LEGEND - 1996.02

LEGEND
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ヒューマン・リニアリティ1

高級車としての走りの質感だけでなく、それを超えた楽しさと爽快さを併せ持つ、グローバル・プレステージ・サルーンを感じさせる走りの世界の実現をめざしました。
エンジン、トランスミッション、ボディなど、走りを支えるメカニズムには、その細部にまで入念な熟成を施し、市街地走行からハイウェイ走行まで、まさに期待と体感が一致する、気持ち良い走り感を達成しました。
エンジンについては、ゆとりある豊かな質感をテーマに、パワー&トルク特性、静粛性を追求。
省資源、社会環境にも配慮した、新世代のスマートな高級車エンジンを完成させています。
クルマのすべての性能の基本とされるボディについては、特にこだわり、新たに「感研究」という開発手法を採り入れ、静剛性ばかりか理想の動剛性をも併せ持つ、高級車の新しい骨格を創りあげました。

ENGINE
常用域における「走り感」の向上をめざした、
新開発、3.5L V6 24バルブエンジン。


“ヒューマン・リニアリティ”の実現をめざし、エンジンは軽量・コンパクトでスペース効率に優れ、高い運動性能が得られる90°V型6気筒という基本形式を踏襲。そのうえで、常用域での気持ち良い走りを実現するために低中速トルクの大幅な向上を求め、排気量を3.5Lに設定した新エンジンを開発。新設計共鳴管切り換えインテークマニホールドの採用や、吸排気バルブのリフトおよびタイミングの最適化などにより、開発のねらいであった低速域はもとより、中・高速域までゆとりのあるトルクを獲得しています。また、エンジンの振動・騒音低減についても徹底的に追求。一次慣性偶力バランサーの採用や各部の高剛性化など、細部にわたる見直しを施しました。
これらにより、全域にわたる豊かなトルク特性を発揮しながら、特に常用域で実感できる上質でスロットルレスポンスに優れたリニアなパワーフィールを実現。爽快な走りをもたらすエンジンを完成しています。

■低中速トルクを重視した、共鳴管切り換えインテークマニホールド。
エンジン回転の全域で吸気効率を高めるために、インテークマニホールド内に共鳴管管長切り換えバルブと共鳴連通バルブを設定。低速、中速、高速それぞれの回転域に応じてこれらのバルブの開閉を行ない、低中速域では共鳴効果を、高速域では慣性効果を有効に活かすものとしています。さらに、共鳴管の形状や長さの見直しを図るとともに、切り換えポイントをそれぞれ従来よりも低回転側に設定。2,800rpmという実に低い回転数で最大トルク31.8kgmを発生するとともに、中高速域まで滑らかで伸びのあるトルクを実現しています。

■排気量、トルクをアップしながら、燃費の向上を実現。
燃焼室の改良や動弁系フリクションの低減、低水温時の燃料混合比の最適化、ファーストアイドル回転数の低減など、エンジン細部のチューニングを実施。さらに、トランスミッション各部の改善のほか、アルミニウム製の軽量薄型ラジエータの採用など、ドライブトレイン全体にわたる徹底した見直しにより、従来の3.2Lエンジンと比べ、排気量をアップしながらも10・15モード燃費では同等、60km/h定地走行では従来を上回る燃費を実現しています。

3.5L V6 24バルブエンジン主要諸元
エンジン型式 C35A
エンジン種類・シリンダー数及び配置 水冷V型6気筒縦置
弁機構 SOHCベルト駆動 吸気2 排気2
総排気量 3,473cm3
内径×行程 90.0×91.0mm
最高出力(ネット値) 215PS/5,200rpm
最大トルク(ネット値) 31.8kgm/2,800rpm
10・15モード走行燃料消費率
(運輸省審査値)
8.7km/L
60km/h定地走行燃料消費率
(運輸省届出値)
16.0km/L
*「ネット」とはエンジンを車両に搭載した状態で測定したものです。
燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。したがって走行条件等により異なります。
3.5L V6 24バルブエンジン透視図
3.5L V6 24バルブエンジン透視図

共鳴管切り換えインテークマニホールド作動図
共鳴管切り換えインテークマニホールド作動図

共鳴管切り換えインテークマニホールド作動図
低速回転時
低速回転時
中速回転時
中速回転時
高速回転時
高速回転時

高次元な高級車であるために、細部にまで徹底したエンジン振動・騒音対策。
アイドリング振動、こもり音、加速エンジン音、補機騒音、メカニカルノイズといった、エンジンから発生する振動・騒音を徹底検証。次世代の高級車エンジンにふさわしい、ハイレベルなエンジン振動・騒音特性を実現しています。

[アイドリング振動低減]
一次慣性偶力バランサーを採用し、ピストン、コンロッド、クランクから発生する残存一次慣性偶力を解消。
ピストン、コンロッドの重量精度を向上することで残存一次慣性偶力量 を一定化し、バランサー効果を最大限に引き出し、アイドリング時はもとより全回転域での不快な振動を低減。

一次慣性偶力バランサー
一次慣性偶力バランサー
〈量産製法世界初、複動閉塞鍛造コンロッド製法〉
コンロッド形成に適した質量に管理された素材を、予めプリフォームとして加工したのち、閉塞された型で鍛造することによって、高品質で重量 誤差を大幅に低減したコンロッドを形成することが可能となりました。
吸排気バルブのオーバーラップ量を減少することでアイドリング時の燃焼をさらに安定化。

複動閉塞鍛造コンロッド製法

[こもり音低減]
シリンダーブロックの高剛性化とともにトルクコンバーターケースの高剛性化を図り、高回転域でのパワープラント共振によるエンジンマウント点振動を大幅に低減。



[加速エンジン音低減]
シリンダーブロック、アルミオイルパン、エンジンマウントブラケット、トルクコンバーターケースの高剛性化により、クランクからの振動を伝達しにくい構造とし、エンジンマウント点振動を低減。

クランクプーリーの軽量化により、クランク曲げ振動を抑え、クランクからシリンダーブロックへの衝突力を緩和。

ピストンピンとコンロッドの間にクリアランスを設けてフルフロート化するとともに、剛性を高めたピストンの採用により、ピストン打音を低下。


[補機騒音低減]
スターター内部のギアの噛み合い率を向上し、ピニオンギアとリングギアとの噛み合いを最適化することで、スターターギア音を低減。
通風抵抗の少ないラジエータの採用、モーターステー位 置最適化、サブファンの5枚羽根化などにより、クーリングファン音を低減。
[エンジンメカノイズ低減]
ピストン打音低減のほか、タイミングベルトの材質を変更し、テンショナー位 置を最適化することで、ベルトの弦共振による音を低下。さらに、大型エンジンカバーを装着することで、エンジンの放射音を抑えています。
   



エンジン振動・騒音性能図
エンジン振動・騒音性能図

[その他のエンジン系振動・騒音低減]
燃料脈動音低減/パルセーションダンパー採用。
吸気音低減/エアクリーナーの容量アップと挿入管タイプ化、およびサイドブランチを採用。
排気系放射音低減/キャタライザーカバーの板厚違い二重化。
排気騒音低減/断熱性に優れたサブチャンバー付中空二重エキゾーストパイプ採用。大容量 異形断面サイレンサーの内部構造改良。


エキゾーストパイプ取り回し図
エキゾーストパイプ取り回し図



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