全席において高級車にふさわしい高い静粛性を確保しています。
<ピラー内充填材(センターピラー、リアピラー)>
ボディ溶接工程でピラー内にセットした充填材が、塗装乾燥工程で熱発泡し、隅々まで充填。ピラーを閉塞することで、サイドフレーム内から伝わるロードノイズ、水はね音、空力騒音、エンジン音を効果的に遮断し、室内への侵入を抑制します。
ピラー内充填材
制振材・遮音材配置図
制振材・遮音材配置図

ボディ細部に工夫を施し、風切り音を低減。
高速走行時に耳障りとなる風切り音についても細部に配慮を施しました。まず、ドアミラーをドアスキンマウントタイプとし、下部にデフレクターを装着。ドアガラスのリップ部を中空構造にして密着性を高め、ドア各部のシールを最適化。また、フロントバンパー内のスプラッシュシールド下部にスポイラー形状のデフレクターを設け、高速操安性の向上とともに風切り音を低減するなど、前席、後席ともに風切り音の低減を実現しています。
デフレクター



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